連合では、連合がめざす「労働を中心とした福祉型社会」の実現に向けて、2009年7月から向こう2年間の『2010年~2011年度 政策・制度 要求と提言』を取りまとめました。あらゆる業種の産業別労働組合が加盟する連合は、すべての働く人の雇用と暮らしを守るという立場から、さまざまな分野で非常に多くの政策を抱え、それを実現するために活動しています。そのため、この『政策・制度 要求と提言』も非常に多岐にわたる内容になっています。
今日は、連合の掲げる政策・制度の実現に向けて、連合が政府や各政党、各省庁等とどのように連携し、政策実現活動に取り組んでいるかを中心に、話をしたいと思います。
1.政策実現に向けた協議の全体像
政府との政策協議は、自民党政権時代から「政労会見」(総理大臣と連合会長の会談)などの形で行ってきましたが、民主党政権の成立以降は、「政府・連合トップ会談」「政府・連合定期協議」という体制で、連合から政府にさらに本格的な意見交換と政策反映を行う場ができました。各省庁の大臣および副大臣と協議を行う省庁別「政策会議」もできました。また、新しい法律の作成や改正などの議論を行う各種審議会にも、連合は、政権交代前から参画し、委員を出しています。
民主党には「企業団体委員会」「国会対策委員会」があります。これらは、新しい法案や改正案などを国会にかける前に、党としてもう一度その内容を見直す場ですが、これらの委員会に連合も参加し、意見を交換しています。
こうしたさまざまなルートを通じて、連合がめざす、私たち労働者が安心して暮らせる「労働を中心とした福祉社会」の実現に向けて取り組んでいます。
【「3層構造による社会的セーフティネット」構想】
ここで、現在連合が提起しているもっとも重要な政策のひとつを具体的に紹介します。
①従来のセーフティネット
日本社会は、雇用労働者が大半を占める雇用社会です。1980年代頃までは、終身雇用と年功賃金が中心で、家族も含めた手厚い福利厚生、職業訓練も企業を中心に行われ、国はあまり介入する必要がありませんでした。また、男性が働く一方で、女性は結婚や出産のために仕事を辞めることが多く、男性片働き世帯が多いのも日本の特徴でした。
この時代は、父親や夫が一家を支えて働くのが一般的であり、家計補助的であった主婦パートや学生アルバイトに失業手当を出すという発想はありませんでした。セーフティネットは、正社員を中心にして設定されていたのです。
しかし、グローバル化が進むなかで、企業が安い労働力を求めて中国やインドに工場を移し、国内では、規制緩和によって短期間の雇用契約を何回も繰り返すなど、雇用形態の多様化が進みました。その結果、景気の悪化もあいまって、賃金の高い中高年正社員のリストラが始まり、次いで、非正規労働者の契約解除が起きました。さらに、新卒採用の見送りが相次ぎ、若年者の未就業者が増加しました。また、大企業のコスト削減の影響で、下請けである国内の中小零細企業はどんどん倒産し、自営業者にも多くの失業者が出ています。2010年5月の失業率は5.8%の高水準に達し、貧困層はますます拡大しています。
こうした中で、今までの正社員中心のセーフティネットは機能不全に陥っています。たとえば、失業時の生活を保障する雇用保険という制度があります。これは、失業して再就職を希望する人には、一定の期間失業手当が給付されるものです。手当を受けている間に就職できず、収入を得る手段が見つからなければ、最終的には生活保護を申請することになります。ただし、生活保護は簡単には受給できません。とくに就労可能な年齢層の男性は、非常に厳しくチェックをされます。年越し派遣村にきた人たちも、そのような理由で生活保護をなかなか受けられませんでした。本来、そのような人たちには就労機会につなげるためのアドバイスを行うところですが、年末年始の時期だったこともあり、まずは生活保護の申請をしようということで、NPOと労働組合が協力してなんとか生活保護の受給申請ができました。
しかし、生活保護が受けられたとしても大きな問題があります。いったん生活保護を受け始めると、受給が長期化するという問題があるのです。生活保護の財源は国と自治体が負担しますので、受給の長期化は相当な財政の圧迫につながります。
