伊藤 友明(情報労連・KDDI労働組合)
KDDIは、携帯電話事業をはじめとする総合通信事業を展開しており、サービス提供にあたり、技術・営業・カスタマー・コーポレートなど様々な部門の社員が携わっている。それら部門では多くの非正規雇用者が働いている。その非正規雇用者は、直接KDDIに雇用される有期契約社員と派遣社員に分かれ、有期契約社員は無期転換権が発生しないように5年時で雇止めが行われている。採用時に「1年更新で5年間の契約」であることは説明されているが、安定した雇用を望む声や出産や育児に対する不安の声が労働組合に多く寄せられている。具体的には、育児休業の取得条件である「子が1歳6か月に達する日までに労働契約の期間が満了しないこと」により、出産時期によっては退職しか選択肢がない実態がある。育児休業制度などの社会保障政策は、出産・育児を理由に退職しなくても良い社会の実現のためであるが、その制度は正社員を前提としており、非正規雇用者が活用する制度・補償としては考えられていない。根本的には政治的な改善が必要であるが、私たち労働組合が正社員目線の取り組みを進めて来たことの責任があり、この課題に対して労働組合としても取り組む必要があると考える。本論文では、労使による解決として、5年での雇止めを繰り返す雇用から無期雇用への転換という解決策を提案したい。
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