第21回マスターコース修了論文集

カーボンニュートラルと労働組合
― 我々はカーボンニュートラルにどう向き合うべきか ―

石川 陽平(JEC連合 労働政策局)

<概要>

 SDGs(持続可能な開発目標)など環境についての単語をマスメディアで目にする機会は飛躍的に増えている。特にカーボンニュートラル(CN)に関しては、パリ協定など世界的な枠組みに日本も参加しており、これらの流れに逆らうことは困難である。その中で、日本の化学産業は、産業部門において鉄鋼業に次ぐ、2番目の温室効果ガスを排出しており対策は急務である。
 日本政府は、グリーンイノベーション基金を創設し技術分野を後押しすべく、2030年までの最長10年に及ぶ2兆円規模の支援を表明しているものの、その見通しは不透明である。一方、労働者にとっては、CNによって従来の業務に従事することが困難になる可能性も露見している。パリ協定では、各温室効果ガスへの対応策とともに労働者の公正な移行についても明記しており、この点については労働組合が大きな役割を果たさなくてはならない。
その取り組みとして、①再教育の実施による公正な移行の確保、②連合「職場から始めよう運動:取組事例集」をモデルにCNによる労働者の移行に伴う各組合の取組についての事例共有集の作成を提言する。さらに、労働組合がCNに直接的に関わることができることとして、植林活動とその取り組み推進のためにゆにふぁんの活用を提言する。
 CNは労働組合に対して様々なことを示唆している。例えば、今後のエネルギー政策等について労働組合としてどのような結論を出すのかなど、地球規模の課題と労働者の生活に関係する問題に労働組合がどう取り組むのかが問われている。

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