埼玉大学「連合寄付講座」

2012年度後期「働くということと労働組合」講義要録

第2回(10/15)

働くということと労働組合-なぜ、労働組合が必要か

社団法人教育文化協会理事・日本女子大学名誉教授 高木 郁朗

はじめに
 世の中で労働というものが、本当は非常に重要なことでありながら、だんだん重要視されなくなっていく傾向があります。お金の価値が高くなり、労働の価値が低くなる、これは社会にとっては不幸なことだと思います。
 今、デフレの時代と言われますが、デフレというのは、失業が多くなり、賃金が低くなる。つまり労働の価値が低くなり、それに対して、お金の価値の方が高くなる。このような時代は、非常によくないと思っています。
 少しでも働くことの価値が上がっていく時代を作っていかなければいけないと思います。
 今、連合は「働くことを軸とする安心社会」の実現を目指しています。本日の講義では、そのために必要な、働くためのワークルールを労働組合がどう作っていくかということを前提にして、今日の状況のもとで、働くことのもつ意義についてお話をしていきたいと思います。

1.東日本大震災+福島原発事故の復興の基本は雇用・就業
 朝日新聞の記事ですが、ある果物園経営者が、「長年築いてきた信用が(福島原発)事故のあの一瞬でなくなった。われわれは東電からの補償ではなく、果物を売って自前で生きていきたい」と訴えていました。
 むろん原発事故に伴って、いろいろな損害を受けた人々が補償を受けるということは必要なことです。しかし、この果樹園経営者が言っていることは、「補償よりも仕事なのだ」ということです。仕事をすることによって、所得も得られ、そして一人前に生きていくことができる。こう言っているわけです。
 東日本大震災の問題でもそうです。職場を失い、差し当たりは雇用保険の給付金を受けたり、生活保護を受けたりすることが非常に多くなっています。しかし、そういうことよりもこの果樹園経営者は、雇用就業機会の方が大切で、そのことが、自前で生きていくことの基本であり、働くことによって所得を得る、社会に参加する、これが基本にならなければいけないということを訴えているわけです。
 仕事には、無償労働(アンペイド・ワーク)と有償労働(ペイド・ワーク)の2種類があります。これからの話は、特に断らない限りは有償労働、ペイド・ワークの話だと思っていただいてよいと思います。