また、雇用保険は、今年の3月までの制度では、従業員を6ヵ月以上雇用する見込みがある場合、企業に加入義務がありました。しかし、企業としては、非正規労働者の雇用保険料の支払いを逃れるため、3ヵ月などの短期間の契約を何回も更新して、何年も働かせていました。そうすると、その人たちは雇用保険に加入していないので、契約満了で雇い止めになった場合でも、一切失業手当を受給することができないわけです。しかし、政府はパートやアルバイトの働き方が現在のようになるとは想定しておらず、この問題に手をつけてきませんでした。
②連合による新たなセーフティネットの構想
これまで述べてきたように、政府による現在のセーフティネットは、そこから漏れてしまう人たちが多く、また、雇用保険の適用を受けられたとしても、その受給期間が過ぎると、つぎは生活保護になってしまいます。そこで連合では、「3層構想による社会的セーフティネット」構想を提案しました。
この基本的な考え方は、積極的雇用政策がベースになっています。日本では、これまで製造業が雇用の中心でしたが、今雇用を必要とするのは、介護、医療・福祉、教育、環境、農業、林業など、人がいなければできない対人サービス分野、または労働集約的な分野です。ただし、この分野の仕事は、仕事が大変きついわりには賃金が低い場合が多く、若い人たちがなかなかやりたがりません。そのため、これらの分野を改革して、賃金を上げ、労働条件の整備をはかった上で、雇用に結び付けていくことを提起しています。これにより、非正規雇用から正規雇用に移っていく流れを想定しています。
それでも失業した場合の第1のネットとして、雇用保険(基本手当)をベースに社会保険や労働保険による給付を行い、失業期間の生活を保障するという考え方にしています。ここでは、非正規の人たちにも、社会保険や雇用保険の適用を拡大することを提起しています。実は、連合の働きかけもあって、今年の4月から、31日以上の雇用の見込みがある場合には雇用保険に加入できるように制度が改正されましたので、この第1ネットが少し広がりました。
さらに、長期失業者や日雇い派遣など低賃金の非正規労働者、母子世帯の母親などには、第2のネットを設けます。ここで、就労や生活保障をサポートする政策をおこないます。経済的な支援を行いながら、職業訓練や教育を受けられる仕組みを作って、就労の場を広げていくことを考えています。
この第2ネットにおいて自立が難しい場合には、第3ネットとして、生活保障給付を設けます。これは生活保護制度が「最後の砦」として十分機能していくように抜本的に見直したものです。このように、社会全体で支えていくようにします。
連合では、このような3層構造による仕組みを作っていくことを提案しています。
それでは、もう一度、政策協議のフレームワークに戻り、もう少し具体的に説明します。
2.政府との政策協議
(1)政府・連合トップ会談
具体的な政府との政策協議の場として、3段階の協議体制をとっています。まず、もっともハイレベルの協議として、政府・連合トップ会談があります。連合からは、会長、会長代行、副会長、政策委員長、事務局長が出て、政府からは、総理、財務相、国家戦略担当相、厚生労働相、行政刷新相、経済産業相、官房長官他、その時々のテーマに応じた担当大臣が出席します。先ほども述べた通り、これまでの自民党政権時代にも会談をしていましたが、どちらかといえば、形式的な要請にとどまっていました。しかし、民主党政権下では、各段階で実質的な協議を行うことを政府と連合の双方で確認し、この点が大きく変わりました。具体的には、その時に一番重要だと思われる政策について意見交換をします。
トップ会談の1回目のテーマは雇用でした。とても厳しい状況にあり、新卒就職内定率も低い状況でしたので、中小企業への支援、新たな雇用創出に向けた福祉分野への対策の強化、それからセーフティネットについて意見交換を行いました。
2回目は最低賃金の引き上げ、労働行政、地域主権戦略などについて意見交換をしました。
(2)政府・連合定期協議
トップ会談はたびたび行われませんが、次に実務レベルの協議として、月1回程度、実務責任者が具体的な政策の意見交換を行う政府・連合定期協議を実施しています。連合側の出席者は、事務局長、副事務局長、その時の課題に関係する総合局長です。政府側からは、官房長官、官房副長官、国家戦略・行政刷新担当副大臣、内閣府担当副大臣、厚労省副大臣など、テーマに応じた副大臣が出席します。これまでの定期協議では、セーフティネットの具体策を中心に、最低賃金の引き上げや公契約基本法のあり方についても話し合いました。
