はじめに
みなさんこんにちは。ご紹介いただきました連合の男女平等局の片岡と申します。
今日私に与えていただいたテーマは、「男女平等参画に向けた課題は何か、・・・・ジェンダーと労働組合」です。このテーマでは、「女性からみた労働組合はどういうふうに見えているか」、「女性から見た労働組合の課題は何か」ということを中心にお話ししようと思います。まず、「働く女性の現状がいまどうなっているのか」をお話します。次に、「男女平等参画に向けた課題は何か」そして、「連合はその課題にどう取り組んでいるのか」という順でお話ししたいと思います。また、特に重要な課題として、「労働組合における男女平等参画の課題と取り組み」をお話ししたいと思います。
1.ジェンダー関連統計からみた働く女性の現状
(1)出産・育児と就業継続の状況
まず、ジェンダー関連統計、男女、女性に関わる内閣府や厚生労働省のデータを基に、働く女性の現状がどうなっているかをご説明します。
【子どもの出生年別第1子出産前後の妻の就業経歴:内閣府資料】
このグラフは、働く女性の約7割が妊娠・出産を機に、会社を辞めているというデータです。辞めた理由を聞いた別の調査では、約5割の女性は、「家事や子育てに専念したい」という理由で自発的に会社を辞めています。しかし、3割弱の女性は、「仕事と育児の両立がむずかしく辞めた」と答えています。仕事と育児の両立をバックアップする法律はありますが、法律があるだけでは働き続けるのはむずかしいというのが実態です。また、「両立がむずかしい」という理由で辞めた人の中で、5割以上の人が「自分の体力がもちそうもなかった」と答えています。その他回答の多い順に、「育児休業制度がとれそうもなかった」、「保育園の開いている時間と自分の勤務時間が合いそうになかった」、「子どもの病気でたびたび会社を休まざるを得ないから」「保育園に子どもを預けられそうになかった」、「つわりや出産後の体調不良、あるいは妊娠・出産に伴う体調不良で辞めた」と答えています。
働く女性の課題として、両立可能な労働条件や職場環境の改善、社会整備としての保育所の充実などがあります。また、別の調査によれば、パートナーである男性の働き方が、仕事一辺倒か両立できる働き方かによって、家事や育児の分担の問題が生じ、女性が仕事を辞めるか、辞めずに働き続けられるかに関わっていると言われています。
(2)男女の雇用形態・賃金格差の実態
女性の7割が辞めていると説明しましたが、辞めた女性の多くは、子育てが一段落する時点で、「自分が持っていた能力をもう一度活かしたい」あるいは「今までの仕事のキャリアをどこかで活かせるならそういう仕事に就きたい」と思っています。しかし、正社員での再就職は厳しく、多くの女性はパートタイマーや派遣社員、有期契約社員として働いています。女性正社員比率は2007年は46.6%です。ちなみに、均等法成立の1985年には、女性の正社員比率は68.1%でした。男性も1985年には92.8%が正社員でしたが、いまは81.8%です。これまでの講義で、ワーキングプアの問題をお聞きになったと思います。男性の非正規労働者が増えてきた中で、女性の非正規労働者の増加では問題として取り上げられなかった「働いても生活できない」非正規労働者の問題が社会問題となっています。
次に、非正規労働者と正社員が一緒に働く職場では、どういうことが起きているかをお話ししたいと思います。私は以前厚生労働省の審議会の委員を務めていました。その審議
会は均等法やパートタイム労働法などの見直しについて審議し、労働側と使用者側、そして学者や弁護士などの公益側の三者で構成されています。この間、均等法の改正審議では、男女間の差別禁止は強化されたものの、雇用区分が違う男女間の差別は禁止されていません。女性の正社員と非正規労働者間に労働条件格差がある職場では、お互いの働き方にマイナスの影響が出ています。例えば、契約社員で働く女性は、将来を考え3年程度で職場を去っていき、正社員の女性たちは、その影響も受け、自分たちの展望も描けない状況に置かれています。折れ線グラフのデータは、男性を100とした場合の女性の賃金水準を表した資料です。一番上の折れ線が女性正社員の賃金水準です。次の折れ線は、男性の短時間労働者(パートタイム労働者)の賃金水準です。一番下が女性の短時間労働者の給与の水準です。