一橋大学「連合寄付講座」

2008年度“現代労働組合論II”講義録

II 非正規雇用と労働組合

第13回(1/23)

労働組合の挑戦

司会:林大樹(一橋大学教授)
パネラー:逢見直人(連合・副事務局長)、高田一夫(一橋大学教授)

(林先生)
  今日は修了シンポジウムを行います。この1年間労働組合が何を考え、どういうことに取り組んでいるのかについて勉強してきました。特にこの冬学期においては、非正規雇用に焦点を当てながら労働組合の取り組みについていろいろな事例を学びました。
  労働組合は労働者が自分たちの地位、労働条件を向上させていくための組織です。なぜそういう組織が必要かということですが、それは労働者が働いていく上でいろいろなリスクがあって、そこから自分たちを守るために必要となるのです。そのリスクは大きく分けると、経済の構造的な変化のリスクと、経済が循環的に変動するリスクがあります。日本の労働組合はどういう変化が得意かということですが、構造的な変化は得意です。企業別の組織の中で職種を変えながら、いろんな能力を高めるための教育訓練をおこなって労働者が自分たちの力量を高めて、新しい技術にも適応してきました。企業側も熱心でしたし、労働組合側も熱心でした。日本の労働組合はマイクロエレクトロニクス革命などに対しては適応してきたと思います。しかし、今起きている変化は違う構造的な変化かもしれません。技術に適応するだけではすまないぐらいの大きな変化が起きているのかもしれません。
  もうひとつ循環変動が必ず経済にはありまして、景気のいいとき悪いときというのがあります。それに対して企業側はいろいろな安全弁を作ってきたわけです。残念なことに人間をいわば安全弁にして雇用を調整しています。できるだけ解雇せず、残業時間を調節して循環変動に対応してきました。しかし、昨年から起きてきた経済の悪化はものすごく振幅の大きなもののようで、通常の雇用調整では適応できないかもしれません。企業は安全弁として派遣やパートタイマーを増やしてきました。循環的な変動に対しては、労働組合は不得意だったかも知れません。かなり激しい循環変動が今起きているなかで、労働組合はどうしたら労働者の雇用を守り、その地位や労働条件を向上させていくことができるのか。昨今の大きな変化を受けて、連合の中枢にいらっしゃる逢見副事務局長はどうお考えか。そして、ずっと労働組合について見つめてこられた高田先生がどうお考えかということをお聞きし、その後、受講学生の代表として、2人の方から質問をして頂くという形で今日は進めていきます。
  それではさっそくパネリストである、連合副事務局長で本学のOBでもある逢見さんと高田先生からお話しを伺いたいと思います。
  まず労働者を取り巻く環境の変化をどうとらえるかについてお話しください。

1.労働者を取り巻く環境の変化をどうとらえるか
(逢見副事務局長)
  私は本学出身で33年前に卒業しましたから、みなさんから見れば浦島太郎みたいなものです。その後ずっと労働組合の仕事をしています。現在は連合の副事務局長として政策担当をしています。全体を通した修了シンポジウムということですので、最初に少し大きな話しをします。
  今日の日経新聞に、日銀が「2008年度と2009年度の経済成長率は2年連続のマイナス成長となり、特に2009年度はマイナス2%と、戦後最悪の落ち込みとなる」という予想を発表したという記事がありました。ちなみに、政府は2009年度の成長率を0.0%と見ています。今国会で予算審議が行われていますが、その予算の前提となる経済見通しは0.0%です。しかし、日銀はマイナス2%という予想をしており、状況は日に日に悪くなっています。戦後最悪の不況が来るのではないか予想されています。その記事の左横を見ると、「トヨタが海外で正社員を削減する」「ソニーが営業赤字2600億円で希望退職を募集する」「アメリカのマイクロソフトが社員5%、5000名を削減する」という雇用削減に関する記事が並んでいます。みなさんも新聞やテレビを見て、そういう状況を感じているのではないかと思います。
  これは、循環的不況なのか、構造的不況なのかということですが、ちょうど先週、私はワシントンに行ってきました。IMF、世銀と、グローバルユニオンと呼んでいますが労働組合の国際組織との会合があって、IMF、世銀の幹部の人たちの話も聞いてきました。日本からも理事が出ていまして、向こうで日本のIMF理事とも話をしました。今回は、相当底が深い不況だと思います。アメリカは金融の仕組みが壊れたままで、銀行間取引の信用状況がまだ確定できないので、銀行間の資金の融通ができません。特にゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどは投資銀行事業から撤退しました。リーマン・ブラザーズは破たん、ベアー・スターンズは買収されました。このようにインベストメントバンク(投資銀行)というビジネスモデルはアメリカから消えてしまいました。商業銀行の中でもシティ・バンクとかバンク・オブ・アメリカなどは、不良債権処理のために公的資金の受け入れを準備しています。まだ枠組みも決まっていませんから、大きな問題の先が見えていません。
  ヨーロッパはアメリカよりもっとひどい状況がこれから出てきます。ドイツ・バンクの赤字決算が発表されていましたが、同行に対してドイツ・ポストが資金を提供するという報道がされていました。さらに、ハンガリーなどの東欧諸国、旧ソ連邦のベラルーシ、ウクライナ、バルト三国のラトビアなどで、投資の引きあげに伴う雇用の大幅削減などの問題があります。そういう国々に投資しているイギリス、ドイツ、オーストリア、スウェーデンなどの銀行がこれから巨額の不良債権処理をしなければなりません。スイスもそうです。まだ、不良債権処理の見通しが立っていないところがあり、まさに世界同時不況で、日本以上にアメリカ、ヨーロッパは厳しいです。
 しかし、グローバル経済の中で日本だけが無関係ということにはならないわけです。先ほどソニーやトヨタの話がありましたが、特に製造業で生産が落ち込み、工場でラインを止めなければならないという状況になっています。その結果、いま派遣等の非正規労働者の雇用が問題になっています。やがては正社員にも影響が出てくるのではないかと思われます。これまで労働組合が作ってきた雇用調整のルールをどのくらい適用していけるのか、問題の底の深さに対して、どれだけの対応ができるのかが問われていると思います。
  ただし、まったく暗い話だけではなく、産業転換などの今後やるべき道筋がないわけではありません。オバマ大統領もグリーンニューディール政策を打ち出しています。日本版のグリーンニューディールという、将来の低炭素社会に向けてやるべきことをやっていかなければならないわけです。そういったものを前倒しでおこなうという筋のいい投資があります。国民の暮らしの安全安心のためにおこなわなければなければいけない投資もあると思います。そういったものを着実に実施して雇用を創出していかなければならないと思います。

