埼玉大学「連合寄付講座」

2010年度前期「働くということと労働組合」講義要録

第13回(7/14)

社会的課題への取り組み②
平和、人権活動を通しての国際社会への貢献

ゲストスピーカー:山口 洋子(連合副事務局長)

 私たち労働組合は、「平和であること」「人権が守られていること」が、働く場および生活する場での大前提だと考えています。そして、こういったことが守られる環境を作るために活動をしていることを、まずご理解いただきたいと思います。今日は、連合が取り組む平和活動と、人権活動についてお話ししたいと思います。

1.連合の平和活動

 まず、連合が平和運動を行う目的を紹介します。第一に、核兵器廃絶による世界の恒久平和の実現と、被爆者支援の強化、第二に、在日米軍基地の整理・縮小、日米地位協定の抜本的見直し、第三に、北方領土の早期返還と日ロ平和条約の締結です。
 これらの取り組みにあたっては、6月~9月を平和月間として、〈6月沖縄〉〈8月広島・長崎〉〈9月根室〉の平和行動を基本にして、中央および地方でそれぞれ活動しています。

2.連合「核兵器廃絶ニューヨーク行動」

 連合は国際労働運動の会議の場で、「働くこと・生活することの大前提が平和であることを考えると、労働運動がもっと平和運動に関与すべきだ」ということを主張しました。それは、「唯一の被爆国である責任」という思いがありました。それを訴えたところ、世界各国から称賛と同時に賛同されました。
 そして、今年5月にNPT(核拡散防止条約)再検討会議の開催にあわせ、平和に向けて行動を起こそうと、世界中の労働組合がニューヨークに集結しました。そこでは、世界各国の労働組合だけでなく、NGO なども参加し、タイムズ・スクエアから国連本部まで「核兵器のない世界の実現を」ということをテーマに平和行進をしました。まわりを歩いている人たちも、私たちが手にしている横断幕に書かれている言葉を見たり、配っているチラシを見たりして、「これは自分たちも参加しなければいけないことだ」とデモに加わってくれました。
 この横断幕には、「テロと地域紛争は、世界の多くの地域で発生しており、人類にとって脅威となっている。平和で安心した国際社会は、世界の労働者が安心・安全な生活を維持するための前提条件である」と記載されていたのですが、これは連合の国際政策の背景となっている考え方です。
 デモ行進後、労働組合国際平和会議を開催して、核兵器廃絶に向けて各国から参加した労働組合が、自国に対する核兵器廃絶の取り組みを訴えていきました。この会議には、インド、パキスタンの代表も出席していました。日本でも、この核兵器廃絶ニューヨーク行動に向けて、連合が中心となり、全国で核廃絶を求める1000万署名を実施しました。残念ながら700万弱というところで目標は達成できなかったのですが、これをニューヨーク行動に持参し、国連事務総長に直接渡すことができました。事前に、日本の総理大臣にも集まった署名を手渡し、「日本は、被爆国としての役割を果たしてほしい」ということを、連合会長が直接お願いしました。

3.国内における平和運動

平和行動in沖縄

 次に国内での取り組みですが、年間の平和行動のトップを切って行われるのが、6月の沖縄での行動です。1945年3月26日にアメリカ軍が沖縄に上陸をし、6月23日までの大変長い期間地上戦が繰り広げられました。
 この沖縄戦での死者や行方不明者は18万人を超えます。そのうち12万人が沖縄の人で、さらにその半数以上の9万人が、兵士ではなく民間の人たちでした。このように多くの民間人が被害者となった地上戦は沖縄だけです。
 主な行動は、集会を開き、こういったことを二度と起こさないと犠牲者の前で誓います。それから、「ガマ体験」ということもやっています。ガマとは、洞窟のようなもので、戦争中にひめゆり部隊など女学生たちが、看護師として、その中に入って爆弾や攻撃を避けながら、負傷した兵士の看護にあたり、民間の人たちもそこで避難生活をしていました。当時の人たちと同じ体験をするということで、このガマの中に入るわけです。中は、光は全く射さず、本当にまっ暗闇です。しかも、洞窟の天井からは水滴が落ちてきて、常に水にぬれているという状態です。当時の沖縄の人たちが、このような状態のなかで避難行動をしていたということを、参加者は自ら体験します。
 また、沖縄には多くの米軍基地があるということで、米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の抜本改定を求める集会とデモも行っています。沖縄の仲間が訴えるのは、今、本当に基地はいらないのだということです。
 沖縄以外にも米軍の基地があり、実弾射撃を含めた軍事演習をしています。その一つが、大分県の日出生台(ひじゅうだい)というところにあります。そこでは小学校の通学路のすぐ脇で訓練をしているという実態です。そのため、日出生台集会を開き、実弾演習に反対するという行動も行っています。