男性正社員を100とした場合、女性正社員は68.1、男性のパートタイムは53.8、女性のパートタイムは47.7、これが今の賃金格差の実態です。つまり、パートで働く女性が男性正社員の生活水準を確保しようと思ったら、パートを2つあるいは3つ掛け持ちしなければなりません。ここで問題として取り上げたいことは、男性正社員と女性正社員・パートタイム労働者の仕事はほとんど同じということです。もちろん、まったく同じ仕事というわけではありません。しかし日本は、「同一価値労働同一賃金原則」という、ILO100号条約を批准しています。その条約が求める、「同じ仕事、あるいは価値が同じ仕事には、同じ賃金」という均等待遇原則が、日本の法律には規定されていません。国際ルールからみると日本はかなり遅れています。それが賃金格差の要因ともなっています。
【男性労働者を100とした場合の女性の給与水準:内閣府資料】
(3)国際比較からみた女性の評価や男性の家事時間の現状
次に、いくつか国際的なデータから、日本の課題を見ていきましょう。
1つめの表は、ジェンダー・エンパワーメント指数の国際比較です。国連開発計画では、女性の所得、国会議員における女性の割合、専門職や管理的な立場に就いている女性の割合をものさしに、女性の参画レベルを評価しています。日本は93カ国中、54位です。日本は別の指数では、経済大国と評価されていますが、この女性参画指数は大変低い位置にあります。
2つめのグラフは、賃金を国際比較したものです。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの欧米先進国と比較すると、日本の女性の賃金が低いことがよくわかります。先ほど日本はILO100号条約(同一価値労働同一報酬原則)を批准しているが、男女間の賃金格差が大きいという説明をしました。条約を批准した国は、ILOに対し条約の履行状況を定期的に報告しています。その報告を出すたびに、ILOから「日本の男女間の賃金格差は一向に縮まらない、どうなっているのか」という問い合わせや、「法律を改正すべき」という勧告がなされています。日本の男女間格差は国際的にも問題となっています。
3つめのグラフは、6歳未満の子どもがいる男女の育児や家事関連時間の国際比較です。対象は30~40歳代で、日本の男性は週あたりの家事時間は48分です。そのうち育児は25分で、日本の男性は諸外国に比べ、育児と家事に関わる時間が極端に短いわけです。本当は関わりたいと思っていても、現実は両立できない長時間労働を前提とした働き方が背景にあって、こういう結果になっています。
いま、日本の合計特殊出生率は約1.3人です。これは、日本の女性が生涯に産むであろうという子どもの人数を推定したもので、国は労働力確保から女性にもっと子どもを産んでもらいたい、という希望を持っています。どういう環境を整えればそうなるか。諸外国をみれば、女性の処遇や評価、男性の働き方の見直しと育児や家事との両立環境整備が課題であることがわかります。
(4)労働組合の政策や意思決定への女性の参画の現状
最後のグラフは、労働組合の男女平等参画は非常に遅れているというデータです。3つのグラフは、労働組合の役員・執行委員として活動する女性たちがどれほどいるかというデータです。執行委員になると担当分野をまかされ、運動方針を企画立案するようにもなります。「女性が働き続けるには育児のための両立制度の充実を」という声が職場にあれば、女性の役員から「育児のための短時間勤務をもう少し長い期間とれるように要求する」という方針を提案することができます。
しかし、その提案する側に女性がどれほどいるかということです。1つめのグラフの「構成組織」とは、連合に加盟する産業別労働組合、例えば、電機連合、情報労連、フード連合、自動車総連などです。それらの平均では、女性組合員比率30%に対し、女性役員比率は6.9%というのが実態です。そして2つ目は、企業別の労働組合の平均で、女性組合員比率は約25%、女性役員比率は8.3%という状況です。連合の女性組合員比率は、構成組織と重なるので30%で、それに対して女性役員比率は25%です。連合の女性役員比率は、後ほどご紹介します「ポジティブ・アクション」を行っているので比率が高くなっています。しかし、全体的には労働組合の男女平等参画はとても遅れています。
