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確定拠出年金の規模 |
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確定拠出年金は日立製作所の退職給付全体の約5分の1を占める。厚生年金基金が一時金換算で約6割、退職一時金が約4割で、その退職一時金の2分の1を確定拠出年金に移行した。この割合にした理由は2つあって、1つは確定拠出年金法の限度額が、厚生年金基金等の確定給付型年金制度を持っていると月額1万8000円のため、限度額いっぱいに設計してもこの程度の額しか作り込めなかったこと。2つ目は会社としては退職給付を自己管理する意識を持ってもらうことが大きな目的のため、安定性や初めは少し抑え目にしようという考え方から全体の5分の1程度で労働組合と合意に至った。 |
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支給開始時期 |
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確定拠出年金は確定給付年金と違って財源が固定しているため終身年金にするのは難しいが、一方でこれまでの年金と違い60歳から70歳の間で本人が希望するときに受給を開始できるので、例えば日立製作所の場合は5年間の有期年金で60歳から75歳までの任意の時期に設定できる。公的年金支給開始の引き上げやそれに対応した再雇用制度など60歳以降のライフプランが各自でかなり違ってきているので、この点は労働組合などに受けが良かった。 |
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確定拠出年金と退職金前払いの選択制 |
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確定拠出年金か退職金前払いの選択制にした。確定拠出年金は加入期間が3年を超えると退職時には引き出せず60歳まで運用を続けなければならない。これは大きな制約なので退職金前払いを選択肢に加えた。制度導入時50歳未満の人は確定拠出年金に86%入った。これは全体の平均で、例えば一般職だけとると約60%になっている。50歳以上の人は資産運用の期間が非常に短くなるので、確定拠出年金か従来の退職一時金での受け取りの選択制にし、確定拠出年金を26%の人が選択した。 |
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資産運用と従業員教育 |
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確定拠出年金は企業あるいは運営管理機関が運用商品を提供して従業員が資産運用する仕組みで、法律では3種類以上の運用商品を提示するよう決められている。日立製作所の場合は19本の商品がある。その中のバランス型ファンドとインデックス型ファンドの7本は関連会社の日立投資顧問で商品開発している。
日立製作所の従業員教育への取り組みは大きく3つあり、1つは必要な知識をいつでも参照できるインターネットホームページの設置。2つ目は全従業員を対象にした説明会の開催、3つ目はコールセンターを設けた。
実感としては説明会で必要な知識を付与するのは難しいと感じた。全社6万人を700回ぐらいに分けて1回80分程度の座学を行ったが、その時点ではわかった気になってもおそらく直接資産運用には結びつかないと思う。ではなぜ説明会を行ったかというと確定拠出年金はいやでも個々人で資産運用を行う必要があるため従業員の自覚を促すことと、実際の資産運用で必要な知識がどこにあるのか、コールセンターとは何を教えてくれるのかなどを伝えていく場として説明会は有意義だった。しかし、厚生労働省の通達等にあるような教育項目を説明会で伝えていくのには限界がある。そこで投資に関する知識レベルがあまり高くない従業員の資産運用をどうサポートしていくかが非常に大切になってくる。 |
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運営管理機関と制度のモニタリング |
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従業員の資産運用の事務手続の代行、とりまとめ、手助けなどを行う運営管理業務は金融機関等がつくった専門の会社が請け負うことが多いが、日立製作所では自社で行うことにした。個人の運用の状況は運営管理機関に情報として蓄積され企業は知り得ないことになっていて、企業が持っている人事の情報とは結びつかない。私達が運営管理機関を自社で持つのは、個人の資産情報と企業が持っている人事情報を結びつけて分析し制度運営に反映させたいからだ。全体から見るのと職群別などで見るのとでは結果にかなり違いがある。
日立製作所の場合、想定利率2.5%のため従業員に拠出している掛金が2.5%で複利運用されるとこれまでの退職金水準になる。確定拠出年金は企業の責任は掛金を拠出した段階で終わるが、掛金を出しっ放しではなく本来労使が考えていたような姿になっているのかを常に検証していくことが必要だと思っている。 |