(高田先生)
  いまの日本経済が置かれている状況はということですが、日本は1990年代にバブル崩壊を経験していますが、いまはあの時よりももっと厳しいと思います。日本経済が一番深刻な状況になったのは1997年のアジア経済危機の後からです。それから21世紀の初めにかけて、深刻な雇用危機を迎えました。その時は、欧米は比較的順調でしたので、輸出はまずまずでした。今度は欧米がダメですから、輸出に頼れません。このため、以前の状況より一段と厳しいと言えると思います。
  立て直しをどういうふうにするかということですが、経済全体としてはゆっくりとサービス経済化が進んでいます。サービスの生産が多くなって、物の生産はそれほど伸びていません。これは雇用の量でいってもGDPの比率でいってもそうですし、また家計支出の中で占める割合からいっても、サービスを買うという活動がじわりじわりと増えてきています。豊かな経済はサービスの生産や消費が、物の生産や消費以上に増えていく特徴をもっています。これは構造的な特徴で、不況で消えたりするようなものではありません。
  最初に林先生が「今回の不況は循環的不況の一種ではないか」という話をされましたが、私もまったくそうだと思います。今回の経済的な危機は深いですが、これは資本主義が必然的にもっている循環的な景気変動です。大変ですけど、しばらく我慢するしかなく、とれる対策はとっていかなければいけないと思います。
  重要なのはどういう方向に変化をしていくかをしっかりと見ながらやっていくことだと思います。そういう意味で、サービスを促進する方向で、対策がとられないといけません。そのサービスといっても要らないサービスをどんどん伸ばしても仕方がありません。日本の場合は公共サービスが足りないと思います。それは教育や医療、福祉のいずれを見ても、日本の公共サービスはかなり貧弱です。そういうところにお金を集中的に集めて、雇用を創出させると同時に、サービスを消費・生産する経済を伸ばしていく方向で取り組めば、十分将来に期待が持てると思っています。
  サービス業はあまり賃金が高くないとか、雇用が安定しない場合が多いとか、いろんな問題があります。こういう問題に関しては、まさに労働組合、しかも産別組織というよりは、連合ががんばらなければいけないという局面が増えてくのではないかと考えています。

2.非正規雇用に対する労働組合の認識と取り組み
(林先生)
  いま、非常に厳しい経済危機への認識があって、雇用も、より厳しくなると思われます。ただ、そのままではいけないのであって、やはり雇用を増やすような投資が必要だというお話しがありました。そういうお話しを踏まえて、今学期勉強したことに即して、非正規雇用に焦点をあてて、さらに議論を深めたいと思います。まず、このテーマで逢見副事務局長にお話しをいただきます。
  非正規雇用を取り巻く現状をふまえ、非正規雇用に係わる課題に対して労働組合はこれまでどう取り組むべきであるかについてお話しをいただきたいと思います。まず10分ほど逢見副事務局長からお話しをいただき、その後、学生お二人からそれぞれ質問をしていただきます。それに対して逢見副事務局長と高田先生からコメントを頂戴するということで進めたいと思います。

