第18回マスターコース修了論文集

常用型専門職派遣労働者の実態と今後の労働者派遣法の在り方

山本 伸(電機連合 アルプス技研労働組合)

<概要>

 多くの人が「派遣」と言うキーワードを聞くと雇用が不安定で低賃金や非正規雇用と言うイメージを思い描くと思う。これは、2008年のリーマンショックに端を発した世界同時不況によって製造業を中心に大規模な労働者派遣契約の打ち切りとそれに伴う派遣事業主による解雇・雇い止めが起こり、いわゆる「派遣切り」として社会問題になったことなどにあると考える。派遣労働は業務請負とともに間接雇用を代表する雇用形態である。そもそも派遣労働は、職業安定法の労働者供給事業として禁止されていたが、1985年に労働者派遣法が制定され派遣労働が認められた。わたしが所属する株式会社アルプス技研は、技術者を派遣する常用型専門職派遣を主業とする東証一部上場企業である。当労組の組合員は、正社員雇用されながら主に大手製造業の企業で派遣技術者として活躍し日本のモノづくりを支えている。当労組の組合員は、いわゆる正社員雇用されており賃金についても、一般企業と同等もしくはそれ以上の水準となっている。しかしながら「派遣」のキーワードによって世間一般のイメージを抜け出せないでいる。なお当社は、リーマンショック時の不況においても雇用を守り抜いた。
 本論文では、常用型専門職派遣労働者の実態が世間一般に言われる「派遣」イコール雇用が不安定で低賃金とのイメージと異なることを再確認するとともに、今後の労働者派遣法の在り方について提言する。

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