【労働組合の政策や意志決定の場への女性参画調査:連合2007男女平等参画調査より】
2.男女平等参画に向けた課題は何か
男女平等参画へ向け、ジェンダーの視点から取り組むべき課題を5つあげました。ジェンダーという言葉について、「社会的、文化的に形成された性別」という概念をもとに、連合は、社会的、文化的に形成された性別によって、女性が働く上で受けている影響を踏まえ、ジェンダーの視点から取り組むべき課題を提起しています。皆さんの中には「性別による不平等や差別的な状況はない」と思われる方も多いと思います。しかし、社会に出ますと、女性は持っている能力に関わりがなく、社会的性別によって、女性は男性よりも劣る性として扱われたり、男性は支配的な立場に、女性は従属的・補助的な立場に位置づけられる実態があります。
(1)差別の解消に向けた実効性のある法整備を進める
課題の1つめは、法律を整備することです。日本では男女平等に関する法律は均等法です。働くことに関わる法律には、最低限の労働条件を決めた労働基準法、最低賃金法、育児・介護休業法やパート労働法などがあります。こうした法律の整備が重要なのは、労働組合がある企業で働く人は2割に満たないという状況があるからです。労働組合のない会社に入って、自分の労働条件改善を課長や部長、社長と交渉することは、むずかしいわけです。組合のない企業で働く人たちの中には、法律を手だてに差別を解消しようと孤軍奮闘する人たちが多くいます。法律を整備することはこうしたことからも重要です。
(2)多様な雇用形態間の公正処遇・均等待遇原則を確立する
そして2つめは、パートタイム、派遣、あるいは有期契約で働く人たちの働きに応じて、公正に処遇するという均等待遇原則を確立することです。「正社員と契約社員、呼び方は違うけれど、お互いにいい働き方をしたい、公正な処遇のもとで納得して働きたい」という点で、均等待遇を法律の原則にしていくことが不可欠です。
(3)社会における制度や慣行を性に中立なものとする
3つめは、税金や年金、健康保険などの制度を「性に中立的な仕組み」にしていくということです。日本では、「男性が働き、妻は専業主婦、子どもが2人」という家族をモデルに、税金・年金制度などが設計された経緯があります。現在連合は、男性片働きと男女共働きの比率が逆転し、共働きが多くなったことを踏まえ、男女がともに働き、社会保険料を納め、それに応じた年金を受け取るなど、性別に影響を受けない社会保障制度の見直しに向けた取り組みを進めています。
(4)ポジティブ・アクションの実効性を高めること
4つめは、ポジティブ・アクション(積極的改善措置)の実効性を高めるということです。例えば、課長が男性100人、女性が2人という会社があるとします。女性の管理職が2人しかいない会社では、そこに働く女性たちから、「ロールモデルとなる女性の先輩がいない、展望が描けない」という声が寄せられます。働き続ける女性の中には、「キャリアを積んで管理職になりたい」という希望があります。企業も、もっと女性に活躍してもらいたい、そして収益も伸ばしたいと考えて、ポジティブ・アクションを採用しています。「3年後に女性管理職を20人に増やす。そのため、2年間は女性全員を対象に研修を実施する」という方針をたて、その目標が達成したら終了します。その後は男女の別なく個人の能力で管理職登用など行うものです。女性の評価が低い現状を変えていく上で、ポジティブ・アクションは、大変重要です。
3.男女平等参画の実現をめざした連合の取り組み
(1)働くことに直接関わる法の制定や法改正への取り組み
①均等法改正への取り組み
連合は、男女平等参画の実現をめざし、審議会への参画を通じ、法律の制定や改正に取り組んでいます。均等法の改正では、「職場の実態を踏まえれば法の効力を強化すべき」という主張を行っています。使用者からは反対論がだされ、企業は女性を正面切って差別する、とは言いませんが、できれば女性にあまりコストをかけたくないと思っています。「女性はすぐ辞めてしまうので教育投資はしたくない」「労働力となる子どもは増えて欲しいが、うちの会社に勤めながらの出産や育児は困る」という本音があります。