(逢見副事務局長)
  非正規労働者、これはパート、派遣、契約あるいは請負といった場合もありますが、これをどういうふうに定義するかということをまず言っておきます。正規労働者というのは3つの要件があります。1つは直接雇用であること、すなわち自分の雇い主と働いている上司と部下との関係とかが一致していることです。それから、フルタイムであること。また雇用の期間の定めのないこと。いったん働いたら普通は定年まで働くということが予定されているという労働者が正規労働者です。
  それに対して非正規労働者というのはその3つの要件のいずれか、あるいはいずれもが該当しません。1つは間接雇用という働き方があります。これは派遣が代表的な例です。自分を雇っている人と、実際に働く場所、あるいは指揮命令を受ける人が違うという働き方です。これを間接雇用といいます。間接雇用は非正規の1つのケースです。もうひとつは、フルタイムではなくて短時間労働であるパートタイムに代表される働き方です。3つめは有期雇用です。雇用の期間の定めがあって、その期間が満了したときに契約が更新される場合もありますが、いつも更新されるとは限らない。そういう意味では非正規は不安定な働き方です。日本的な特徴としては、正規労働者に比べて非正規は賃金などの処遇が低いということがあります。欧米は必ずしもそういうわけではなくて、時間が短い分所得は少ないけれども、時間当たりの単価は変わらない。しかし、日本の場合には、時間当たりの単価そのものが低くなっているという特徴があります。
  非正規雇用労働者はいま1700万名と雇用労働者の3分の1を超えており、37%程度になっています。特にこの10年、バブル崩壊以降の不況の中で、多様な働き方という名目で非正規労働者がどんどん増えました。労働組合としては、非正規という働き方そのものは否定しませんが、直接雇用が原則であると考えています。派遣のような間接雇用は補完的なものととらえて、臨時的なもの、あるいは専門的な働き方をスポット的に使うということで考えていました。しかし、この間の規制緩和の流れの中で、労働市場に関してもどんどん緩和され、対象業務が広がってしまった。いまや300万名を超える人たちが派遣で働いているということになっています。残念ながら、そういう規制緩和の流れに抗しきれなかったという問題があります。いま、もう一度、規制を強化しようということで派遣法の見直し等に取り組んでおります。今国会で改正がなされるかどうか、まだ見通しは立っておりません。今国会で派遣法を規制強化の方向にむけて見直しをしたいと思っています。
  パートについては、かなり長い取り組みの歴史がありまして、オイルショックの後の頃から、特に流通業においてパート労働が増えてきました。1970年代後半から女性を中心にパート労働が顕著に増加してきました。その当時のパート労働は子育てが一段落した女性が家計補助者として働くというものでしたが、それは一時的なものではなく、かなり長期間働くパート、主婦のパートが増えていました。私は、その当時、ゼンセン同盟にいてパート問題に取り組んでおりました。今隣におられる林先生などと一緒にパート労働の実態調査を実施しまして、パート対策としてやらなければいけないことに取り組んできました。一番大きいのは、1993年にパート労働法を作ったことだと思います。昔は口約束で雇うのが当たり前だったのですが、それを雇入通知書という書面できちんと条件を交付するという書面契約を義務づけたことや、処遇改善のために均衡処遇という方向付けをしました。均等、均衡については、10数年議論してきました。その結果、パートの均等、均衡という働き方の一応のルールができあがりました。そして2008年にパート労働法の改正があり、差別的取り扱いの禁止や、均等待遇の努力義務などが盛り込まれました。これは大きな前進ではありましたが、しかしまだまだ不十分です。
  加えて、非正規労働者の組織化にも取り組んできました。パートの組織化については、私の出身のUIゼンセン同盟はかなり積極的に取り組んできました。連合の組合員は約660万名いますが、そのうち約60万名がパートや派遣などの非正規の組合員です。大半はパート労働者です。大手のチェーンストアや百貨店を中心に組織化されているだけで全体としてはまだまだ低い組織率ですが、組織化の努力はしています。
  経済情勢の悪化の中で、新たな問題として、貧困という問題が出てきました。これは派遣とも関係しています。年末に「年越し派遣村」が日比谷公園で開設され、テレビでも取り上げられたのでご覧になられた方もいると思います。製造業で急速な業績悪化が進み、製造ラインを止めなければならないという中で、派遣契約の人たちが契約打ち切りになりました。打ち切りになったとたんに、住む所がなくなる、もちろん給料ももらえなくなる、直ちに生活に困る、このままだとホームレスになってしまうという人たちがかなり増えてきています。セーフティネットが不十分なままで非正規、特に派遣を増やしてきたツケがまわってきています。
  そこで、年末から緊急対策として、金がない、住む所がないという人たちに路上生活をさせないためのいろんな手だてをしました。例えば、住むところについては、雇用促進住宅に優先的に入居できるようにしました。現在までに3800名程度は雇用促進住宅に入居しています。それから、地方自治体が運営している公営住宅に入居できるよう取り組みました。次の就職が決まるまでの当座の生活資金を融資しようということで、ハローワークの認定をもらった人については、労働金庫から生活支援の融資を受けられるようにしました。当座の問題としてはそのようなことに取り組んで実現しました。
  今後は、セーフティネットを広げるために、雇用保険法の適用を拡大するとか、雇用調整助成金が使えるようにするとか、いくつかの制度上の課題に取り組んでいます。これらは予算と法改正が必要です。予算については今審議中の平成20年度第二次補正、それから平成21年度本予算の中に一定の予算はつけてあります。さらには雇用保険法の改正案を今国会でなんとか成立させたいと思っています。
  現在の不況が循環的な不況として1年程度で終われば、また雇用は回復していくと思います。しかし、これが長引くことになれば次の対策を打っていかなければなりません。次の課題としては、セーフティネットの充実です。連合は3層構造のセーフティネットを提案しています。1層のセーフティネットは、失業した場合には雇用保険で生活費を補填します。しかし、最近増えている非正規の人たちはカバーされていません。その網の目を細かくして救えるようにすることが必要です。そこからはずれてしまうと、次は生活保護に頼ることになってしまいます。それだけではセーフティネットとして弱いので、第2層のセーフティネットとして、就労と生活支援の両方ができる仕組み、すなわち生活保護に頼る前に就労をサポートするセーフティネットを作りたいと思っています。今年、これをなんとか実現したいと思っています。

