第11回ILEC 幸せさがし文化展
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絵画の部
連合大賞(1名)
食べること 伊藤 希 北海道
ILEC大賞(1名)
新緑のパリ 清水 亟㥏 徳島県
シニア特別賞(1名)
ウミユカバ 藤井 喜久雄(91才) 退職者連合(島津退職者組合)
ジュニア特別賞(1名)
鳴門の風景 庄野 真央(11才) 徳島県
秀作(5名) 作品一覧
手繰る 平坂 優衣 大阪府
静寂-仏桑華- 鎌田 真二郎 鹿児島県
編み物 久保 洋子 静岡県
至福のひととき Kunihiro 福島県
雪のあおもり駅前 蝦名 敏昭 退職者連合(青森県退職者連合)
入選(10名) 作品一覧
ナイショ、ナイショ、 泥舟 海員組合(新日本海フェリー)
帰ろう 山本 宜史 三重県
ねんね 田辺 公子 愛知県
今日のきらきら 粕加屋伊ク代 東京都
ぼくらはみんな生きている 小口 美香 運輸労連(運輸労連本部)
子供は大人の夢を見る 明村 実 東京都
天空の建設現場 戸塚 洋一 東京都
作業風景 エンプルG 岐阜県
賑賑 毛木 曜子 千葉県
「hibiki」 友森 さち子 退職者連合(JT退職者の会 岡山支部)
特別審査員賞(3名) 作品一覧
はじめて想いが通じた日 岩附 美穂 自動車総連(岐阜日産自動車労組家族)
楽しみやん♪ ちび丸 電機連合(デンソーテン労働組合神戸支部)
港湾 髙野 れいえん 岡山県

絵画の部

勅使河原 純

美術評論家
元世田谷美術館副館長

時代が令和に改まったせいか、2019年の絵画部門は出品作品の内容が、少なからず変化してきたように思う。前回までは絵を描くことが好きでたまらないといった人たちが、思い思いのテーマを得意の技法にのせて極限までうまく描いてみせる、ある意味テクニックの競い合いのような場であった。それが今年は、制作をはじめるまでにかなりの長考を要したと思われる、たいそう中身の濃い作品が主流を占めたのだ。
 たとえば連合大賞を受賞した伊藤希さんの「食べること」は、赤ちゃんの可愛らしさに惹かれて筆を執った作品には違いないだろうが、そこに留まらない描写となっている。お母さんと赤ちゃんがスプーンを真ん中に、お互い食べることを真剣に模索している構図なのだ。シニア特別賞を獲得した藤井喜久雄さんの「ウミユカバ」は、戦禍で尊い命を失くした船員たちと撃沈された船が水底で眠る鎮魂の図である。後で関係者から教えてもらったが、やはり親しい友人を何人も戦争で亡くされた、91歳の方の労作とのことであった。
 入選となった戸塚洋一さんの「天空の建設現場」も、私には深い物語を秘めた一枚にみえた。どこか海外の建設現場をもとにした回想なのだろう。黙々と作業する人たちに、哀愁に満ちた赤い夕陽が迫ってくる。だが画面にもタイトルにも、何も語られてはいない。そこにかえって作者の鮮烈な思いが、滲んでいるようにも思われてくるのだが。

織作 峰子

写真家
大阪芸術大学芸術学部
写真学科長

 第11回となる「幸せさがし文化展」に今回も力作が集まりました。ひと目で吸い寄せられた作品が、連合大賞に輝いた伊藤希さんの作品「食べること」だ。タイトルも直球で、筆の運びも非常に力強い。スープを味わう子どもの表情にはあどけなさは感じられないが、味に満足気であることをまるで大人のような表情で投げかけてくるところが返って意表をついて頼もしささえ感じる。食欲旺盛な娘を見つめる母の愛も伝わり、衣服を消す引き算の構成と青い背景色の選択も目を引く作品であった。23歳の若きパワーを感じた。ILEC大賞「新緑のパリ」は、卓越した筆さばきにベテランの貫録を感じる。シニア特別賞の「ウミユカバ」には戦争体験からくる辛く悲惨な想いを海底の生きものやドクロをモチーフに描いた力作だ。秀作「編み物」は真剣な姿と、年を重ねてきた人生の厚みが滲み出ている。連合大賞の伊藤さん同様、初応募で20歳とは思えない力作を出してくれたのが秀作、平坂優衣さんの作品「手繰る」だ。
 暗い中に差す光が網や水面に反射し薄ら輝く様子を上手く表現し、闇の中で働く漁師たちの動作や顔のトーンもよく描けている。秀作「至福のひととき」は写真に近い“光を感じる作品”である。外から差し込む自然光が心地よく、うさぎの毛や少女の髪の輝く表現が素晴らしい。
 今回は若い方々の応募が増えたことが嬉しく次回に向け、幅広い年齢層の方々からの作品が集まることを楽しみにしている。




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