伊藤 康博(連合三重)
中小企業で働く者の大きな課題は、とりわけ労働条件の改善ということである。
とくに賃金の面での格差は規模間、男女間、地域間、業種間、産業間と様々な分野で存在している。その要因は、大企業と中小企業の置かれている産業の二重構造や付加価値生産性、労働者の属性などいくつかが指摘されている。
しかし、毎年の賃上げ状況を見ても大企業と中小企業の格差は依然として改善されず、拡大の傾向を示している。これに歯止めをかけ少しでも改善をはかることは、中小企業で働くものの悲願である。
労働組合がこの改善に向けた取り組みを展開してからかなりの時間が経過した。賃金の面ではこれまで十分な成果を得られない状況であったが、1995年から地道な努力も継続されている。その一つは連合が取り組んでいる「地域ミニマム運動」である。
三重県における中小企業・小規模企業は、県内企業数の99.8%、従業者総数の88.7%を占め、地域の雇用や経済、社会を支えている重要な存在である。働くことを軸とする安心して働く社会の実現に向け、地域における中小・地場の賃金の相場形成をめざした、賃金を底上げする取り組みについて明らかにしていきたい。
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