白鳥 優一(電力総連)
労働運動の担い手となる組合役員の人材確保は過去より労働組合の大きな課題として取り上げて来られたが、解決に至らず現在においても継続的な課題となっている。
日本における労働組合の組織率は、1980年代以降低下傾向にあり、先進国の中でも最低水準である。
このような状況下においては、企業が競争力向上のために人材育成を大切にするのと同じように、労働組合の組織力を向上させるために労働運動を担う組合役員の人材育成も欠かせない。
そして日本における労働運動を根底で支えているのは企業別労働組合(以下、「単組」とする。)であり、そこでの組合役員の実態を明らかにしなければ組合役員の人材確保や人材育成の真の課題を追求することはできない。
単組はナショナルセンターである連合や産業別労働組合における組合役員の最も大きな供給源にもなっている。
本論文では、既存の調査から組合役員の意識の変容や現状の課題を探るとともに現役5名と職場復帰した組合役員3名へのインタビュー調査を実施することで、組合役員の人材不足を解消するための人材確保と人材育成の課題に着眼し、必要な対応を模索する。
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