埼玉大学「連合寄付講座」

2008年度前期「ジェンダー・働き方・労働組合」講義要録

第11回(6/25)

地域における男女平等参画への取り組み

ゲストスピーカー:竹花 康雄 連合埼玉事務局長

地域における男女平等参画への取り組み
―小さな職場での取り組み・現場からの声―

ゲストスピーカー:横山 薫 連合埼玉女性委員会副委員長

地域における男女平等参画への取り組み

竹花 康雄(連合埼玉事務局長)

1.自己紹介~労働組合との関わり
  みなさん、こんにちは。連合埼玉で事務局長をしている竹花と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、「地域における男女平等参画への取り組み」というテーマについて、最初私からお話し、その後横山さんからお話いただきたいと思います。
  私は、岩手県出身で6人兄弟の5番目に生まれました。当時は、中学のクラスの約半数が、卒業後働きに出ていました。地元では働く場所がないので、みんな関東、関西方面に就職していきました。そのような中で、幸いなことに私は高校に進学でき、機械いじりやモノを作るのが好きだったということもあって、工業高校の機械科に行きました。
高校卒業後、埼玉県上尾市にある日産ディーゼル工業株式会社に就職しました。大型トラックやバスの製造、ディーゼルエンジンの製造を行っている会社でした。入社した時、すでに労働組合があったので、労働組合というのは会社の中にあって当たり前なのだと思っていました。
  労働組合の青年部や女性部では、ダンスパーティやクリスマスパーティなど、いろいろなレクリェーション活動をしていました。私は全てが珍しくて、いろいろな活動に参加していたところ、企画もやってみないかと誘われ、実行委員になりました。それが、労働組合の役員をやるきっかけだったのではないかと思います。その後、職場の組合役員を経て、専従役員になりました。専従役員というのは、会社の仕事から一定期間離れて、労働組合の仕事を専門的に行うということです。一定期間のつもりが、以降なぜか20年も労働組合の仕事をやっている、ということになりました。

2.労働組合は本当に役に立っているのか
①労働組合の役割
  日本の労働組合は、企業別労働組合が一般的です。労働組合の役割は、そこで働いている人(組合員)の雇用と生活を守る、その生活を豊かにしていくことが最大の役割です。そのため、各企業に対して、賃金の引き上げや労働時間、休暇の問題、安全な職場や快適な職場にするための職場の改善などの要求を掲げ、組合員や従業員を代表して会社側と交渉します。
  しかし、賃金が上がっても、税金が非常に高い、医療費の負担が重い、などの政策課題については、企業内の交渉だけでは解決できません。それらの課題については、国や自治体の制度や法令などの改善が求められ、その実現にはより大きな組織での取り組みが必要になります。たとえば、日産グループの各労働組合では、日産労連という連合体を作っており、その日産労連の上には、さらに上部団体として、日産だけでなくトヨタ、ホンダなど自動車関係の組合が集まった自動車総連という産業別組織があります。さらに、そうした51の産業別組織で構成されているのが、ナショナルセンター連合です。
  ちなみに、連合埼玉は、連合の47地方組織のうちの1つで、18万人の組織人員です。連合全体では加盟人員680万人であり、これだけの働く人が参加する組織であるということをバックに、勤労者の生活改善のため、国などに対して様々な要請をしています。

②労働組合は社会からどう見られているのか
  現在、労働組合の組織率は18.1%です。日本の雇用労働者5,565万人のうち、労働組合に入っている人は、約1千万人に過ぎません。
  私は、就職したときから労働組合があって当たり前という感覚でしたが、組合役員としていろいろな外部の仕事を行っていくうちに、約80%の人が労働組合に入っていない、労働組合とは関係していないということを実感しました。労働組合は、世の中ではあまり知られていない存在であり、その上、企業内の組合活動は外から見えませんから、一体何をやっているのかわからない、というのが実態ではないかと思います。
  組織率が下がってきた理由は、一つには各企業で正規労働者が減り、パートや派遣、請負などの非正規労働者が増えてきたことがあります。企業別労働組合は、正規労働者中心の組合が多いため、結果として組織率が下がっていくという状況になっています。
  労働組合の目的は、広く言えば、そこで働いている労働者全体の労働条件を改善していくことです。もはや、今までの労働組合のように、正規労働者だけを対象とした労働条件の改善をしていたのでは済まされないということです。