平和行動inヒロシマ

 皆さんもご存じのとおり、1945年8月6日朝8時11分に広島に原爆が投下されました。毎年この時期に平和ヒロシマ大会を行い、世界から核兵器をなくすことを広める行動をしています。
 平和大会には、ITUC(国際労働組合総連合)のメンバーも毎年参加し、スピーチをします。それから、被爆者の訴えや被爆したピアノによる演奏があります。このピアノは、被爆にあいながらも原形をとどめていて、それをNPOの人がきちんと調律をして、被爆で亡くなった方々に哀悼を示すということでこの集会のなかで演奏が行われました。
 また、労働組合の青年リーダーたちが中心となり、被爆電車での学習も行っています。広島には市電が走っていて、8月6日にはその何台かも被爆をしました。その被爆した車両の中で、被爆者の方から当時の話を聞かせていただくということをしています。

平和行動inナガサキ

 広島の原爆投下に続いて、長崎にも8月9日午前11時2分に原爆が投下されました。この長崎でも、沖縄・広島と同様に、二度とこのような悲惨なことを起こしてはいけないと誓い合う場として平和大会を開催しています。それと同時に、核兵器廃絶に向けての取り組み、被爆者支援の取り組みなど、平和にかかわるシンポジウムを行います。
 また、ピースウォークでは、労働組合の青年リーダー、女性リーダーが爆心地公園と平和公園を案内します。平和公園では県の主催で、被爆で亡くなった人たちの慰霊が行われます。そして、長崎の平和行動の最終日には、万灯流しをやります。これは、灯ろうに原爆で亡くなられた人の名前を書いて、ご遺族が川に流すというものです。そういったことも、連合長崎のメンバーが中心になって行われます。

平和行動in根室

 次に、北方四島の返還運動ということで、根室での平和行動をご紹介します。1945年8月14日、すでにポツダム宣言の受諾を決めて、敗戦が決定したという時に、いきなり旧ソ連軍が北方四島に入ってきて占領しました。結果的には、17,000人以上の島民の人たちが、強制的に追い出されました。
 北方四島のなかで一番大きな島が択捉島、次に大きいのが国後島、色丹島、小さい島がたくさんあるのが歯舞群島です。これらが未だに占領をされているところです。今年で65年たつのですが、元島民の人たちは、もう一度島に戻りたいという強い思いでいることから、労働組合としても平和運動の一環として返還運動に関わってきているわけです。
 毎年9月の第2週に、全国から労働組合の組合員が根室半島の突端にある納沙布に集まり集会を行います。納沙布に「四島(しま)のかけはし」というアーチがあるのですが、そこから「北方四島を返せ」ということをみんなで叫びます。
 また、「北方四島ビザなし交流」ということも行っています。北方領土は、外交問題として数10年間議論をしているのですが、埒があかないというのが実態です。そのようななかで、元島民の人たちは、もう一度島に帰りたいという気持ちを、外交的には解決はできないけれども、何かできないかということで歩み寄ったのが、このビザなし交流です。
 なぜビザなし交流なのかというと、ロシア政府側では北方四島を自分たち領土だと主張します。しかし、日本は、どうして自分たちの国である島に行くのに、ビザが必要なのかということで、ビザなしで島に渡ることができるということを決めています。
 昨年も、全国から応募してくるなかで60名くらいを選んで、国後、択捉の2島に行きました。私も同行しましたが、まず、島民の人たちと交流をしました。そして、島民の人の家に招かれて、いろいろと意見交換をしました。
 島民の人から「この島について、日本人はどう思っているのか」「日本がもし、ロシアのようにこのように島を統治したら、自分たちは追い出されるのか」というような率直な質問がありました。私たちの方からは「日本政府は、北方四島が日本に返還されても、旧ソ連が日本にしたような強制退去ということはせず、共存するという方針を決めているから、心配はいらない」ということを話しました。すると、島民からは「ならば日本に返還した方がいい」という反応が返ってきました。これには少し驚きましたが、現在、島の道路や住宅は相当傷んでいて、日本政府ならこれらを改善してくれるという期待がもてるということでした。
 このように時間をかけてゆっくり文化的な交流をしながら、できるだけ早く北方四島が返還されるための交流を続けています。また、この訪問では、島を追い出されるときにそのまま放置してしまった日本人墓地にも行きました。草木に覆われて荒れ放題になっていましたが、それをきれいに掃除して、最後に訪問団のなかにいたお坊さんに、お経をあげてもらいました。
 この訪問は、今年もまた行われます。ぜひ皆さんも行かれる機会があったらと思います。

