埼玉大学「連合寄付講座」

2012年度後期「働くということと労働組合」講義要録

第10回(12/10)

【仲間を守りつなぐ(2)】雇用と生活を守る-地域

連合埼玉 事務局長 佐藤 道明

1.学生を取り巻く雇用情勢

(1)新卒者の就職率
 今日は、連合埼玉が地域でどのような活動をしているのか、また、学生の皆さんや地域の皆さんとどういう関わりをもっているのか、といったことについてお話させていただきたいと思います。
 まず、今春の大学新卒者の就職率については、2012年5月15日に文部科学省と厚生労働省が発表しています。4月1日時点で、就職率が前年に比べ2.6ポイント上昇し、93.6%と4年ぶりに改善しました。昨年春は統計を取り始めた1997年以降で最低でしたが、中小企業への就職が進み、最悪期を脱しました。
 大学生の就職率をみると、男子については3.4ポイント上がって94.5%、女性は1.7ポイント上がって92.6%、文系・理系で見ると、文系は2.8ポイント上がって93.3%、理系は1.5ポイント上がって94.6%という状況です。
 こういった状況について、厚生労働省は「大企業を中心に厳しい就職活動が続いているが、大学とハローワークの連携で中小企業に就職を決めた学生が、今年1~3月に増えたことなどが寄与している。」という見解を示しています。
 埼玉県は中小企業が97.7%を占めています。埼玉県には、優秀で元気な中小企業が多くあります。たとえば、世界に誇るヘルメットのトップメーカーの“アライヘルメット”や、半導体産業を支える精密技術を持つ“秩父電子”、ゴルフクラブのシャフトを作っている“グラファイトデザイン”といった企業があります。就職を考える場合、中小企業にもっと目を向けてもらうことが大切だと思っています。

(2)埼玉県内における就職状況
[1]就職内定状況

 埼玉県内の就職内定状況について話しをします。私は、埼玉労働局の埼玉地方労働審議会の委員でもありますので、埼玉労働局が2012年11月30日に報告した、10月1日現在の状況について紹介します。
 埼玉労働局は平成25年3月大学等卒業予定者に対する支援を効果的に実施していく上で、大卒予定者の就職内定状況等を的確に把握する必要があることから、埼玉県内にある41の大学と、13の短期大学と連携を図り、就職内定状況を定期的に調査しています。連携を図る大学等が学生からの報告等により把握する内定状況を取りまとめたものです。したがって、報告のない学生や連絡の取れない学生については、就職未決定ということで計算していますので、実質より少し低めの数字かもしれません。
 それを前提に見てみますと、埼玉県の大学の就職内定率は全体で38.2%、昨年と比べると8.1ポイント上がっています。男女別でみると、男子は38.7%で、昨年より8.9ポイント上がっています。女子は37.5%で、昨年より7ポイント増えている状況です。

[2]埼玉労働局における就職支援
 埼玉労働局では卒業予定者の皆さんに、いろいろな支援をしています。そのうちの1つとして、「全県全大学等へのオーダーメイド支援」があります。「1所1大学」方式といって、ハローワークと大学で連携をとっています。大学に対しニーズ調査を実施し、その結果を踏まえ、出張相談の実施が23校、セミナー・ガイダンス等の実施が26校、求人情報提供が44校、それぞれオーダーメイドの支援を開始しています。
 2つ目は、「学生情報の拡充」です。大学卒業予定者の人材を企業が発掘するきっかけとして、この学生情報は、非常に意味があると思います。埼玉大学を含む県内の7大学で、「学生情報」を通じた学生と地域企業とのマッチングを図るため、面接会参加企業や、各ハローワークにおいて求人受理時、求人開拓による企業訪問時等に学生情報を配布しています。
 3つ目は、大卒予定者のみなさんを対象にした就職面接会の実施です。第1回は2012年10月に83社の企業が参加し、376名の学生が参加しました。次は2013年2月25日、今のところ参加企業は49社を予定しており、大宮ソニックシティで開催されます。
 そして、何よりも皆さんにご紹介したいのは、4つ目の「埼玉新卒応援ハローワーク」です。ハローワークというと、おじさんたちが多くて、若い人たちがなかなか入りづらいということがありますが、ここは新規学卒者、未就職卒業者のためのハローワークとなっています。気軽に相談できる専門の窓口を設置していますし、20名のジョブサポーターも配置されており、一人ひとりのニーズに応じて、在学中はもちろん、卒業後も就職決定まで継続的な支援をきめ細かく実施しています。
 さらに、埼玉県のホームページには、「彩の国はたらく情報館」というものもあります。ここには、中小企業の魅力紹介があり、社員募集もあります。それから、キャリアレッスンとして、小島貴子さんという有名キャリアカウンセラーが、いろいろなアドバイスをしています。ぜひ参考にしていただきたいと思います。
 皆さんが就職活動を行う場合、ネットで大手企業を探して…ということが多いと思います。それも必要と思いますが、まずは、あらゆる手段を使って情報を集めることも必要です。埼玉労働局ホームページ、埼玉新卒応援ハローワーク、そして、埼玉県のホームページを活用して情報を集め、さらに今紹介したようなハローワークで実施しているセミナーなどに、どんどん参加してほしいと思います。

