第18回マスターコース修了論文集

現場視点での経営チェックに依拠し、労使一体感のある成長を目指す
―個々人の多様な働き方の尊重と働きやすさの追求-

八木 啓介(電機連合 パナソニック オートモーティブシステムズ労働組合)

<概要>

 現在、私が所属している会社は働き方改革を進めており、長時間労働の是正や年休取得推進などの取り組みは一応の成果を収めているものの、かかわる課題も見えてきている。第一に、現場視点に欠けることである。すなわち、長時間労働是正に向けた一律的な対応が中心で、現場の多様なニーズに応えられるものではないということである。第二に、労使一体的な取り組みとなっていないことである。すなわち、はたして会社と従業員がWIN-WINの関係にあるか、従業員がやりがいや働きがいを感じ、労働生産性を向上する仕組みになっているかというと、そうとは言い切れないということである。それゆえ、いまの取り組みは、望ましい改革として持続可能なものとはいえない。
 これらをふまえ、本稿では、現場視点に立った労使一体的な働き方改革に向けて、まず、現場の多様なニーズを把握すべく、組合員一人ひとりの働き方に対する実態と希望についてアンケート調査を行った。次に、現場で「働きづらさ」が生じている要因について点検し、それを改善することで働きやすさを取り戻すという観点から、現場へのヒアリング調査を実施し、会社の経営・生産活動の実態と問題の所在を把握した。
 これらに基づき、組合員の働き方への多様なニーズと、現場におけるリソースとマネジメントの現状、及び顧客からの要求を考慮に入れた、組合視点での経営に対するチェック手法を提言する。

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