③新しい時代における労働運動への転換
  そこで、労働組合の従来の様々な慣行等を変えていこう、新しい運動を伝えていこうと、今までの労働組合からの脱皮を試みています。今までのあり方を転換しなければ、自分の職場の労働組合員も守れないし、まして同じ職場で働いている労働組合員でない人も守れないのです。
  連合埼玉では、今、「21世紀型労働運動」として、地域社会の多様なニーズに応えられる労働運動への転換ということで活動を進めています。
  第一に、これまでは、企業の中で交渉をして企業の中で用が済む、という時代でしたが、最近では、もうそれは不可能になってきています。そのため、自前でする運動から、いろいろなネットワークを使った運動に変えていこうということです。
第二に、これまでの労働組合は、男性中心の労働組合でした。これからは、女性の声をより反映していくため、女性にもいろいろなネットワークを担ってもらう労働組合にしていこうということです。
  第三に、非正規労働者にも労働組合に加入してもらい、一緒に活動できるものに切り替えていこうという取り組みを進めています。

④地域社会の多様なニーズに応えられる労働組合へ
  働く人を含めた地域社会のニーズに応えられる労働組合にしていくことも必要です。介護や医療の問題、あるいは、元気な高齢者が活躍の場を求める声もあるので、そういう人にいろいろお手伝いをしていただくなど、そうした要望を十分に受容できる労働組合にしていこうと思っています。

3.男女平等参画社会推進の背景・問題意識
  日本は、猛烈な勢いで少子高齢社会になっています。日本の人口のピークは2006年で1億2,774万人でしたが、このままでは2055年には9,000万人を切ると推計されています。15~64歳までの生産年齢人口も減少して、働き手がどんどん少なくなる社会になっていきます。
  また、1人の女性が平均して一生のうちで何人の子どもを産むかを表す合計特殊出生率は、1975年では1.91と、約2人でしたが、最近では1.25、およそ1人という状況です。つまり、人口は確実に減っていき、その一方、高齢者は増えていくという社会になってきています。
  このように、今後は、夫婦がともに働いて生活をしていく社会になることは必須であり、特に、女性が働きやすい環境を整備していく必要があると考えています。連合埼玉としても、男女がともに協力していくことを大前提に、誰もが働きながら、子どもを産み育てられる社会の実現に向けて取り組んでいます。

4.男女平等参画社会実現に向けた連合・埼玉の取り組み
  連合では「男女平等参画で組合を変えよう!」ということで、3次にわたる「男女平等参画推進計画」を作成し、男女平等社会の着実な実現に向けて取り組んでいます。連合埼玉でも、同様の計画を作り、活動を進めています。
  連合埼玉の推進計画では、まず、労働組合の担い手としての女性のリーダーが、着実に増えていくように様々な活動していきます。次に、男女平等参画社会の実現に向けて、政府や地方行政に要請を行なっていきます。三つ目として、男女ともに協力して、子育てしながら働ける環境の整備について、各企業に要請をしていきます。
  連合埼玉では、特に子育ての面で、各企業や自治体に様々な要請をしています。2006年からは、出産した女性が働きやすい環境を作っていこうという取り組みをしてきました。女性は、出産後に離職するケースが多くありますが、子育て中は仕事を探すのも困難な状況です。そのため、職場でも子育てをしながら働ける環境整備を図ってほしいということとあわせて、子ども連れでも再就職に向けた相談ができるようにしてほしいという要請をしました。その結果、本年5月に、再就職を希望する子育て中の女性が仕事を見つけるために利用できる「女性キャリアセンター」が誕生しました。
  さて、最後になりますが連合埼玉では「知らないと損をする労働基準法」という小冊子を作成して配布しています。この中には、労働相談のフリーダイヤルを掲載してあるので、いろいろな相談がきます。たとえば、「パートで有給休暇はもらえるのですか」「時給700円ですが大丈夫なのですか」などの問い合わせがあります。
  埼玉県の最低賃金は、毎年連合が交渉をして引き上げていますが、現時点(2007年度)では702円です(2008年度722円)。パートもアルバイトも時給702円未満では法律違反になります。有給休暇も、一定期間勤めるか、あるいは週の中で一定時間働いていれば、パートでもアルバイトでも権利として有給休暇が取得できます。このような働く上での最低限のルールを掲載していますので、ぜひ活用していただきたいと思います。