「公契約」とは、自治体が公共事業や公共サービスを民間委託するときに結ぶ契約のことです。連合では、公契約を結ぶ際に、それに携わる人たちの労働条件もきちんと決めることなどを、法律に明記しておくことが必要だと考えています。その結果、契約金が少し高くなるかもしれませんが、それよりも労働条件がしっかりしていないところに公的な仕事を任せることの方が問題だと思います。契約金が安いというだけで委託先を決めてしまうと、企業はどんどんコストを下げて、人を減らしたり、経験が浅く賃金の安い非正規労働者を使ったりします。そうすると、結果的に事故などにつながる可能性が高いので、ここをきちんと規制するということです。自治体では、すでに公契約条例が制定されているところもあります。
(3)政策協議の具体的な成果
以上のような協議の結果、まず、雇用調整助成金の支給要件の緩和が実現しました。雇用調整助成金は、中小企業の収益が減少したときに、労働者を解雇せずに一時的な休業や出向とした場合には、その企業に対して人件費を一定程度助成する制度です。
また、2009年度第2次補正予算において、非正規労働者に対する雇用保険の適用範囲の拡大、雇用保険が適用されない求職者に対する職業訓練受講費の補助、職業訓練期間中の生活費の給付、住宅困難者に対する住宅手当給付が実現しました。しかしこれは、暫定措置のため、連合ではこの制度の恒久化を要請しています。
それから、総理大臣の主催により、連合と産業界、有識者、政府の四者が雇用戦略の重要事項について踏み込んで議論する場として、「雇用戦略対話」が設置されました。このなかで、最低賃金を早期に引き上げることが協議され、景気状況を配慮しつつ、全国平均1000円を目指すことが決まりました。これには産業界から相当な反発がありましたが、最終的に1000円という目標が合意できたことは、大きな前進だと思っています。
3.各省庁との政策協議
各省庁との政策協議は、公式・非公式も含めて自民党政権の時も行っていましたが、民主党に政権交代したことで、より緊密な意見交換できるようになったと思います。ここでは、各省庁に対して、連合の政策・制度要求の関係項目を説明し、意見交換を通じて法改正等に繋げています。今は、連合が2011年6月まで取り組む重点政策について協議しています。私も、会長代行として、以下の3省との協議に参加しました。
財務省とは、社会的セーフティネットの強化、税制の抜本改革などについて議論をしました。社会保障と税の共通番号制については、選択肢を示して議論を行いました。
文部科学省とは、就職協定の廃止により就職活動が早期化しており、学業に支障をきたしかねない状況であること、また、既卒者の就職も厳しくなっていることから、「新卒とは何か」を議論し、企業側の求める人材の明確化に努めていく必要があることを確認しました。また、現行のインターシップ制度は、有効なスキルを習得するには期間・内容ともに不十分であると指摘しました。
法務省とは、民法改正や、人権侵害救済法、外国人労働者受け入れについて議論をしました。これらについては、民主党が与党であるうちになんとか法改正をしたいと思います。とくに、国連の女子差別撤廃委員会から、再三にわたって民法(家族法)について問題が指摘されています。たとえば、男性と女性の結婚可能年齢が違うとか、婚外子の差別問題とか、結婚したら結婚前の姓を変えなければいけないなどです。これらの背景には、明治時代の旧民法にもとづく考え方があり、それがいまだに生きているといえます。そこにはそもそも男尊女卑の発想があるので、それを変えていく必要があると考えています。
ただし、民法改正は、連立与党である国民新党が反対の姿勢をとっており、閣議決定できない状態です。それでも法務省とは、改善策の選択肢を示し、なんとか国会に提出したいということで、話し合いをしました。
4.政党との政策協議
各政党との政策協議も行っています。直近では、各党に対して『2011年度連合の重点政策』の要請と意見交換を実施しました。
