金沢 梨佐子 (情報労連 NTT労働組合)
「日本における労働組合の組織率は約16.7%である」という実態をどう見るか。私の所属している労働組合では、新任役員を対象とした研修を毎年実施しているが、この数字をみてほぼ全員が“少ない”と驚いている。私も組合役員になるまでは、こんなにも組織率が低いとは思いもしなかった。この低い組織率は、本来真っ先に手を差し伸べるべき、弱い立場で働く労働者にアプローチできていないことを意味するかもしれない。
これをふまえ、本稿では、実在する企業の事例に沿って、まず、変化する労働環境と多様化する雇用形態を検証する。特にそれが職場における仲間意識の低下をもたらしていることに注目する。次に、相対する労働組合の活動内容や組織化の取り組み、組織率の低迷状態等を明らかにする。そして、筆者自身のヒアリングに基づいて、非正規雇用の労働者が、実際どのような形で働き、互いの関係をどのように思い、組合についてはどのような認識や期待を持っているかを分析する。その上で、非正規雇用労働者の組織化に向け、新たな組織化の方法を模索し、次代につなぐべき労働運動のひとつとして提言することとしたい。
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