第22回マスターコース修了論文

中堅社員に魅力ある人事制度の構築
~組合視点からの提案~

佐藤 誠(情報労連 通建連合 日本コムシス労働組合)

<概要>

 本論文は、組合のコア層をなす中堅社員にとって魅力ある人事制度をどのように構築できるか組合視点からの提案を目的とし、方法としてA組合の事例研究に依拠する。
A社の人事制度は、基本的に職能資格を軸とする等級制度・賃金制度・評価制度で構成される。等級制度は、一般職の場合、計7等級で構成され各等級に号棒がある。賃金制度は、基本給と諸手当で構成される。なお、評価制度をみると評価は1次から3次までの3段階評価で実施され、評価基準は6項目、考課目安は6段階となっている。
 現行の人事制度における問題点としては、主に管理職ポストの不足による長期滞留者のモチベーション低下、および昇進ルートが単一であることによる人材の活用不足等があげられる。とりわけ、管理職ポスト不足に関しては、上位2等級に滞留している組合員比率が全組合員の64%(2021年12月時点)にものぼり、先行き不安による離職も増えてきていることから深刻な問題となっている。
 魅力ある人事制度にするためには職種・職責を多様に設定し、公正な評価によって適正な賃金を支払い、社内全体のモチベーション向上とエンゲージメント強化に繫がる制度を検討する必要がある。働き甲斐があり皆から選ばれる業界を目指し、労働組合の立場から中堅社員にとって魅力ある人事制度を考察する。

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