2.就活~何のための就職か?~
 ここで皆さんに聞きたいのは、何のための就活ですかということです。別の大学で聞いたところ「生活をするため」という答えが圧倒的多数でトップでした。2番目に多かったのは、「自分の能力を発揮するため」、3番目が「仕事が面白いから」ということでした。他にはありませんでした。
 この3つに共通することは、自分あるいは自分と家族のために就職するということです。所得を得るのも、能力を発揮するのも、面白いから、というのも自分のためです。こうなると、就職をするのは自分のため、というふうになってくるのではないかと思います。
 実は、仕事・職業ということを考えるとそれだけではありません。私は、労働は社会的意義を持っているということを絶対に忘れてはいけないと思っています。
 第一に、労働するということは、根源的に人間社会の基本的な条件です。皆さんが就職をして、仕事をするというのは、人間社会の基本的なところに立っているということを絶対に忘れてはいけないと思います。
 第二は、人間社会はさまざまな産業や職業に分化して、それに携わりながら、その間に協力の関係が成立をして、人間に必要な財やサービスが生み出されていく。そういう関係が、社会的分業として成り立っています。
 つまり、どんな仕事に就いても、人間の労働というのは、全てつながっています。「自分の仕事が他の人の仕事に役立ち、他の人の仕事が自分の仕事に役立つ」といった関わり方が、全ての職業の間に成立していると言えます。そして、人間社会の在り方というのは、仕事を通じて、人々がつながり合う社会であると考えることができるわけです。
 そうだとすると、労働するということは、皆さんが就職をして仕事をするということは、それを通じて社会に参加しているということを意味しています。その社会的分業の連鎖、つながりのなかで、どこかで参加している、社会に参加している、こういうことが労働を通じて実現していくわけです。この2つは、労働に関する一番根本的な問題です。
 第三に、人間が働くということは、働くことによって財やサービスの生産が増える。つまり、限界生産性がプラスであると考えていいわけです。だから一人でもより多くの人が働くことが経済成長の基本です。
 経済学者も、官庁も、政府の計画も、経済成長が起きると仕事が増え、雇用や就労が増えると言います。
 しかし、私は逆だと思っています。雇用や就労が増えることが、経済の成長を実現するのだと思います。1人でも多くの人が有償労働で働くことで、1人当たりのGDPを増やしていくことになります。
 そう考えると、働くことや、働く機会があることが経済成長をもたらすと考えなければならないと思います。これは皆さんの常識に反するかもしれませんが、働く機会があること・働く機会を作ることが、経済成長をもたらすのだと私は思っています。
 それと、もう1つは非常に大きな論点ですけれども、たとえば、社会保障と税の一体改革が議論されています。それはそれで、決して否定的に考えているわけではないのですが、基本的にはもう少し別の考え方ができると思っています。
 たとえば、働く人より高齢者の比率がだんだん高くなってきて、社会保障に対する働く人の負担が重くなってくる。だから、税金を増やさなければいけないというのは、論理の飛躍です。「働く人を増やせばいい。」というのがその答えでなければならないわけです。
 日本では、専業主婦という形で、有償労働についていない人が非常に多くいます。女性の就業率は、ヨーロッパでは70%ですが、日本では50%に達していません。また、高齢者についても、65歳を過ぎたら働かなくてもいいというのではなくて、もっと高い年齢まで働くようにすることで負担をする人が多くなります。そして、働くことによって収入を得られるわけですから、給付を受ける人が少なくなるわけです。
 こういった議論をきちんとしないで、負担と給付の関係を議論するのはよくないことだと思っているわけです。そういうことを考えてみますと、お金を中心に物事を考えるというのはでなくて、働くことを中心として物事を考えていかなければならないという結論になっていくだろうと思います。

3.労働を考えるポイント~4つのキーワード~
 働くことを中心に物事を考えるといった場合に、どういうことを考えればいいのか。最初に紹介した「働くことを軸とする安心社会」は、連合が現在掲げている社会の目標を考えるためのものです。このことを考える場合、(1)ワークフェア(workfare)、(2)ディーセントワーク(decent work)あるいはワークルール(work rule)、(3)ソーシャル・セーフティネット(social safety net)、そして、(4)労働組合、といった4つのキーワードを覚えておくといいと思います。