 続いて、小さな職場での取り組み・現場からの声として、連合埼玉女性委員会副委員長の横山薫さんから、職場での取り組みについての紹介をしていただきます。

地域における男女平等参画への取り組み
―小さな職場での取り組み・現場からの声―

横山 薫(連合埼玉女性委員会副委員長)

1.はじめに
  みなさん、こんにちは。ご紹介いただきました横山と申します。
  今日は、私から「現場からの声」ということでお話をします。私の職場は本当に小さく、非常に封建的なところでした。それが変わってきた現状と、なぜ変われたのかということについて、話したいと思います。

◇自己紹介~労働組合と職場
  私は、高校時代に担任の社会科の先生から、授業で何度も労働組合について聞かされていました。その先生は労働組合に携わっていた経験があり、よく言っていたのは、「働く人の権利を守り、働く人が差別されることなく、一人の人として扱われるように闘う組織が、労働組合である」ということでした。
  その頃から自分の中に、男とか女とかという前に、一人の人としてどうしたいのか、一人の人間として存在していくとはどういうことなのか、という問いが生まれてきました。そして、私は高校卒業後、社会に出て働くようになったら、女として損をしたくないと、漠然と思うようになったのです。
  私は、1977年に埼玉県市町村職員共済組合に就職しました。そこは、地方公務員の福利厚生を扱う組織で、全国47都道府県にありますが、私の職場は埼玉県の中で一番大きな団体であるといわれています。しかし、いざ中に入ってみると、とても封建的で、非常に衝撃を受けたことが、今でも忘れられません。
  私は働きながら、東洋大学社会学部第2部に入学し、女性学と自分が仕事で携わっていた年金、医療などの社会保障制度について学びました。4年間、ひとまわり以上年齢の離れた学友たちとノートの貸し借りをしながら楽しく過ごし、36歳で卒業しました。
  その翌年、連合埼玉女性委員会に出会い、以来労働組合に携わって13年がたちます。
  私の職業には、埼玉県市町村職員共済組合の福祉課で課長補佐的な立場の仕事をしている部分と、連合埼玉の特別執行委員、もしくは自治労埼玉県本部の女性部事務局長という部分があります。私にとってその両方が「仕事」であり、それほど労働組合は私の中で大きな存在になっています。

2.職場の男女平等の状況
  まず、職場での男女平等に関する状況の具体例として、2つ説明します。
  一つは、朝の掃除・お茶入れです。就職した当初、本当に驚いたのは、朝の机の掃除から始まって、8時半のベルとともにお茶を入れて配り、11時過ぎにまたお茶を配り、お昼にお茶を入れ、3時にお茶を入れ、夕方にそれを片付けて帰るという生活です。その間に仕事をしますが、あまりはかどらず、半分はお茶くみが仕事になっていたようなものでした。ようやく今年になって「お茶は、各自飲みたい人が入れましょう」「自分のことは自分でやりましょう」と変わってきましたが、ここにたどりつくまでに大変な葛藤がありました。
  二つ目は、出張が男性限定になっていたということです。私は保険課というところで災害給付の仕事をしていました。火事が起きると現地に行き、現場の写真を撮ってきて、被害にあわれた人に給付金を支給するという大切な仕事でした。しかし、現場に行くのは担当の私ではなくて、直接関係のない男性職員が行くという慣行でした。一度上司に、なぜ私が現場に行ってはいけないのか、と聞いたことがあります。すると「行っていけないわけではないけれど、女性だから」という答えが返ってきました。たしかに、女性が怪我をしては危ないという職場の配慮からだったのかもしれません。しかし、やはり自分の仕事です。自分の目でみて、自分で最後までやり遂げたいという思いは、男性でも女性でも同じだと思います。しかし、「女性だから」というくくりの中で、差別されがちだったということです。