2.労働組合による就職支援活動

(1)既卒3年以内の方対象「就職面接会」
 次に、連合埼玉で行っている支援活動として、既卒3年以内の方を対象にした就職面接会について話をします。
 2010年に、雇用対策法に基づく青少年雇用機会確保指針が改正され、事業主が取り組むべき措置として、学校等を卒業後3年間は新卒として応募できるようになりました。それ以前は、新卒というと4月を超えて6月末までで、7月になってしまうと一般の人と同じような就職活動になっていました。それを、少なくとも3年間は新卒の扱いをしなさいということになり、企業もそのように扱うようになりました。
 ただ、残念ながら、新卒枠で既卒者を募集している企業は6割に留まっていますので、まだこの制度が浸透していません。また、2012年6月迄は既卒3年以内の方を採用すると、国からの補助金が出ましたが、それも廃止されましたので、企業からみると、既卒3年以内の人を雇うメリットが薄れたということもあります。
 そういった中で、連合埼玉では、既卒3年以内の人に対して、もっと何か支援できないかと埼玉労働局と意見交換しました。その結果、埼玉労働局と共催で2010年から既卒3年以内の人を対象に就職面接会をスタートすることになりました。
 2011年における全体の参加企業は69社で、そのうち連合埼玉でお願いして参加していただいた企業が3社です。どういうふうにお願いしたかというと、連合埼玉には40の産業別組織があり、その傘下に企業別の労働組合があります。それぞれの組合を通じて、企業に1人でもいいから、求人の掘り起こしをして、ハローワークに登録してくださいとお願いしました。その結果、求人数260名のうち、連合埼玉でお願いした企業は25名でした。
 2012年は、全体で83社が参加し、そのうち連合埼玉からは、4社の企業が登録してくれています。求人数では、全体の628名の求人に対して、連合埼玉では、4社の企業から72名の求人がありました。
 面接に来た既卒3年以内の皆さんは、2011年は208名、2012年は585名に増えました。採用者は、2011年は22名で、そのうち2名は連合埼玉からお願いし、エントリーしてくれた企業が採用してくれました。2012年は41名で、そのうち1名は連合埼玉で要請した企業が採用しています。
 連合埼玉から要請して2012年にエントリーした4社は、(株)OKIソフトウェア、スーパーの(株)ベルクと(株)ヤオコー、農機具等を作っている金子農機(株)です。これらの企業には、多くの参加者が面接を受けています。ヤオコーでは、半日の間で29名が面接を受けていますし、ベルクが24人、OKIソフトウェアが14人、金子農機は6人です。ヤオコーやベルクは、参加企業全体のなかでも面接を受けた学生の数からするとベスト5に入るかと思います。しかし、残念ながらそこでは採用はありませんでした。
 私は、この既卒3年以内の方の面接会に、2年間参加していますが、そこで感じたことは、既卒3年以内と言っても、求職者の事情は多様だということです。新卒で就職したもののミスマッチにより退職した人もいれば、過重労働など体力的に続けられなくなり退職した人、新卒時に就職活動を真剣に行わなかった人、真剣に取り組んだが、未だ就職できていない人といろいろいらっしゃいます。
 やはり、ミスマッチによる退職者は多く、採用時の労働条件と内容が違っていたり、配置先が違っていたりといった問題があります。それから過重労働です。これは実際に面接に来ていた方から話を聞きました。勤め始めたが、時間外労働が多すぎて体がもたなくなり退職したそうです。
 皆さんもこれから就職活動をするときには、一生この企業で働こうと考えると思いますから、企業の名前や給料だけではなくて、トータルにいろいろなことを考えて、決めて頂いた方がいいと思います。さらに、そこの企業の経営理念などもしっかり見て、どういう企業なのかを知ることは当然だと思います。
 また、就職面接会に来られている皆さんの中には、面接を受ける時の姿勢にちょっと問題があるかなと思う人もいました。ハローワークなどで、面接を受ける時の技術的なことは学んだりするかもしれませんが、実際には、誠実に元気よく、やる気をみせるということも大切です。そういったアドバイスが、県のホームページに載っていますので、ぜひ見ていただきたいと思います。
 私が、これはまずいなと感じたことの1つは、男性の椅子の座り方です。背もたれに背中を全部つけて座っているのですが、そこからして問題です。それから、びっくりしたのは、履歴書を1枚しか持ってこなかった人がいたことです。真剣に仕事を探そうとしているのかと思ってしまいました。
 こういう面接会でも、企業が見るのは、態度とか姿勢だと思います。実際、そこでいいなと思っても、それで終わりではありません。その後に「○○社に来て下さい」ということで、また改めて面接をやるわけです。ですから、まず面接会で、企業の人の目に留まらなければなりません。それにはやはり働くことに対する姿勢、入社したいという思いといったものが必要になるので、そこのところを学ぶ必要があるかなと思いました。