民主党には、「ディーセントワーク」が、民主党の成長戦略の理念に欠けているのではないかと申し上げました。その結果、政府の『新成長戦略(基本方針)』に、新たにそのことが付け加えられ、それとともに「非正規と正規の均等・均衡待遇の推進」「ワーク・ライフ・バランス」が掲げられました。
私は、みんなの党との協議に参加しました。協議では、正規と非正規の均等・均衡待遇をどのような基準で進めるのかについて、かなり具体的に議論しました。また、公務員制度改革に関して、公務員には民間企業のように労使紛争が解決しない場合、仲裁に入る労働委員会という組織がないため、やはり、公務員の労働基本権を守るための仲裁機関の仕組みを明確にすべきではないか、と議論しました。
5.経営者団体との協議
(1)日本経団連、商工会議所、経済同友会とのトップ会談
毎年1月に、その年の春闘に向け、連合は現下の情勢認識と基本的な考え方を述べた『連合白書』を出し、経団連は『経営者労働政策委員会報告』を出します。そしてこれらを元にして意見交換を行います。これをマスコミは「春闘のキックオフ」と報道します。この協議において、今回は、新卒の就職内定率が過去最低であったことを受け、経団連と「若年者の雇用安定に対する共同声明」を出しました。そのなかで、政労使のそれぞれの役割を確認し、対応を求めました。
(2)若年者の雇用安定に向けた政労使の役割
ここ数年、労働に関する不安が増えていることもあり、労働組合の存在が結構知られるようになりました。私の出身組織でも、契約の更新時期にはたくさんの非正規の人たちが相談にみえます。その人たちの話を聞いて驚くのは、労働関係の法律はおろか、自分がどういう雇用形態にあるのか、たとえば派遣なのか、請負なのか、直接雇用なのか、わからない人が多いということです。
労働法は詳細に知っておくに越したことはありませんが、自分の身を守る法律や制度について、ある程度は知っておかないといけません。この連合寄付講座の目的もひとつはそこにあります。また、学校教育におけるキャリア教育や職場体験の促進に協力することも労働組合の役割だと思います。
経営側に対しては、企業の役割として、通年採用への努力、内定取り消し回避のための取り組みの徹底、ジョブカード制度への協力を求めました。また、公的職業訓練における技術者の派遣協力も要請しました。
職業訓練に関しては、大学でも対策が必要かもしれません。今、大学を卒業しても就職ができず、もう一回専門学校に通い直して資格を取ったり、技術を身につけたりする人が多くいます。大学でも、卒業後の状況を見据えて、対応していくことが大切だと思います。
政府には、介護や環境分野における雇用機会の拡大や、緊急人材育成支援事業である「未就職卒業者向け訓練コース」について、企業の実際のニーズに対応できるように、内容の充実や支援体制の整備を求めています。
6.審議会を通じた法改正等の取り組み
政権交代後、労働組合が各省庁の審議会に参加する機会は、これまで以上に増えました。その結果、労働組合の意見がその中でかなり反映できているのではないかと思います。
私たちが力を入れている審議会のひとつに、労働政策審議会があります。ここでは、労働基準法、労働者派遣法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法など、様々な労働に関する法律の改正の議論を行います。
この審議会の下に、7つの分科会と13の部会、専門調査会があります。審議会は法律に基づいて設置されていて、主に法律や、法律の内容を具体的に規定する指針の改正について、公労使の三者構成で議論します。公労使の三者構成とは、労働者側委員と経営者側委員が同数出席し、公益委員から座長が出て、議論を進めていく形です。
法律の施行までの流れは、多くの場合、有識者による研究会などで議論が行われ、その報告を元に審議会で議論→公労使三者による合意内容を審議会報告として厚生労働大臣に建議→厚労省による法律案要綱の作成→審議会に法律案要綱の諮問・答申→法律案について内閣法制局の審査・確認→国会提出→国会審議を経て法律成立(改正)→施行、となります。
労働関係の法律は、最低限の義務や努力義務を事業主に課すものです。そのため、労働組合としては、法改正後に、法律を上回る制度を労使交渉で獲得し、労働協約を結んで、さらによりよい労働条件にしていく取り組みが必要です。法律を上回る企業が多くなれば、次の法改正が早まります。そして、労働組合のない中小・零細企業の労働条件も向上していく、そういう好循環をもたらすことになるわけです。
