吉田 宜賀(運輸労連 全日通労働組合)
トラック運輸業界は、1990年に「物流二法」と呼ばれる規制緩和以降、運送事業者数が約1.5倍となり、過当競争が行われてきた。そのような背景において、荷主優位の立場が確立され、運送事業者は多様なニーズに応える中、ダンピングや付帯作業を無償で行うことで仕事を受注することとなり、結果、運送事業者収益の減少にともない、トラックドライバーの低賃金や長時間労働が慢性化することとなった。以降、トラック運転手を希望する人材が減少し、このままでは国内の物流が滞る危険があるとし、国はトラックの「自動運転」や「隊列走行」、「女性の活躍できる環境づくり」等、先端技術を取り入れ、あらゆる施策を進めているが、インフラ整備や法改正等に時間を要することから、今も物流危機は広がっている。
そんななか、重要な社会インフラである物流が滞ることのないよう、「改正貨物事業法」が2018年12月に可決され、その根幹となる「規制の適正化」「事業者が遵守すべき事項の明確化」「荷主対策の深度化」「標準的な運賃の告示制度の導入」の4つが2020年4月に出揃った。
今、この改正法を活用し、労使が一体となって「運輸業界の価値向上」に繋げたい。
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