(林先生)
  ここで学生に質問していただきます。これまでのお話しを受けて、お2人から質問をお願いします。

(学生Aさん)
  非正規の問題は、簡単に考えたらそんなに問題があるのだったらなくしてしまえばいいのではないかと思います。ただ、労働者のうち3割強を占めているなかでは、簡単なことではないと思いますが。逢見事務局長は「労働組合としては非正規を否定しない」と言われましたが、非正規という働き方をどう考えたらいいのかという点について、お尋ねします。

(逢見副事務局長)
  非正規をなくしてしまえばいいかというと、そうともいいきれません。これは働く側にもニーズがあることは事実だと思います。例えばフルタイムではなくて短時間で働きたい人もいるのです。育児や介護等の家族的責任を担っている人もいるわけで、仕事と家庭を両立させながら短時間働きたいという人もいるわけです。それから、間接雇用については、もともと派遣が始まったのは「専門能力のある人が必要だが、常時その企業で必要な訳ではない。例えば通訳は毎日必要ではないが、必要な時に派遣で来てもらいたい」という企業のニーズがあるためです。
  しかし、派遣については、当初想定していたよりも広がりすぎたということがあって、間接雇用から直接雇用に切り替えるということは必要だと思います。
  また、それぞれの企業がおこなっている事業の中で、有期の事業というのもあるわけです。周期が決まっている事業、景気変動とともに調整すべき労働というのもあるわけです。市場経済でやっているわけですから、景気のいいときもあれば悪いときもある。景気が悪いときのために、期間の定めのある雇用を使っています。非正規をまったくなしにして全部正規で雇えとはなかなか言えません。短期的な景気変動に対応するために非正規はある程度は必要だと思います。ただ労働者に占める割合が3割を越えるというのは、多すぎると思っています。

(学生Bさん)
  私も非正規のことに興味を持っていまして、年始に派遣村に行きました。かなりの労働組合の方々が、実行委員やボランティアとしてお正月から活動されているのを見て感心しました。また、連合は非正規労働センターを2007年に立ち上げられました。労働組合というと正社員のものというイメージがあったと思いますが、最近は非正規の方とも一緒にやっていこうというような動きが出てきていることを新鮮な思いで受け止めています。私は社会人になってから大学院に入りました。大学を卒業したのはバブル崩壊後で、いわゆる就職氷河期の世代です。その頃はあまり気がつかなかったのですが、企業が軒並み採用を減らしてしまって、採用ゼロという企業がいっぱいありました。しかし、企業の中では給料は右肩上がりに上がっていて、その企業の中の人たちは守られてきたと思います。その人たちが守られていた分、新規採用や若年者の雇用にかかる費用が削られていたと思います。あの頃は、もちろん国や経団連にも責任があったと思うのですが、労働組合も少し就職氷河期世代のために何かをしてくれてもよかったのではないかという複雑な思いを持っています。ここへ来て、非正規の人たちと一緒にやっていこうという動きが出てきて、少し変わってきているのだろうと感じているところです。
  「派遣切り」ということで、非正規の人が大変な状況になってきましたが、それだけでは足りないと、正社員にもこれからリストラの嵐が来るのではないかという話しも出ていたかと思います。自分の周りに火が回る、となると、やはりだれでもそうだと思うのですけれど、自分の周りの火を消すほうが先になってしまうのではないでしょうか。それらを含めて、非正規と正規が連帯していくことができるのか、連合としてどう考えていらっしゃるのか、今後どんなふうになっていくかと思われているかについて伺いたいと思います。