(2)東日本大震災県内避難者支援「ホームヘルパー2級養成講座」
 連合埼玉では、今年新たに取り組みを始めたことがあります。東日本大震災県内避難者支援「ホームヘルパー2級養成講座」です。
 県内避難者の皆さんは、福島から避難されている方が多く、はっきりした人数が取れていないというのが現実ですけれども、おおむね7,000人が避難していると言われています。連合埼玉は、震災の発生以降、連合埼玉の組織内はもとより、街頭などでのカンパ活動を行なってきました。ここで得たカンパ金は、連合本部を通じて被災地三県にカンパ金を送ったり、県内に避難されている方たちに直接お会いして、今、必要なものをお聞きして、その物資を送ったりする取り組みをしてきました。
 その他にも、連合埼玉の組合員や連合埼玉と関係する団体に、原発事故による風評被害にあった狭山茶の購入をお願いしました。その時に、ただ購入してもらうだけというわけにもいかないし、また、値段を下げてしまうと「やはり何かあるの?」ということになるので、販売はそのままの価格にし、そのかわり、売上金の30%を連合埼玉に寄付していただき、そのお金を県内に避難している人たちに役立てるという協定を結び対応しました。
 それ以外にも狭山茶のペットボトルも追加販売しましたし、新茶が出た頃にも販売し、約200万円の寄付をいただきました。そして、こういったお金を使って、「ホームヘルパー2級養成講座」を実施することになりました。
 なぜ、これを労働組合がやるのかですが、これまで被災者に支援物資を送ってきたなかで、ある被災者から「支援物資は本当にありがたい。しかし、いつまでも物をもらっているだけでは自立ができないので、やはり一番必要なのは雇用です。働くことなんです。」と言われました。そこで、雇用支援に取り組むのはやはり私達労働組合だと思ったからです。
 では、何ができるかということで、介護分野は人手不足でもあり、今後成長する分野であることから、「資格取得と雇用」を目的に検討した結果、日頃つきあいのある介護事業者の(株)ウイズネットの協力を得て、ホームヘルパー2級養成講座を実施することになりました。講座自体は、(株)ウイズネットの介護施設・研修施設で実施してもらい、費用については連合埼玉が負担するという形で実施します。一人当たり受講料は63,000円ほどかかりますが、先ほど申し上げたカンパ金で全額まかないます。受講者の負担は、施設や教室までの交通費や昼食代のみとなります。
 まずは、資格を取っていただくこと、そして、資格を取った後は、介護事業所で働く、というように雇用もセットで進めることにしました。研修内容は、3か月で130時間。1ヶ月目が自宅学習で52時間、2ヶ月目が通いで48時間、3ヶ月目が施設実習、これはグループホームで2日、デイサービスで1日、訪問介護で2日、こういう実習を受けて資格が得られます。国家試験を受けるのではないので、この130時間をしっかり受けていただくという内容です。
 本来は、最初の1ヶ月目も通いで教室に来て頂きたいのですが、できるだけ受講者の方々の負担を軽減するためにも、1ヶ月目は自宅学習にしました。ですから、各自で勉強をして、レポートを提出していただく形で、そのフォローについては事業者にしっかりやっていただくということです。1月~3月のコース、2月~4月のコース、それぞれ15名、合計30名を募集しています。
 実は、震災の前から、早期定年退職をした人、定年退職をした人で、何か仕事をしたいという人を応援するために、連合埼玉として支援したいと考えているところでした。ただ、震災がありましたので、先に震災支援ということで、この取り組みを考えたわけです。これらのことについては、また何かの機会にご報告ができればと思っています。