公正なグローバル社会の実現

 日本国内での平和運動の紹介をしてきましたが、これらに参加しているのは日本人だけではありません。世界中から多くの人が参加していて、日本に倣って平和を高く掲げようとしています。
 それから、北方四島でのロシアとの関係を外交的にどう進めるかという点でも、労働組合として、ロシアの労働組合のメンバーとも昨年あたりから、日本の思いを伝えて、ぜひ北方領土返還運動を理解してほしいというようなことも話しあっています。
 このように公正なグローバル社会の実現ということで、連合ではこのような(パワーポイント提示)国際政策を掲げて活動をしています。

4.人権問題における取り組み

ジェンダー平等

 次に、もう一つの大きなテーマである人権問題に触れていきたいと思います。私が、人権問題の活動で第一に掲げたいことは、ジェンダー平等ということです。まず、ジェンダー平等に向けて、どのような国際的な取り組みがあるのか見ていきたいと思います。
 連合が加盟しているITUCのなかに、女性委員会があり、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアといった世界の各地域組織にも女性委員会があります。そして、そのなかでジェンダー平等推進アクションプログラムを掲げ、そのプログラムに沿って取り組みを進めることになっています。
 また、4年に1回、世界女性大会が開催され、ジェンダー平等の進捗状況を報告し、意見交換をします。そのなかで、取り組みの遅れているところを加速させるために、どのような手続きや、行動が必要かということを確認し合います。
 次に、ILO(国際労働機関)です。このILOで発信される条約・勧告は、非常に重要です。毎年6月に、ジュネーブで総会が行われるのですが、ジェンダー平等について今年は家事労働者の保護基準といったことを議論しました。来年には、この保護基準を条約か勧告の形で具体化することになっています。
 家事労働者というのは、ドメスティック・ワーカーのことで、自分の家で家事をしているアン・ペイド・ワークとは区別されます。家事労働者は、移民労働者の女性に多くみられます。アフリカやフィリピンといった発展途上国の女性が、メイドといわれる家事労働者として先進国の家庭に入っていくということが考えられます。
 その家事労働で問題なのは、いわゆる労働基準というものが存在しないということです。労働時間も決められていないし、最低賃金を含めた賃金も決められていません。そのため、多くの家事労働者は不当な目に遭っているという状況です。それをきちんとしていこうということが、今年のILO総会のなかで議論されました。
 また、国連には、CEDAW(女性差別撤廃委員会)があります。30年前に女性差別撤廃条約が採択されました。この委員会では、その条約を批准した国が、どれだけ進んでいるか、問題はないかをチェックしています。日本でもこの条約は批准しているのですが、女性差別撤廃委員会から日本政府に対して、批准した以上はジェンダー差別をなくすようにもっと努力をすべきと再三勧告を受けています。このような監視機関が世界のジェンダー平等を守っています。
 その他にも、CSW(国連・女性の地位委員会)があります。この委員会は、国連が設立されてすぐにできた委員会で、ここからCEDAWが生まれました。このように、ITUC、ILO、CEDAW、CSW、それぞれに労働組合の、特に女性の活動家が大きくかかわっています。連合もITUCに女性の執行委員を選出しているし、女性委員会のメンバーでもあります。また、ILOにも毎年10人以上の組合員を派遣して、議論に参加しています。CEDAWの会議には参加していないのですが、条約の履行についてはチェックしています。CSWについては、毎年3月に行われる委員会に出席をしています。