3.労働組合の取り組みと成果
(1)昇進・昇格に関する男女格差
  職場において、最も男女差別が顕著だったのは、昇進・昇格です。私の職場では、採用時は、女性も男性も高校を卒業したばかりで共に同じですが、採用後に差をつけられます。男性は夜間大学に必ず行かされる一方で、女性は仕事をしなさいという感じです。男性は30分早く仕事を切り上げて大学に行き、4年間大学へ行くと、卒業後4年2ヵ月後には係長に昇格できるという制度になっていました。しかし、女性はその制度について説明すらされませんでした。
  昇格をしていくということは、賃金が上がっていくということです。賃金の高い男性が、さらに上がっていくということで、とても有利になります。女性の場合、主査から主幹という現在の私の立場になるまで、当時で37年かかりました。一方で男性の場合は、最短16年で課長まで昇格しました。
  その結果、賃金の開きも非常に大きくなり、約6年前のデータで、48歳の男性課長で年収1,200万円であるのに対して、56歳の女性主幹の年収は800万円と、年収で400万円の開きがありました。この年収の開きは、最終的に退職金や年金に結びついていくため、最後までずっとマイナスの要因を背負ってしまうことになります。このことは大きな問題になりました。
  組合の取り組みの結果、男性の昇格に要する期間が延長されました。従って現在では、主幹までは、男女ともほぼ同様に昇格できるようになりました。ただし、主幹から先の課長になるには、未だ男性が有利という状況です。

(2)男女格差の改善
①女性たちが思ってきたこと
  このような成果は、先に、先輩たちが声をあげてくれたからこそ得ることができました。先輩たちの当時の職場に対する意見書を見ると、彼女たちが主張しているのは、女性の排斥などがあると、仕事の仕方や意識に影響します、ということでした。つまり、女性たちはお茶入れや掃除がいやだと言っているのではなく、それが職場の潤滑油になるのなら喜んでします、と言っていました。ただし、そこに思いやりがほしい、お茶を入れてもらったら「ありがとう」という言葉で、女性がどれだけ救われるか、と言っていたのです。当時の管理職は、こういうことが理解できなかったようです。

②勧奨退職の拡大
  私の就職以降31年の間に、大きく変わったのが勧奨退職の適用拡大です。退職には、定年退職と、定年前の一定年齢以上になると退職金を割増して辞めてもよいという勧奨退職、さらに自己都合退職があります。しかし、勧奨退職は管理職にしか適用されないという規定があり、女性の場合はほとんど管理職になれないため、最後の最後で差がついていました。
  そこで、労働組合として、20年以上勤続で、かつ55歳以上で退職する一般職員についても、勧奨退職の適用枠を拡大してほしいと要請し、実現することができました。
  自己都合退職では退職金420万円(基本給ベース20万円で計算した場合)ですが、勧奨退職の適用を受けると560万円と、140万円の違いがあります。要求を勝ち取った後、何人かの先輩たちは、実際にこの適用を受けて辞めていきました。

③昇格期間の短縮
  もう一つは、主査までの昇格期間の短縮です。入社直後は主事という役職につきますが、主事からその上の主査(係長クラス)になる期間は、性別と学歴により差があることが問題になりました。女性の場合は学歴にかかわらず一律14年なのに対して、男性の大卒では4年2ヵ月で主査になれるということについても、見直しをしました。
  見直しても、女性の短大卒で10年、高卒で12年と、あまり大きく変わらない状況でしたが、あわせて男性の方も見直しがされ、やはり十分な経験を積むには一定程度の期間が必要だということで、今では男女の昇格期間が同じになりました。

④労働環境の改善
  以前は、女性の仕事と男性の仕事が区分されていました。そのため、性別による仕事の分け方ではなく、経験や勤続年数が生かされたものに仕事の分担を平等化すべきであると、労働組合を通じて申し入れました。その結果、主張が認められ、徐々にお茶くみや掃除の改善もされて、現在に至っています。
  私たちの職場は、退職者が出ないと新規採用できないと法律に規定されている団体であるため、業務を拡大しても、簡単に人を増やせません。その中で、女性がいつまでも補助的な仕事だけをしていては、組織にとってマイナスであるということも、組合から提案して、女性もきちんと責任ある仕事ができるようになりました。