(逢見副事務局長)
  連合というのはナショナルセンターですが、1つひとつの単位組合は企業別組合です。企業別組合というのは基本的には正規常用で雇われる人が組合員で、いわゆる非正規の人を組合員にしているケースは少ないです。パートについては、先ほど言いましたように企業別組合の中に入れるというケースは増えています。ただ一般的にいえば正規常用の人たちの組合が企業別組合の構成員であり、連合はその連合体であるということからいえば、非正規の人たちとの関わりはこれまではあまり強くなかったといえます。しかし、2007年に、連合に非正規労働センターを作って、労働組合に入っていない非正規の人たちの相談やサポートをおこなうようになってきたわけです。それから、非正規の人たちの組織化を進めてきました。
  今問題となっていることは、一時的に非正規でいることはいいのですが、ずっと非正規で働いている、派遣で働いていると賃金が低いままであって、能力開発の機会がない、昇進しようとしても昇進できない、そうすると同じ状態のままでいるわけです。したがって、キャリアプランも描けない、あるいは結婚もできない、ということになってしまいます。こういう人たちをそのまま放置していいわけではないので、そういう人たちのキャリア形成や能力向上をはかるために、ジョブカードでキャリアをきちんと認定して、それを正規雇用に結びつけていこうと政府に働きかけています。それから、こういう不況期の中で、雇用調整は避けがたいということはあるので、それをどのようにおこなうかということについて、労働組合と経営者の労使関係の中でいくつかのルールを作ってきました。これは日本的な雇用調整のルールとして、例えば雇用調整に入る前に残業を削減する、新規の採用を抑制することで、まず既存の労働者を守る。それでも雇用を維持できなければ、一時帰休によって雇用関係は維持したまま仕事を休業する。そういうときに雇用調整助成金を使って、失業はしていないけれども雇用保険から一定の助成金を出すようにしています。それでも雇用を維持できない場合には、希望退職という形をとります。その場合には退職金の上積みや再就職の支援をして、自主的に手を挙げてもらって円滑な雇用の移動を図ります。つまり、解雇は最後の最後とし、できるだけ解雇という手段をとらずに雇用調整をするというルールです。これは裁判例でも整理解雇の4要件として確立されています。日本の労使が作ってきたルールです。
  しかし、いま、派遣の人たちが真っ先に雇い止めされるという問題が出てきました。これは人数が少なければどこかで吸収できるのですけれども、非常に人数が多い。この人たちが路頭に迷わないように、セーフティネットを広げる中で当座しのぎはできるようにしたい。これが緊急対策です。そこから先は、職業訓練や第二のセーフティネットですぐに生活に困らないような手だてをつけつつ、次の仕事を探してもらうということになると思います。
  正規の人たちについては、ワークシェアリングという考え方をもっと積極的に入れたらどうかとか、従来の日本的な雇用調整のルールで対応しきれない問題が出たときにどうするかということを、経団連とも議論しています。今回の不況の底の深さ、長さということにもかかってくるかと思います。毎日のニュースを見ていると、かなり今までの不況とは違うところもあるということで、対応を急がなければいけないと思います。

(高田先生)
  少し違う観点でコメントをさせていただきたいと思います。世界的に見て、先進国では働く人の割合が増えています。それは働く女性が増えているということです。これが日本ではまだまだ女性の働く比率が低いです。日本も男性は95%程度が働きます。フランスやドイツでは、女性も80%程度まであがってきていますが、日本では70%程度しかいっていません。しかし、今後、女性が働く比率が増えていくと思います。
  GDPの伸びは、今後それ程大きくならないと思います。サービス経済化が進むと生産性はあまり伸びないので、GDPはそれほど大きくはなりません。少しは大きくなるけれども、労働者1人当たりの賃金はそれほど高くはならない。そういう中で、働く人の割合が増えて、しかもサービス経済化に伴って非正規雇用が今以上に多くなるという経済と労働市場が想定されます。そういう中でどうやって社会的公正を図ると同時に経済成長を確保していくかということが、直面している問題だと思います。それを解決するためには、個別企業の中での労働のあり方、人事管理のあり方で対応するだけではとても十分ではないと私は考えています。
  これからの経済はサービス経済になるのだということを逆に考えると、サービスを消費する量も増えていかなければならないと思っています。サービスを消費する量が増えるということはどういうことかというと、休みを増やすということです。社会全体として余暇時間を増やす必要があります。しかも労働者数は増えると考えられるのですから、余暇時間が増えるとどうなるか、それは1人当たりの平均労働時間が短くなることです。つまり、正社員の労働時間も短くしなければいけないということです。まず休みを増やすことが第一だと私は考えます。ここ10年~15年、正社員の労働時間は全然減っていないのです。全体として労働時間をもっと短くして、もっとサービスを利用できるようにする。それは余暇サービスであってもいいし、家事サービスであっても、介護であってもいい。いろんな形のサービスを利用して、同時に雇用に結びつけていく。だから労働者の人数がもっと必要になる。いろいろな形で再分配をして公正を図っていくということが必要になると思います。当然、税金も上げていかなければならない。税金を上げつつ、納得性を高めていけるような社会を作らければならない。これは個別企業の中での解決というのでは不可能で、社会全体のシステム作りが必要になります。これから連合がそうした社会を作っていく上での大きな主体の1つとして重要な役割を果たすことを私は期待をしています。

