佐橋 洋一(JAM)
日本の労働組合は組織率が年々低下しており、2023年6月30日現在の状況は労働組合員数が993万8000人、推定組織率は16.3%まで減少した。推定組織率が減少している主要因は、新規結成の企業別組合(以下、単組)が減少し、解散単組が増加するためである。従来の研究では、新規結成の単組が減少している要因に迫るものが多かった。しかしながら、解散単組にも眼差しを向けなければ労働運動の衰退に言及することは困難である。
本稿では、長年、労働運動に関わり、地域で労働運動の中核を担い、加えて、産別や地域に集う他単組に対してアドバイザー的な役割を担う「ベテラン労働運動家」へのインタビューを通して、「なぜ単組が解散するのか」を検討し、それぞれの事例から浮かび上がった共通点をもとに、単組で必要となる労働運動のあり方を考察したい。
┃総目次に戻る┃