ジェンダー平等と人権、労働組合との関係

 今年6月に開催されたITUCのカナダ・バンクーバー世界大会では、若者にも労働組合をということで、若い人たちをこの大会に募りました。そして、集まった青年たちが、労働組合は、もっと自分たちの未来や将来が明るくなるような行動をすべきだということを主張しました。大変素晴らしいなと思ったのは、10代、20代、30代前半の若者たち一人ひとりが、労働組合に積極的に関わっていきたいという宣言をしたり、ジェンダー平等の推進を若い女性たちが主張したりしていたことです。
 それからこの大会では、面白いパネル・シンポジウムがありました。人権問題を主張する代表、ジェンダー平等を主張する代表、労働組合代表の三者でパネル・ディスッションをしました。このなかで、ジェンダー平等や人権を主張するアフリカ・セネガルの大学教授が、労働組合が非常に官僚的になっていること、トップに女性がいないということを指摘しました。今、労働組合に何が欠けているのか、将来に向けて労働組合が存続していくには何をすべきかを、ジェンダー平等の視点で発言されて拍手喝さいをうけました。
 また、労働組合の代表としてこのパネルに参加していたITUCの前書記長が、自分の娘から「お父さんたちのユニオンと違って、グリーン・ピースはすごくクールだ」と言われたことを話しました。これに対して、人権平和運動を推進するグリーン・ピースの事務局長は、「やっていることは、グリーン・ピースもユニオンも似ていて、同じレベルだと思う。でも、ユニオンがクールと見られないのはどうしてなのか、ユニオン自身がもっと真剣に考えるべきだ」ということを主張されました。そして、「違いをなくすために、似ているところを強調すれば、革新的な仕事が一緒にできるはずだ」と発言し、これも拍手喝さいでした。

WDDWキャンペーン:ディーセント・ワーク推進世界行動デー(10.7)

 連合では、WDDWキャンペーンをここ数年行っています。これは、ITUCが、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現に向けて世界一斉行動を呼びかけていることからきています。毎年10月7日には、世界中の労働組合がディーセント・ワーク推進のために行動します。
 2009年の東京行動では、ちょうど前の年からのリーマン・ショックによる危機があったので、「人間らしい仕事を守ることによって、この危機を克服することができる」ということがテーマでした。赤い文字でスタンドアップと書いて、このディーセント・ワーク推進に向けてみんな立ち上がり、行動するという意思表示をしました。

NGO-労働組合国際協働フォーラム

 人権問題の取り組みでは、労働組合とNGOが共同してフォーラムを作ることが世界各国で行われています。グリーン・ピース事務局長が言われたように、NGOと労働組合が一緒にやっていけば、革新的なことができるのではないかということです。
 連合でも、NGOと国際協働フォーラムを設置しました。NGOと労働組合間の相互理解と協働事業を促進することにより、国連ミレニアム開発目標(MDGs)に掲げられた、貧困、人権、平和、環境などの諸課題の解決に寄与することが、このフォーラムの目的です。
 国連ミレニアム開発目標は8つあります。①極度の貧困と飢餓の撲滅、②普遍的初等教育の達成、③ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上、④幼児死亡率の削減、⑤妊産婦の健康の改善、⑥ HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止、⑦環境の持続可能性の確保、⑧開発のためのグローバル・パートナーシップの推進、これらの目標を、2015年までに具体的に進めるということになっています。フォーラムでは、「児童労働の撲滅」「HIV/エイズ等感染症」「母子健康」の3つの課題別グループとなっています。