3.正規雇用をめぐる課題と取り組み
(林先生)
二つ目のテーマは、急激に悪化する雇用情勢のもとで、労働組合は非正規の現状を踏まえつつ、正規雇用の働き方における課題をどうとらえ、どのようなワークルールを確立すべきと考えているか、その実現にむけて、今後どう取り組むのかということです。

(逢見副事務局長)
  この10年間で正規雇用はどんどん減ってきました。400万名程度減っています。その分非正規が増えました。正規雇用が減ったことでどういう問題が起きているかというと、長時間労働問題です。特に20代後半から30代前半が残業を含めて総労働時間が非常に長くなっています。ワークライフバランスが失われています。ワークライフバランス社会を作っていこうということで、一昨年ワークライフバランス憲章を政労使三者で作りました。これに沿って各個別労使で具体化していこうということになっています。正直言って、なかなか順調には進んでいません。これをさらにどのように広げるか、ということで、ワークシェアリングという考え方を入れていこうという議論があります。ワークシェアリングとは単純にいえば人数×労働時間を総労働量だとすれば、労働時間を減らせばその分人数が増えます。つまり、雇用機会を増やせるということです。労働時間を短縮して働く人の数を増やしていこうという考え方です。
  これはヨーロッパでは、フランスなどで法定労働時間を例えば35時間にするという形でおこなっています。これは法定労働時間短縮によるワークシェアリングというやり方です。他方、オランダモデルと呼ばれている方法があります。これは例えば2名で1.5名分働いている、つまり1.0名分と0.5名分働いている夫婦がいたときに、片方が1.0名分で片方が0.5名分という働き方ではなくて、両方が0.75名分ずつ働くという形でシェアするというものです。いくつかのパターンがあります。日本は所定外労働が非常に長いという問題があって、そこがまずなくならないと、シェアするというところまでいかない。また、時間当たりの単価が正規と非正規で著しく違います。その場合、正規の仕事を削って非正規を増やすということは、非正規の人の雇用機会は増えますが、総額としての支払額、人件費が少なくなるということです。この間、進んできたことはそういうことです。正規の仕事が減った分非正規が増えて、トータルとして総額人件費が減ったことは、決してディーセントな働き方といえない。時間当たり単価を同一にしないとワークシェアリングといっても、結局は、低賃金所得者を増やすだけのことになってしまいます。ここをどうバランスさせていくかということだと思います。
  処遇、人材育成については、この間、成果主義賃金が広まりました。しかし、これがうまくいってない企業が多いです。短期の成果を求めるがために、本来の人材育成がおろそかになってしまっています。人を育てるということが人事施策としてきちんと位置づけられなければいけない。こういう不況の時だからこそ、パラダイム転換をして、短期的な成果を求めるのではなくて、きちんと人を育成するという働き方、人事の仕組みにしていくべきだと思います。サブプライムローンに端を発した金融不況の中で、マネーで稼ぐことは非常にリスクがあるということがわかったと思います。実体経済がしっかりしなければいけない。実体経済を支えるのは人です。日本は、サービス経済化が進む中で、雇うべき雇用もあります。もうひとつ、物づくりという部分も失ってはいけないと思います。きちんと技能を継承していく上でも人は非常に重要な要素であって、そうしたものを失わないことが将来にとっても大事なことだと思います。

(林先生)
  それではまたここで学生から質問をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。

(学生Bさん)
  質問ではなくコメントになります。私のまわりにもうつ病になるくらい激しい働き方をしている友人がいます。非正規の人たちだけでなく、正規の人たちも非常に厳しい労働条件で働いています。これまでの経済の仕組みや産業構造が大きく変わっていくと、今まで積み上げてきた技能などではお金にならないし、経済も動いていかないというような時代になっていきますと、正社員も非常に不安に思っていると思います。
  いわゆる「派遣切り」をされた人たちにもいろんな仕事が紹介されていて、居酒屋の仕事などはかなりあって就職説明会を開いたけれども、実際に面接に来たのは3、4名だったという話がありました。希望と実際にある仕事のミスマッチがあって、仕事は選ばなければあるけれども、なかなかうまくつながっていかないということがあるようです。特に製造業関係の人たちは、人と接触が少なく黙々と働く仕事のパターンが多いです。それがいきなり「いらっしゃいませ」と接客をするというのでは確かにギャップがありすぎると思います。そこでそれをつなぐような支援や職業訓練がこれから求められていくと思います。それは正社員の方も同じで、私自身のことを考えてもそうです。私は出版業界に勤めているのですが、出版業界も大変な不況です。もう紙媒体がなくなりつつあるような時代になったときに、紙媒体の人たちはどこにいくのか。インターネット業界に移るといっても、その先のキャリアを築くのは難しいです。自腹を切って学校に行くのか、その余裕がない人はどうするのか。公的な職業訓練やサポートなど、これからの時代にキャリアをつないでいくような支援が必要なのではないかと感じました。