しかし、女性労働者への期待の高まりもあって、均等法の改正は進みました。間接差別についても限定的ですが法律に盛り込まれました。例えば昇進の要件に、「転勤経験が3回以上」という基準があるとします。転勤ができる、できないによって昇進が決まるとなると、結果として多くの女性たちが昇進できないという問題が生じます。この昇進の基準「転勤要件」に合理性がない場合には、間接差別となります。間接差別とは、「ある基準が適用された結果、一方の性に不利益が生じた場合に、基準そのものが問われ、企業がそれを合理的だと立証できなければ、性差別にあたり禁止する」というものです。日本は、法律でその対象を限定してしまっている点で、問題が残っています。
また、セクシュアル・ハラスメント防止や事後措置を事業主に義務づけることを主張し、実現しました。各都道府県に雇用均等室という行政相談窓口があります。そこでの相談で最も多いのがセクシュアル・ハラスメントです。被害にあった人は職場を去り、同時に体を壊して、次の仕事ができない状況に陥るケースがあります。また、セクシュアル・ハラスメントが起これば、企業も優秀な人材を失うことにつながります。最近では、男性正社員が、正社員の女性では問題になるから、派遣や契約社員の女性、つまり非正規で働く弱い立場の人にセクシュアル・ハラスメントを行うという実態もあり、セクシュアル・ハラスメントの防止対策の強化が不可欠となっています。
②労働基準法改正への取り組み
労働基準法には残業の規制があります。その規制は1年間360時間となっています。これを子育てや介護を抱える人が拒否できればいいのですが、実際は拒否できないような状況にあります。残業申請しない風呂敷残業(仕事の持ち帰り)や不払い残業という実態もあることから、残業の規制どころではないという問題があります。しかし、残業の規制は、男女ともにワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現する上で、大変重要な課題です。今回、残業の割増賃金率を変えること(月60時間以上の残業については割増賃金率を50%以上とすること)で残業を抑止する改正が行われました。
③育児・介護休業法改正への取り組み
働く女性の7割が辞める状況をなんとかしよう、男性の育児への関わりを促進しようということで、いま育児・介護休業法の審議が進められており、法改正の方向で議論は進んでいます。使用者側委員は、ここに来て「100年に一度の経済危機だから、法律を変えているどころではない」と言い始め、さすがに公益委員から、「景気の良し悪しで法律改正の論議するのか」と反論がありました。使用者側の基本的姿勢は規制強化に反対ですが、働き続けたいと思う女性たちが働き続けられない現実は問題です。
また、皆さんも先々、子育てを経験されると思います。日本では労働基準法で産前産後休業を定めていて、産後8週間のうち、6週間は強制休業です。法律が強制休業としている背景には、出産後の体調が回復するまで、一定の期間が必要との考えがあります。そこで、法律に、男性には、少なくとも産後8週間の育児休業をとれる仕組みを盛り込もうとしています。生まれたばかりの子どもの面倒を見ながら自分の体調を気遣うこと自体大変なことです。このため、親を頼って実家に帰って子どもを産む人も多い状況です。こうした現実をふまえ、男性が子育てに積極的に関わる施策を法律に盛り込む議論が進んでいます。
④パートタイム労働法改正への取り組み
パートタイム労働法は、2008年4月に改正法が施行され、利用しやすい法律になりました。「自分の労働条件はどうなっているか」説明を求めることができるようになりました。また、労働条件を文書で明示することになりました。今までは口約束で、「聞いていたことと違う」というトラブルが多くありました。また、パートで働く人は職場では「パートさん」と呼ばれています。例えば正社員だったら「片岡さん」と名前で呼ばれるのに、「パートさん」と呼ばれています。また、親が亡くなった場合、社員であれば慶弔規定からお見舞いが出るのに、パートで10年、15年働いていても、何もでないという実態もあります。「同じ仲間として扱って欲しい」と思っているパート労働者は大変多いわけです。今、連合は、同じ働く仲間の処遇改善や組合員化の取り組みを進めています。
(2)働くこと関わる政策・制度の要求や提言に向けた取り組み