3.地域・NPOとの関わり

 連合埼玉では、ネットワークSAITAMA21運動という、地域に根差した運動を進めています。その中で、地域の市民団体やNPOとの連携をはじめ、地域との関わりが持ちづらいサラリーマンへの支援といったことに取り組んでいます。
 コンセプトとしては、共生の地域社会づくりへの積極的参画です。子育て、介護、地域で解決しなければならない課題、こういったことについて取り組みをしています。また、勤労者の生涯サポートという点では、企業の中ではサラリーマンという勤労者であり、家に帰れば、生活者・地域の住民ですから、そういった立場に応じた支援を労働組合でしていこうという内容です。
 具体的な支援内容は、「ふれあいコミュニティファンド」という基金を通じて行っています。「ネット21ボランティアカード」というカードを500円で販売し、契約料などを差し引いた200円がファンドに寄付され、運動の財源になります。このカードは、4月1日から翌年3月31日まで利用でき、いろいろな特典が受けられます。企業の福利厚生のサービスをそのまま使っています。それから、居酒屋等を展開している(株)かんなん丸という企業と提携して、このカードを会計のときに提示すると飲食代総額の10%を値引きしてくれます。さらに、先ほどの(株)ウイズネットとも提携していて、介護等のサービスもあります。
 それから勤労者の市民活動を応援する3つのプログラムがあります。1つ目は、ライフサポートプログラムです。これは、勤労者の生活に役立つ各種セミナーの開催や、出前講座を行っています。そこで講師を派遣してほしいという時には、無料で講師を派遣しています。
 2つ目は、ボランティアサポートプログラムです。これは、ボランティア活動をしたい人、してもらいたい人、双方をマッチングする活動です。それ以外にも自然体験学習ということで、尾瀬に親子で行ったり、埼玉のきれいな川など自然が豊富な地域で、夏休みに親子体験という活動を行ったりもしています。
 3つ目は、NPOサポートプログラムです。今年で6年目になるのですが、NPOや市民団体にパソコンを寄付しています。全部で60台くらいの寄付になったと思いますが、大体毎年10台位寄付をさせてもらっています。
 また、昨年から始めた取り組みとして、NPOの活動において緊急に必要になってしまった物品等を4万円を上限に支援しています。たとえば、介護のNPOでは、布団がほしいということで、4万円寄付しました。それからDVに取り組むNPOは、避難している女性たちの施設に洗濯機がほしいということで、ここにも寄付しました。
 こういった活動の支援を、さきほどのカードを買っていただいた寄付によって行っています。それ以外にも、震災の復興のために200万円の寄付を拠出し、県内避難者の支援物資購入に充て支援活動にも取り組んでいます。
 2008年のリーマンショックの時に、シェルター(緊急宿泊所)事業にも取り組みました。派遣切り等で仕事をなくし、住まいをなくした人が大勢いました。その時に連合埼玉で、ある施設を借りて、そういった方たちに1日1,000円で部屋を提供しました。当然1,000円では泊まれませんから、その差額については、連合埼玉で負担する形で取り組みました。
 総宿泊者は32名で、うち女性が4名でした。2009年2月4日~4月24日の間の延べ宿泊者数は754名です。シェルターを拠点として、生活保護の申請、職探し、住居探しをするなど自立のための支援を行いました。
 なかには夫婦で宿泊されていた人もいましたし、妊婦もいました。トラブルもありましたし、宿泊代の1,000円を払わずにそのまま出ていった人もいました。一方で、自立することができた人も当然いました。それを考えると意義のある取り組みができたと言えるのではないかと思っています。