4.これからの男女平等参画社会に向けて
  漫画「医龍」第146幕-ワーク・ライフ・バランス-には、病院で医師同士が働く中で、男女の性別を越えて思いやりを持たないとやっていけないという現状が、たくさん散りばめられています。
  この漫画の最後で、女性医師が、出産後も子育てをしながら仕事を続けるという決意をします。彼女は、風当たりは強いかもしれないけれど「私から変わります」と、新しい風を自らが吹かせるのです。そこで、「女性が子どもを産み育てるという自然な人生を望むなら、その生き方を抑えず、仕事と調和させようとした方が、相乗効果を生んで、仕事の上でもより高い能力を発揮できるはず」という台詞があります。これは女性だけでなく、男性でも同じだと思うのです。
  自分も子育てをしたい、家庭を大切にしたいと思っている男性は大勢いますが、現状では、長時間労働で早く帰宅できない父親が増えています。そういう中で、男性からも新しい風になれるというアプローチができる、一つのきっかけとなる物語だと思います。

5.男女平等参画社会へ向けた労働組合の課題
①互いを思いやる労働運動の展開が必要
  男女平等参画社会に関して、ワーク・ライフ・バランス、「仕事と生活の調和」の部分ばかりが重要視されますが、同時に「男性と女性の調和」ということが、とても大切であると思います。男性の側からみると、男女平等参画社会に向けた課題について、女性ばかりがアプローチするように思いがちです。もう少しお互いの視点を変えながら、共通の認識をもって取り組んで行くことが、重要なのではないかと考えています。
  課題解決のために何をすべきなのか。キーワードは「思いやり」、これからは互いを思いやる労働組合運動の展開が必要であると思います。たとえば、家庭に帰ってこない長時間労働の父親に対して、やはり働いている母親が「うちのお父さんを早く帰して」という運動を盛り上げていったらよいと思います。また、女性の低賃金についても、男性が「うちの母ちゃんは一生懸命仕事をしているのに、もっと賃金をあげてくれ」という運動の展開を、男性側がしていくべきです。
  いまや女性が女性のための運動をすればいい、男性が男性だけでやっていればいい、という時代ではありません。お互いがお互いの運動として結び合っていくことが、これから本当に大切になっていくと思います。

②将来を見据えた提案と取り組み
  今後、男女平等参画をより推進し、若い皆さんが働くことに希望を持てる社会にしていかなくてはなりません。将来みなさんが働いて、結婚をして子どもができ、その子どもが働くようになっていくというように、社会は世代交代していきます。しかし、たえず「よくしていこう」と心がけていかないと、社会は大きく変わりません。私たちが少しずつ切り開き、作り上げ、次のみなさんにお渡しする。そして、みなさんがそれを達成していただけたら嬉しいと思います。
  連合埼玉・男女平等推進委員会では、各構成組織の委員長に男女平等についてのメッセージを寄せていただきました。私は、この中の連合埼玉・那珂副会長の言葉がとても好きです。「初めて女の子が生まれた時、『この子が大人になって、女だからという理由だけで悔しい思いをさせたくない』と考え自分なりに努力しました。その娘も今年就職。状況はわずかしか改善されていません。もっとがんばろう。」
  これは、ご自身のもっとがんばろうであるし、連合埼玉自身へのもっとがんばろうであるし、今、生きている皆さんへの、もっとがんばろうではないかと思います。
  男性と女性には性差があり、子どもを産む性差、体の作りも違います。それを全て無視して、一本の線でがんばろうというのでは、どこかでひずみが生じ、どちらかが切り捨てられていくことにもなります。今は離れている平行線であっても、だんだん近寄って、最後にはぴたりと寄り添って、同じ方向へ向かう平行線になれたらいいと思います。
  地域という言葉の中には、この埼玉大学も含み、職場も家庭も「地域」です。大切なのは、難しいことをするのではなくて、できることをお互いにやっていく、できることをし続けていくことだと思います。私の職場も、もっともっといい職場にして、次の若い人たちに橋渡しをしていきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

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