入倉 裕介(運輸労連)
「物流の2024年問題」の渦中にある日本のトラック運輸産業では、慢性的なトラックドライバー不足に対して、さまざまな対策が講じられ、議論も活発化している。政府は、抜本的・総合的な対策として「物流革新に向けた政策パッケージ」を決定した。その中に「女性や若者等の多様な人材の活用・育成」が挙げられているが、長年にわたって固定化してきた「男の職場」としての現場モデルによって、それらを阻む要因をも固着・膠着させられている。このような職場環境のままでは、女性や若者の参入に向け、実際に各企業や現場レベルで具体的対策を施すことは困難である。トラック運輸産業は、女性をはじめ多様な人材が集まる魅力ある産業の実現に向けて「誰もが働きやすい魅力ある産業」をめざす必要があるが、現時点では実現のハードルが高いのが実情である。
本稿では、実際に現在就業している女性トラックドライバーへのインタビュー調査から女性が働きやすい労働環境整備のための課題を抽出し、トラックドライバーの男女混合職化の実現に向けた可能性と、また、運輸労連にどのような取り組みが必要かを考察したい。
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