重松 寛子(UAゼンセン 東京都支部)
「失われた30年」ともいわれるように、実質賃金は上がらず、日本経済は停滞が続いている。そんな中で賃金闘争において会社側から「取り巻く環境が厳しい」「先が見えない」「万が一に備えたい」などと言われると、いざ自分が会社側だとしたら会社の言い分もわからない訳ではない、会社の発展あってこそ組合員の豊かな生活があるという立場からすると痛みを分かち合う必要があるのではないか。そのような考えも理解できてしまうため、労使交渉だけでは賃上げは難しく、日本の経済状況の好転が不可欠なのではないかと考えるようになった。
しかし、消費税増税や社会保険料の増額などにより国民負担率は増加してきており、労働者にとって良い方向には進んできていない状況にある。
なぜ労働者目線にたった政策決定がなされないのか。労働組合、なかでも産業別労働組合は、政策実現にどう影響を与えることができるのか。
本稿では、いかにして労働組合が政策を実現していくか、UAゼンセンが取り組んでいるカスタマーハラスメント対策を事例に探っていく。
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