(学生Aさん)
  お話を聞いていて、結局どういうことなのかというのがあまり見えてきません。正規、非正規にそれぞれ課題がある中で、その正規と非正規の連帯ということを進めるとおっしゃっていたと思うのですが、それが具体的に見えてきません。
  まったく別件ですが、インドネシアやフィリピンから介護労働者を受け入れようという政策があったと思います。労働者が足りないという状況でありながら、一方で派遣切りがおこなわれていて、職がない人たちがいるというこの社会にすごく矛盾を感じます。その点についてもお願いします。

(逢見副事務局長)
  正規・非正規の連帯についての連合としての取り組みは、ワークルールをきちんと作っていくということだと思います。この間におこなってきたことの一つは、最低賃金の引き上げ、すなわち賃金の底上げです。最低賃金を上げるかどうかについては、2つの考え方があります。市場に任せるべきという考え方と、法律で規制して底上げしていくべきだという考え方があります。どちらかというと日本の最低賃金はヨーロッパに比べて低い水準にあります。しかし、ワーキングプアという、フルに働いても生活保護水準すら満たされないという最低賃金ではいけないということで、5年かけて高卒初任給と同じぐらいのところまで最低賃金をもっていこうという取り組みをしています。これは低賃金の非正規の人たちを救うことになると思います。
  日本は全体としてみると、人口減少社会です。労働力率は上がっていますが、しかしトータルとしてみると、これから雇用労働者数は減っていきます。これは短期的な不況とか好況ということではなくて、長期的に見るとそういうことです。他方、いわゆる3K職種、きつい仕事には人が集まりません。アンバランスで、マッチングしていないところがあります。一方で人が足りない分野があって、他方で雇用を失う人がいます。そこに外国人労働者が入ってきています。例えばコンビニに行ってみなさんはパンを買って食べると思います。24時間営業していればかならず常時パンをおいていて、品切れがないと思います。あれは24時間を2つに分けて12時間単位で発送しているからです。あるコンビニにパンを供給している工場を見学に行きましたが、ほぼ全員が日系ブラジル人でした。みなさんが食べるおにぎりや浅漬けなども外国人が作っています。青森産のほたて貝、あるいはカキなどもそうです。真冬に冷たい水から殻をむいて身を取り出す。まさに3Kの仕事のひとつです。そういう仕事も中国の技能実習生がやっているところがあります。
  フィリピンやインドネシアなどと経済連携協定(EPA)が締結されました。フィリピンとインドネシアから介護労働者を出したいという要望があって、一定の人数の受け入れが決められました。しかし、これはトータルとして日本の労働市場に影響を与えるような人数にはなっていません。専門職種として資格を取った人が日本で働いてもらっても、これはいいと思います。ただ、無資格で来る外国人はやはりきちんとルールをつくっていかないと日本の労働市場を混乱させるという可能性があります。国際協定に基づいて一定の人数を受け入れるというのは今後も進めていきますが、無秩序な受け入れはすべきではないと思います。

(林先生)
  残り時間が少なくなってきたので、フロアの学生とのやりとりを先にします。みなさんから質問がありましたらどうぞお願いします。

(学生Cさん)
  最近、「春闘で連合が正規社員のベア、賃上げを要求」というニュースをテレビで見ました。率直な感想ですけれど、非正規の方がこれだけ雇用を失っているなかで、正社員の賃金だけを上げろというのはいかがなものでしょうか。その分を少し非正規の雇用確保にまわせばいいのではないかと単純に考えてしまいます。両方取り組むべきだとは思いますが、そこをなにかもっとうまくできないのかと思います。ワークシェアリングの話しが出てきたときも、それが正社員の賃金が下がることに結びついてしまうからというのもわかるのですけれど、どうしても正社員の方だけを守ろうとしているように見えてしまうので、この点についてのご見解をお伺いしたいと思います。

