橋本 勇介(自治労)
地方自治体における所謂“非正規職員”は増加の一途をたどり、政府調査によると、正規職員数は276万2020人なのに対して、非正規職員は約69万4473人に上る(いずれも2020年4月時点の人数)。非正規職員の中には、自治体の基幹的な業務を行う職員がいるなど、地方行政の重要な担い手となっている。一方で、非正規職員は低賃金に置かれるとともに、年度ごとの任用(雇用)の更新を前提とした不安定な雇用など、多くの課題を抱えてきた。
こうした非正規職員の適正な任用(雇用)と勤務条件を確保することを目的の一つとして、2017年5月に「地方公務員法」及び「地方自治法」が改正され、2020年4月から新たに「会計年度任用職員」制度が導入された。会計年度任用職員とは、国の非常勤職員(期間業務職員)制度を踏まえて制度設計されたもので、一会計年度内の任用により自治体業務にあてられる一般職の非常勤職員であり、法律等で任用ルールが定められている。
本稿では、雇用の安定と賃金水準を中心に、改正法施行以前の課題が、会計年度任用職員制度の導入によって改善されたのか、政府や自治労の調査などをもとにして検証するとともに、現時点での問題点を明らかにし、今後の課題改善・解消にむけた方策を考察する。
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