【育児・介護休業法の場合(事例)】
(1)これまでの経過
育児休業法は1991年に制定され、1992年に施行されました。法律が国会で成立しても、法律内容の周知や手続き事務の確定など実務的な準備がさまざまありますから、法律の施行までは1年ほど時間をとります。大企業では、すでに1987年に1年間の育児休業を制度化していたこともあり、いよいよすべての企業を対象に法律で育児休業を定めることになりました。1995年には介護休業も法制化され、名称も「育児・介護休業法」となりました。
その後数回の法改正がありましたが、職場では相変わらず仕事と育児の両立は難しい状態が続きました。これまで日本社会は、男性は外で家族を守るために働き、妻は家庭を守る、という性別役割分担が主流でした。女性が育児をしながら働くことは、職場では歓迎されないため、女性は結婚や出産を控えるようになります。政府が少子化対策としていろいろな政策を考えても、それが職場では反映されているとはいえませんでした。
こうした点をきちんと改善していこうと、2008年8月から、再度審議会を立ち上げ議論しました。
(2)審議会での具体的な中身
当初この法律改正の背景には、少子高齢化が進むなかで、労働力をどう確保していくかという課題がありました。有識者による「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書」も少子化に焦点を当てた内容となっていました。しかし、最近は40代、50代の男性で親の介護のために離職をする人が結構多くなっていることを踏まえ、連合としては、審議会で介護休業についても議論することを要求して、育児・介護全般を議論することになりました。
論点として整理されたのは、女性のM字型カーブの解消、ワーク・ライフ・バランスの推進、男性および非正規労働者の育児休業の取得推進等です。
介護休業については、休業期間を現行の93日から1年間に延長することを要求しましたが、法改正にはつながりませんでした。有期労働者については、出産などで雇い止めをされる例がたくさんあることが指摘されました。ワーク・ライフ・バランスは、これから企業に必要な視点ということで、取り組みを進めることになりました。
女性が働き続けるために、企業はバックアップするというのですが、具体論となるとなかなか話が進みません。育児休業が取りにくい職場環境がある限り、育児・介護休業法は活かされません。そうしたことをなくすためにも、まず法改正をして、あとは労働組合が職場で活動を進めていくことが必要だと思います。
審議会は原則公開で行われるため、とくに育児・介護休業法が審議される雇用均等分科会は、女性の地位向上に取り組む女性団体が多く傍聴します。彼女たちには、公の場で発言する機会がなかなかありません。しかし、私たちは連合の委員ですから、指名されて発言する権利をもっています。そういう意味では、傍聴している彼女たちの思いも含めて発言しなければいけないと思っています。結構プレッシャーになるのですが、そういった団体の立場や、労働者の立場に立って、一生懸命議論をしてきました。
(3)主な改正点
審議会での議論の結果、3歳未満の子どもがいる従業員の短時間勤務制度と残業免除の義務化、父母ともに育児休業を取得した場合は1歳2ヵ月まで休職を延長可能、2人以上の子どもがいる場合の看護休暇を年10日の付与に改正、家族のための看護休暇の新設という内容が、新たに改正されました。
ただし、従業員100人以下の中小企業については、2年の猶予期間が設けられました。このため、連合では、春闘の取り組みで、中小といわれる職場にも育児・介護休業の制度改善を進めています。
以上のように、連合では、政府、政党、経営者団体、審議会といったルートを通じて政策の実現に向けた取り組みをしています。
今、連合では、連合の組合員だけではなくて、非正規の人たち、これから社会人になる若い人たちが社会に出て失望しないように、さまざまな場面で取り組みをしています。このことを、今日の私の話から少しでも理解をしていただければありがたいと思います。どうもご清聴ありがとうございました。
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