櫻井 竜義(JAM・JAM新潟)
労働組合の重要な役割の一つに「交渉」がある。これは、職場での議論、意見、要望、いわゆる「声」をもとにした労使双方で行う課題解決の手段の一つである。労働組合が行う団体交渉、労使協議会、職場集会それぞれのコミュニケーションに視点を当て、どのように議論されているのか、近年複雑化する交渉と職場のコミュニケーションの構築についての実状を確認し、問題点はなにか洗い出す。またそれらの土台にある上司と部下、業務命令のようなタテのつながり、同僚や他部署、他企業の人などとのヨコのつながりに対し、それぞれがどのような視点を持っているのか。タテヨコのコミュニケーションにとって、労働組合は非常に有益なツールであるはずであった。近年は業務のIT化により会話はなく、メールのやり取りだけで仕事が進み、さらに新型ウイルス禍により、人との接触を減らさなければならない事態となった。
労働組合の活動にも制限がかかり、団体交渉、労使協議会、職場委員会の運営にも影響が出ている。業務上のタテのつながり、労働組合を含めたヨコのつながりもわかりづらくなり、働く人達の孤立が一層懸念される。労働組合役員は、組合員と同じ職場で働き、生活、地域、仕事の悩みを共有し、経営者は、経営課題にともに向き合い、解決策を考えられるそんな組織であったはずだ。いま労働組合は本当に組合員、会社の声を聞けているのだろうか。職場の分断が進む今こそ、労働組合が職場にタテヨコの串を改めて通すことが大切なのではないか。
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