第22回マスターコース修了論文

組合の日常活動から新たな労働運動の手がかりを探る
-現場オルグに焦点を合わせて-

森 真人(UAゼンセン 流通部門)

<概要>

 昨今のダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みなどからもわかるように、働き方や生き方の多様性が進む中で、いわゆる「個」が尊重される時代に変遷してきている。しかし、企業組織や地域社会において、連帯や協調性といったものが薄くなってきているのもまた事実である。よって、一方では「個」を尊重しながら、他方では労働組合運動にとって不可欠な組織力や連帯を両立させることが求められる。この両立を軸として、今後の労働運動を新たに展望すべき時期が到来していると考える。また、私が所属しているUAゼンセンの組合員構成比率は、女性の短時間組合員が60%(2022年9月現在)と非常に高く、仕事と組合活動の両立を図ることも同時に求められる。「個」と連帯の両立および仕事と組合活動の両立を図るためにどのようなアプローチが効果的なのか、現場オルグに焦点を合わせて考察を深めていきたい。両立を図るには現場との意思疎通が前提となるが、これを担うのが現場オルグに他ならないからである。
 方法としては、近年行われたプロジェクトや意識調査を分析するとともに、ケーススタディを行った。これらに基づき、まずはどのような課題があるのかを認識し、そのうえで新たな労働運動の手がかりを探る。

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