児童労働の撲滅

 児童労働の撲滅では、有害で危険な仕事を、全ての子どもにさせないことを目指しています。危険で有害な仕事とは、人間らしい成長を妨げる労働を意味しています。たとえば、資源の乏しい国では、有害なものがたくさんあるようなごみの山に子どもが入って、その中から資源となるようなものを拾ってきます。このような労働を、世界中で、7人に1人の子どもが従事させられています。
 また、途上国では、働き手とするために子どもをたくさん持つ、ということがあります。働いていれば、当然、学校にいったり、教育を受けたりすることができないわけです。教育を受けられないまま、大人になり、子供を産む、その子どもにも同じことをさせる・・・、こういった連鎖が、教育を受けることができない、貧困がなくならない理由です。
 このように、児童労働というのは、子どもたちから教育を受ける権利を奪うということでもあり、これも大きな人権侵害ということになります。ですから、連合もこの児童労働撲滅運動をフォーラムと共同で行っています。つい最近も、シンポジウムを開催したばかりです。

AIDS対策

 エイズは、サハラ以南のアフリカで深刻な社会問題となっています。ただ、これはアフリカだけでなく、アジアでも増加しています。そして、特に私たちが自覚しなければいけないのは、日本でも非常に問題が大きいということです。先進国でありながら、HIV感染者が若者を中心にして増え続けているという実態を、私たちはきちんと認識する必要があります。連合では、予防と感染者への支援を、国連と一体となって取り組んでいます。

5.連合・愛のカンパ

 今までは、連合自らの行動をとおして、平和運動および人権運動の取り組みについてお話しましたが、もう一方での大きな取り組みとして、「連合・愛のカンパ」というものがあります。これは、連合が創立してから20年間ずっと続けていることです。
 このカンパは、人権、子ども、保健・福祉、環境、自然災害等の課題に献身的に取り組んでいるNGO、NPO等の事業・プログラムに対する支援・助成活動のために使われます。連合の組合員は680万人いるので、この人たちが一人10円を寄付しただけでも大変な金額になります。これまでの総額は、29億円にのぼります。
 その寄付に対して、NGO、NPOから応募してもらいます。人権や子どもたちの貧困などに対して活動している団体に、今行っている事業において、どのくらいの資金援助があれば活動を続けられるのかを報告してもらいます。これは連合のホームページで毎年1月から3月くらいまでの間募ります。それが集まった段階で、一団体ずつ面接をして、何をやりたいのか、具体的にそれができる枠組みになっているのかを審査します。初年度の金額は少ないのですが、1つの事業に対して3年間助成し、実績を重ねていくと援助の金額を増加していくというようになっています。
 具体的には、連合本部が中央という立場で助成をするところと、47都道府県にある連合の地方組織において、その地域で活動する団体にも援助をするようになっています。今年はまだ審査の最中ですが、昨年でいうと、中央からは42団体、地域助成は51団体で、全部合わせて1億円以上の援助をしています。
 特に、アジア地区などの途上国に対して活動しようというNGO、NPO団体がとても多いです。あとは、大規模災害などの救援・支援活動をしている団体、戦争や紛争による難民救済活動、人権救済活動、地球環境保全活動、ハンディキャップを持った人たちの活動などをやっている団体です。これらの団体を審査した結果、その事業にカンパをしています。そして、組合員からカンパをしてもらったものが、有効に使われているかもきちんとチェックしています。これは国内だけでなく、海外の活動についても同様です。
 その中で見てきた活動の一部を紹介しておきます。プノンペンのごみ集積所スラム地区で、ごみ拾いをしている子どもたちに勉強を教えている団体ですが、これは、仕事の合間の時間ということで、外で授業が行われていました。それから、スラムのノンフォーマル教育ということで、学校に行きたくてもいけない子どもたちへの教育です。ここでは青空教室ではなく、建物の中で授業を行うようになっています。さらに、タイの難民キャンプで、移動図書館活動を行っている団体もあります。車にたくさん本を積んできて、子どもたちに、その本を読んでもらうという活動です。
 他にもまだまだあるのですが、このような活動に対して連合では支援を行っています。

 私たちが、安心して働いて生活できるのは、平和であり、守られるべき人権があってこそです。そのために、連合では、自らも活動をするし、そういった思いを共にする人たちをもサポートしているということを報告させていただきました。
私からの報告は以上です。ご清聴ありがとうございました。

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