(1)ワークフェア
 皆さんはwelfareという言葉をご存じでしょうか。日本語に訳すと「福祉」という言葉になります。ついでに言いますと、福祉の「福」も「祉」もどちらも「人間の幸せ」という意味ですから、福祉という言葉は、「人間の幸せ」を意味することになります。
 そして、ワークフェアとは、workにwelfareをくっつけた言葉です。それは、「福祉(=人間の幸福)の基本に働くことをおく」ことになります。ただ、このワークフェアという言葉は評判があまりよくありません。なぜかというと、これは1970年代のアメリカで保守派のニクソン大統領が打ち出した言葉で、「働かざる者食うべからず」ということで、福祉型給付の削減を狙い、福祉国家を解体しようとしたからです。
 また、welfare to workという言葉がありますが、ニクソン大統領の考え方でいくと、「福祉よさようなら、皆で働きましょう。」こういう言葉になって、やはり福祉国家を解体するためのスローガンのような役割をしているということになります。
 しかし、福祉の基本に働くこと(=労働)を置くことは間違っていないと思います。1995年以降イギリスの首相であったブレアたちが言っているwelfare to workというのは、働くために福祉政策を活用しましょうということで、「働くための福祉」という意味です。たとえば、給付金を出すのみだったのを、教育や職業訓練をすることで皆が働けるようにしていく、ということを表現しています。
 welfare to workの意味をこのように考えると、「働くことを基本に福祉を考える」といった場合、その根底に「働かざる者食うべからず」を置いていいのではないかと私は考えています。ただし、そのためには4つの条件が必要となります。
 1つは、働きたいと思っていても、働けない状態にいる人が、ワークフェアといっても何の役にも立たない。雇われて働くということだけでなく、自営をやるということも含めて働く機会をきちんと保障することです。
 日本国憲法にも、日本国民には働く義務と権利があると書いてあります。権利があるということは、その権利を政府が保障しているということで、働く機会を保障しているということがなければいけない。さらに言えば、働く機会を保障するだけでなく、働く能力をきちんと保障しなければいけないということです。
 2つは、基本的にはどんな人にも保障されなければいけないということです。障がい者だから給付だけでいいということではなく、働く機会を保障する必要があります。これは、労働の統合(work integration)といって、仕事という形で全ての人々が社会の中に参加をするということです。
 3つには、そうはいっても、人間の生涯のなかには、働けないという状態が出てきてしまうことが決して少なくありません。これはリスクという言葉で表現されています。
 たとえば、企業が倒産をして失業をしてしまう、あるいは病気になって働けなくなってしまう、または、高齢になって働く能力が全くなくなってしまう、寝たきりになってしまうといったことがあげられます。そして、そういうリスクに備えたものが、ソーシャル・セーフティネットです。そうした人生のリスクに対する備えをきちんとしていることです。
 1つ、その保障される仕事は、ディーセントなものでなければならない。
 こういうことがワークフェアの中で保障されていないといけないということです。たとえば、失業をした時に「本人のせいだ」といって放り出し、ワークフェアという言葉を使えば人間は不幸になってしまいます。したがって、きちんとした条件のもとで働くことを真剣に考えるということが不可欠だと思うわけです。

(2)ディーセントワークまたはワークルール
[1]ディーセントワークとは

 ディーセントワークという言葉ですが、これは非常に重要な言葉です。英語のできる人や、英語を母国語にしているアングロサクソンと呼ばれる人たちにとってディーセントというのはたやすい言葉です。ただ、日本語にすると非常に難しい。日本の辞典には、快適であるとか、気持ちのいい、といったものが載っていますが、私は、「人間的な労働」という言葉に翻訳しました。つまり、「人間として、きちんと快適な労働」としました。また、連合では、「人間の尊厳に値する」としています。どういう日本語に訳されていても、内容をしっかりつかんでいればそれでいいと思います。
 ILO(国際労働機関)の文章でいいますと、「生産的で公平な賃金を保障する機会、職場の安全、家族に対する社会的保護、個人の発達の展望、社会的統合、自らの関心の表明・団結・自らの人生に影響を与える物事の決定への参加の自由」、つまり、自分の運命を自分で決められるような仕組みを作るということです。そういうものを備えている仕事をディーセントワークと言っているわけです。
 こういう形でディーセントワークの内容を理解していただければいいかと思います。

[2]労働組合は人間的な労働のあり方をめざす
 産業革命以降、産業社会と言われるようになった社会では、日本で言えば、85%もの人が雇われて働く社会になっています。この雇われて働く社会の中で、人間的な労働、ディーセントワークを実現するためにはどうしたらいいのか。
 これは、労働を考えるポイントの2番目のなかにかかげましたワークルールというキーワードになります。ディーセントワークの実現のためには、働く上でのルールがなければなりません。そして、働く上でのルールを作ってきたのが4番目のキーワードである労働組合ということになるわけです。
 ILOは、1944年に出したフィラデルフィア宣言において「労働は商品ではない」と宣言しました。そういう労働を商品ではないということを守ってきたのが、労働組合です。労働組合の活動が、ワークルールを作り、ディーセントワークの内容を実践していったということが重要になってきます。