次は、税金や、年金等の社会保障に関わる取り組みです。ところで、労働組合の幹部には片働きが多い、これはお茶の水女子大学が調査した結果から明らかになっています。労働組合の中で、「女性と年金の問題について性に中立となるよう検討する」「税金の配偶者控除をやめる」と言うと、男性のリーダーたちは反対ということで、男女の置かれた状況の違いから、一本の政策にまとめられない時期が続いてきました。しかし、議論の結果、配偶者控除の廃止を決定し、見直しを求めています。また、年金の問題では、保険料を払わない第3号被保険者(専業主婦)問題があり、年金の仕組みの見直しを求めています。また、近年、離婚が増え、最近では定年を迎えたとたんに離婚するケースが増えています。離婚後の生活の問題から、離婚時の年金分割という仕組みが法改正で導入されました。
さらには、夫婦別姓の導入や女性に対する性暴力防止などの取り組みも進めています。民法は、婚姻に際して、どちらかの姓を選ぶことになっています。実際は90%以上の女性が男性の姓になっています。女性の中から「仕事を続けていく上で、旧姓で仕事を続けたい」という要望が出ています。
性暴力については、DV(ドメスティックバイオレンス)、すなわち、夫婦や恋人同士の間での暴力が大変深刻です。夫から逃れて身を隠して、なんとか自立できる生活の手だてを立てる間、シェルターで保護される女性たちが多く、経済的な自立もままならないという問題もあります。連合は、こうした性暴力の問題についても取り組んでいます。
4.労働組合の政策や意志決定の場への女性参画をめざす取り組み
労働組合の女性参画の取り組みに触れたいと思います。労働組合における女性参画は大変遅れています。男性も女性も責任を担い、1人ひとりが男性、女性に関わりなく、やりがいのある仕事をする、安心して働き続けられる。そうした働き方を求める上で、労働組合にもっと女性の役員を増やすことが重要です。また、残業が当たり前になっていて「育児や介護、家事にも関わりたいがそれがなかなかできない」という男性も巻き込んで両立環境を整える上でも、女性役員の活躍やリーダーシップの発揮が不可欠です。女性の働き方を基準に、長時間労働を余儀なくされる男性の働き方を変えようと取り組んでいます。また、女性の組合員は圧倒的に少ないので、女性を対象とする組織拡大の取り組みを進めています。その際、女性を勧誘する側にもっと女性役員を増やそう、という方針で取り組んでいます。
連合では「第3次男女平等参画推進計画」を策定しています。計画では、「労働組合は『男女平等参画をめざす』という運動方針を明記する」「女性組合員が30%なら、30%の女性役員の選出をめざす」「女性の役員がゼロの組織はなくす」等の目標を立て、取り組みを進めています。
5.男女平等、そしてワーク・ライフ・バランス社会の実現をめざして
労働組合活動を女性の視点から進める、あるいは女性が労働組合に関わることによって、どういう社会をめざすのかについて申し上げたいと思います。
1つは、男性、女性に関わりなく、お互いを尊重し、違いを認め合い、それぞれの持っている能力を発揮できる社会をめざしたいと思っています。
もう1つは、ワーク・ライフ・バランス社会の実現をめざしたいと思っています。連合は、正社員だけでなく、すべての働く人たちが、「やりがいのある仕事、そして個人としての生活のバランスがとれる働き方」や「ある時期はパートでは働き、ある時期はフルタイムで働くことを主体的に選択できる」社会をめざしています。
そして、男女平等、そしてワーク・ライフ・バランス社会実現のために、もっと女性の役員を増やしたいと考えています。以前「なぜ労働組合に女性役員が必要なのか」というテーマで、会議を主催したとき、連合の男性リーダーから次のような発言がありました。「労働組合に女性を増やす運動は、女性自身のためだけではなく、労働組合の公平性、公正性、健全性の必要条件です。労働組合にとって、社会正義を貫くのに女性の存在は欠かせません。」「だから女性の皆さんは『組合の役員をやってみないか』と言われたら、断らずに引き受けてください。」このメッセージは心強く納得のいくものでした。最後にもう一度、労働組合にとっては、活動への女性参画が重要な課題であり、その着実な前進をめざしていくことを申し上げ、私からの講義を終えたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。
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