(逢見副事務局長)
  ご指摘の問題を考えるにあたっては、まず、所得の分配構造を考えなければならないと思います。付加価値があがった部分をどうやって分配するかということですが、企業という単位を考えると、企業が得た付加価値を株主に分配するか、経営者へ分配するか、企業の内部留保として保持することになります。それから給料として従業員に分配することもあります。2000年以降非常に顕著だったことは、企業の分配構造の中で、株主への分配が大変増えたということです。株主への分配は、4倍程度増えました。これは株主主権主義的な考えが強まったことも原因の一つです。M&Aで企業の買収などを仕掛けるファンドが出てきましたが、それを防ぐ意味で、株主配当を強める傾向が強くなりました。それと企業の経営者への分配についても、外資系の企業も増えてきましたが、そういうところでは従来の日本の経営者とはまったくちがって、「自分が頑張って働いた分はきちんと給料としていただきたい」と、役員としての正当な報酬を求めています。これは数千万円の給料になります。そういうこともあって役員の給料も増えました。それから企業の内部留保が増えています。それに比べて、労働者への分配が少なくなっています。この9年間、賃金への分配の増加はほとんどありませんでした。この分配構造を変えろというのが、労働組合がおこなっている賃上げ要求の大きな柱のひとつです。いまの正規と非正規のことは、労働分配におけるパイの分け合いの問題なのです。その議論に入ってしまうと、労働分配率を高めるという発想がなくなってしまって、一定のパイの中でしか分配できないという前提の議論になってしまいますが、そうではないのです。労働分配率を上げるということは可能です。
  もうひとつはこの不況をどう乗り切るかということです。日本経済は輸出依存型で景気を拡大してきました。ところが、輸出がバタッと止まってしまった。輸出を支えてきた自動車や電機産業において、世界的な不況の中で輸出が激減しました。それに対して、景気を回復するためには、どこが支えなければならないかという問題になります。ひとつは政府で、財政支出を拡大して公的需要を高めるということです。もうひとつは個人消費です。個人消費を高めることが景気を回復する手だての王道です。賃金として分配して、それを消費に回すことで景気の拡大をしていく、そういう側面からも賃上げをしろということを言っています。
  ただ、それはマクロの論理であって、ミクロでみたときに「企業収益がどんどん悪化する中で賃上げはできない」と経営者が言っています。そういうことであって、労働分配におけるパイの分け合いで正規と非正規が争うということでこの問題をとらえてはいけないと思います。

(高田先生)
  先ほど私が話しました構想は、日本経済の構造を変えつつ、社会的な公正を図っていく、つまり福祉社会を作ることで経済成長を確保できるという考えを述べました。それは成熟した経済は、消費が引っ張る経済になるということです。消費が増えてこない限りは生産も伸びません。高度成長のような時代には貧しい経済がベースでしたので、生産が増えてくれば消費も必ず増えてきた。しかし、これからは、自動車の売上げが前年比で30%も落ちたというようなことに見られるように、物はたくさんあるので、少し買い控えようと思えば消費が大きく減ってしまうような時代になっている。だから消費が増えてこない限りは経済成長もあり得ないのです。しかし、なんでも消費すればいいというものではありません。われわれの生活が豊かになるように、QOL(Quality of Life)が上がるような消費でなくてはならない。それは何なのでしょうか。これはむしろみなさんに考えていただきたいと思います。みなさんがこれからの社会を引っ張っていくわけです。私たちはもうすぐ引退する世代なので、みなさんが「次の社会をどういう社会にしたいのか」「どういうものがわれわれにとって必要なのか」ということを真剣に考えてみていただきたいのです。そうすれば世の中は変わるということです。社会を変えていく中で、労働組合、特にナショナルセンターとしての連合が大きな役割を果たすことができるだろうと私は期待をしている、ということを最後にお話させて頂きます。

(逢見副事務局長)
  みなさんも卒業後はどこかで仕事をすることになると思います。日本は世界に冠たる雇用社会といっていいと思います。雇用社会というのは就労者の中で雇用者の比率が極めて高い社会のことで、日本は今85~86%です。かつては半分ぐらいが自営や中小企業の経営者で、自分で起業する人もいました。しかし、いまは圧倒的多数が雇用関係を結んで働くという人です。ほとんどの方が卒業したらどこかへ就職することを考えているだろうと思います。人生80年時代の中で、65歳ぐらいまでは働こうと考えているわけです。これはさらに長くなるかも知れません。そうすると、人生の半分あるいはもっと多くの期間、働くことを通じて社会に貢献するわけです。働くことは単に企業との雇用契約である、賃金と労働との交換関係であるということだけでは論じきれない問題があります。そこで自分の能力を磨き、社会人の一員として貢献していくという働き方をどうやって作っていくかということが労働組合の大事な役割だろうと思います。
  私は労働組合の職員という仕事を選んだわけですが、働くという視点から社会の問題をただしていこうということで仕事をしてきました。ぜひみなさんも働くということを自分の将来の中でどう位置づけるかということを、単にどこの会社に就職するかという問題ではなくて、どういうキャリアを作り、自分はどういう職業人生を選んでいきたいかということを考え、学生生活を送ってもらいたいと思います。

(林先生)
  それではこれで今日のシンポジウムは終了します。パネリストのみなさんに拍手をお願いします。

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