[3]「労働は商品ではない」~なぜこの用語が重要か
 労働というのは、人間社会の基本的なものであり、人間は労働に関わることによって人間としての役割を果たしていくことができるわけです。しかし、産業の世界における労働、すなわち雇用労働の中には、人間的でない側面がたくさんあります。
 アダム・スミスの『国富論』の中でも、労働の問題が非常に重視されています。その冒頭には、「一国の人たちが消費している財は、その国の人、あるいは貿易でもって他の国の人の労働によって作られたものである。」といったことが出てきます。しかしその財をつくる労働を、アダム・スミスは、「toil and trouble」、つまり「苦労と骨折り」と言っているわけです。苦労と骨折りだから、代償として賃金を得られなければならないと、言っているわけです。
 ただし、私は、人間的でない側面というのは、賃金が低いというだけではないと思っています。他にも、仕事に対して自分が決定権をもたないことや、家族生活を持てないような長時間労働、危険な作業やストレスが強い仕事をやらされる、自分の仕事がどう生かされるのかを知らされないで部分的な労働ばかりさせられている、本当は皆と協力してやっていかなければいけない仕事であるにもかかわらず、全く孤独な仕事をさせられている、それから、日本に多くみられるように、人と人とが差別させられる非正規社員と正規社員というのがあります。さらに、嫌な仕事でも、その仕事を失ってしまうと失業をしてしまうので辞められない、といったことがたくさん起こっているわけです。
 ですから、賃金さえ高ければいいというわけではありません。人間的な仕事をしていくためには、多面的な人間の在り方をルールとして作っていかなければいけません。そのことが労働組合の役割として課せられているといえます。

(3)ソーシャル・セーフティネット
[1]ソーシャル・セーフティネット

 3番目のキーワードである「ソーシャル・セーフティネット」ですが、セーフティネットとは「安全ネット」という意味です。もともとは、サーカスなどで空中ブランコの下に張ってあるネットのことです。もし、何かの拍子で空中から落ちてしまったとしても、救済されるように張ってあるものです。
 図はソーシャル・セーフティネットの概念図です。
 ソーシャル・セーフティネットというのは、人生に起きる様々なリスクに備えてネットを社会的に張っておこうという考え方です。このソーシャル・セーフティネットは、多段階に張られています。
 その特徴は、現実よりも理想に近い形をしていることです。現実の制度では、失業をした場合、雇用保険があって、一旦そこでネットが張られて止まる。そこで、雇用保険がなくなると、生活保護にいってそこで給付を受ける、こういうネットが張られている姿を示すわけですが、現実と比べ、2つの点で理想型になっています。
 1点目は、概念図で表した場合、現実の制度では最後の拠り所となる生活保護から上に矢印が出ています。また、社会保険のところからも矢印が上に出ている。なぜ上にでているかというと、いろいろな制度によって、再度働く場所に復帰するような仕組みをきちんと作らなければいけないということで、上への矢印が出ています。
 もう1点現実と違うのは、社会保険から生活保護にいく間にこの図では「条件付き社会手当」といった制度があることです。この制度は、現在、日本には基本的にありません。
 通常は、失業をして、雇用保険を受け取り、それが終了すると、あとは生活保護ということになりますが、生活保護を受けるためには、手続きがいろいろ必要です。
 まず、資産を全部なくさないと受け取れません。極端にいうと、自分の持っている自動車(一定の条件があれば所有を認められることもある)も、(建前で言うと)自分の住んでいる家も全部なくして、生活保護の対象になります。これは資力調査(means test)といいますが、資力の「力」の中には労働能力も含まれています。調査のときに労働能力があると看做されれば、生活保護は受けられないということになります。
 しかし、国際的には、そのような厳しい資力調査ではなくて、「所得がありません。働く意思があります。」ということだけを要件にして、一定の手当てが受けられる制度があります。そういうものを作ることで、セーフティネットが、本当によく機能するようになると考えていいと思います。
 今日本では、こういった制度が1つだけあります。職業訓練を受けている期間に一定の社会手当を受けられる制度で、「求職者支援制度」ができました。これは社会手当の1つの始まりだと私は思っています。そういうセーフティネットが、さっき言ったワークフェアの裏側で機能することが、とても大切だと思います。