4.安心して働くために

(1)連合埼玉「なんでも労働相談ダイヤル」
 連合埼玉では、「なんでも労働相談ダイヤル」を設置しています。2011年10月1日から2012年9月30日の間に、全部で613件の相談を受けています。
 相談者の内訳をみると、男女別では、男性が365名、女性が248名で、男性が多くなっています。雇用形態では、正社員が341名です。年齢的に見るといちばん多いのは、40代ですけれども、30代、40代、50代の幅で相談の件数があります。業種別では、単純に数字だけで見れば、小売卸関係が81名、サービス業が78名、製造業が70名、運輸関係が69名となっています。
 運輸関係というのは、特にトラック等の運転手です。この人たちは、非常に過酷な働き方をしています。自分で高速道路の料金を払ったり、もしくはその料金を浮かせるために一般道を走ったりして、そうなると長時間になりますから、眠る時間が少なくなってしまいます。そういう過重労働の相談や、運輸関係の会社も競争社会ですから、企業が倒産してしまうとか、雇用契約時の賃金と違うといった問題が多く寄せられています。
 賃金については、他の業種でも最も多い相談です。その中でも、賃金の未払いということで、2カ月、3カ月払ってもらっていないという人からの相談もあります。また、不払い残業、割増賃金の未払い、本来、払うべき賃金を払っていない企業の相談が非常に多いと感じています。その他に多いのは、雇用関係や労働時間についての相談です。

(2)「知らないと損をする『労働法ハンドブック』
 少なからず企業の中には、労働相談に寄せられるような実態があるということを覚えておいてください。また、不当な扱いに対しては、法律を知っておくことが非常に大切です。連合埼玉では、「知らないと損をする『労働法ハンドブック』」を発行していますので、ぜひ役立ててほしいと思います。
 特に就業規則に関することでは、就業時間や賃金などは、きちんと文書でもらわなければいけません。それから最低賃金(最賃)ですが、今、埼玉県の最賃は771円です。最賃は、2020年までに1,000円にしようと取り組みを進めています。最賃を決める審議会にも連合埼玉は委員を出しています。連合が関わっていることも覚えておいてほしいと思います。
 それから、有給休暇ですが、たとえ短時間の労働者であっても、勤続期間にもよりますが、有給休暇が付与されることになっています。それから、解雇通告は、1ヶ月前にしなければならないことになっています。それができない場合は、会社は、1ヶ月分の給料を払うことになっています。
 また、2010年までは、ほとんどのパート労働者は、雇用保険に入れなかったのですが、今は条件が変わって、31日以上雇用の見込みがあれば入ることになっています。雇用保険に入っていれば、失業した時に失業手当が出て、その間に次の仕事を見つけることができます。そう考えると雇用保険に入れるということは大事なことです。
 ただ、失業手当には、年齢や勤続年数に応じてもらえる期間があります。それを過ぎても仕事が見つからない場合、預貯金を切り崩し、それさえもなくなると生活保護を受給することになってしまうと思いますが、今では、生活保護を受給する前に、第二のセーフティネットということで、仕事を探すにあたって、まずは公的職業訓練を受けることができます。さらにその間は10万円の生活費が支給されることになっています。労働者・生活者として必要な法律や制度を知っておくことは大切なことです。ぜひ勉強しておいてほしいと思います。

 以上で講義は終わりにさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。


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