第23回マスターコース修了論文

模擬春闘をやろう!
-春闘への組合員参画を促すために-

桃田 匠(運輸労連・全日通労働組合)

<概要>

 筆者の所属する全日通労働組合(以下、全日通)では、近年、組合活動に対する組合員の関心の低さが顕著になっている。この問題解決の手がかりを得るために、組合員へのアンケート調査を実施し、組合員が春闘に何を求めているのかを調べるとともに、支部委員長レベルへのインタビュー調査を実施し、組合役員が現状についてどのように捉えているのかを調べた。そして、職場段階における春闘勉強会を試験的に開催した。
 これらの調査と体験から次のことが判明した。a.社会情勢や全日通における賃金交渉の枠組みの変更による不満等が重なる中で、今が春闘への機運を高める絶好の機会であること、b.ただし、一般組合員と組合役員との間に情報格差が広がっていること、c.春闘交渉の枠組み変更により、職場単位での活動が少なくなっていること、d.現在実施しているオルグでは、春闘の十分な内容の理解に繋がっていないこと、e.春闘の十分な理解に繋がる新たな情報ツールが必要であること、f.一般組合員および組合役員が、それぞれの立場で自ら考える機会が必要であること、g.春闘において、多くの組合員が事前に意見を聞いてほしいと考えていること。
 これらをふまえ、春闘を重要な手がかりとして、労働組合の存在意義を高めるために、3つのステップで構成される「模擬春闘」を積極的に展開することを提言する。

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