概念図 多段階のソーシャル・セーフティネット

[2]ワークフェアとソーシャル・セーフティネットの結合
 現在、子どもができるということは、1つのリスクとなります。これはジェンダー差別にも関わりますが、子どもができると、子どもを産んだ女性がなかなか働き続けられない。だから、保育の制度をきちんとすることは、セーフティネットです。
 一方、ワークフェアの観点からすると、そういう保育の制度を作ることが、一人でも多く働けるようにする手段だということになります。したがって、ワークフェアとセーフティネットが、まさに結合していかなければいけないということになります。

[3]セーフティネットは雇用を拡大する
 この10年間で、どんなところに就職があるかということをデータで見てみますと、男女とも、製造業は大きく減っています。逆に増えているのは、医療・福祉という社会サービスの分野です。
 このことから、セーフティネットを作るということは、雇用者・就業者を増やすことにつながっている実態を示しているということになります。

(4)労働組合
 そこで最後のキーワードである「労働組合」ということですが、労働組合は何をやってきたのか。今、何をやっているのか。結局のところ、ワークフェアとディーセントワーク、それからセーフティネット、その3つを実現するための努力というものを労働組合はやってきたのだと理解をするべきだと思っています。
 もう少し具体的に言うと、1つは、ディーセントワークを実現するために、「働くためのルール」を作るということです。どういう形でルールをつくるかというと、基本は団体交渉です。つまり、経営者と労働組合が交渉してルールを作っていくということです。
 ただし、労働組合がない企業もたくさんありますから、全部の人々に適用させるためには、もっと拡大された制度が必要となります。たとえば、労働基準法といったような制度の確立が必要で、そのような政治的な活動も必要になってきます。しかし、基本はあくまでも団体交渉でルールを作っていくことです。
 第二に、ソーシャル・セーフティネットを作り上げていくことです。つまり、社会的な制度を作って、人々が負う人生の上での様々なリスクをなくしていくようにすることです。全部のリスクをなくすわけにはいきませんが、できるだけ軽減していくことが必要になってきます。そのためには、企業の中で団体交渉をするだけではなくて、社会的な労働組合の活動(=社会的労働運動)が必要です。
 それから、今日はあまり申し上げられませんでしたが、労働組合の一番大切な機能の1つは、お互いに助け合うということです。「相互扶助の機能」といっていますが、そういう機能を労働組合が持っているということになるわけです。
 キーワードで言いますと、「ワークフェア」「ディーセントワーク」「ソーシャル・セーフティネット」の3つのキーワード、これら3つを実現していくための活動が、4つ目のキーワードである「労働組合」の基本的な役割であると言っていいと思います。

4.まとめ
 働くことには、3つの内容があるということを申し上げてきました。第一に、働くということは、たんに自分の所得の確保を超えた社会的な意義があるということです。働くことをつうじて社会に参加している、こういうことを大切にしてほしいと思います。
 第二に、働く上では何が必要かというと、ディーセントな雇用です。広くいうと就労ですけれども、こういうものを実現しなければいけないのですが、そのためにはしっかりしたワークルールを作る必要があります。これが労働組合の非常に大きな役割です。
 第三に、ワークルールを作る上では、働く当事者が参加しなければなりません。一方的に誰かが作るわけではありません。このディーセントワークの重要な中身というのは、働く当事者が参加してつくる、こういったことも労働組合の非常に大きな役割になると言っていいと思います。そのやり方は、団体交渉をとおして企業のなかでやります。そして、政府に政策として実現を要請する。
 それから、お互いの助けあいです。これは、日本の労働組合ではまだ本格的にはやっていませんが、たとえば、自分たち自身が新しいタイプの社会的企業を作って、雇用を増やしていくことも必要になってくるはずです。
 これらのことを考えると、これからの労働組合運動は、今までの労働組合の枠を超えて、企業の枠を超えて、社会的な運動を重視していくことが必要だということが私の考えです。

 ぜひ、皆さんにも、ワークフェアを軸に、働くことを軸とした人間社会の在り方、そのなかでも労働組合の活動の在り方を考えていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。


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