第17回マスターコース修了論文集

日本における性的指向・性自認(SOGI)に関する差別禁止法制のあり方
―「カミングアウト」のリスクを回避した上で救済する手法とは―

佐藤 太郎(連合本部)

<概要>

 日本においていわゆる、「LGBT」に関する報道が多くなってきたが、その困難の実態や対応に関する議論は未だ十分とは言い難い。そこで本稿は、国内で高まる差別禁止法制定の議論に向けて、性的指向・性自認の困難の特徴を踏まえた救済手法の検討行う。先行研究から、差別禁止法制に関する法学分野の知見、SOGIに関する困難について「カミングアウト」や「クローゼット」などに注意を払いながらその特徴を整理、検討し、カミングアウトのリスクを回避する救済手法の検討を行う。検討にあたっては、海外の先進的な国や地域の議論や、国内の先進的な取り組みを参照し、国内の法制化に向けた示唆を得るものとする。
 本稿の検討は、これから本格化することが予想されるSOGI差別禁止法制定に向けた政策・制度要求に資するだけでなく、労働組合の取り組みにも資するものである。また、救済手法の理論的な位置づけにも注意を払い、法学分野への若干の貢献にもつなげるものとしたい。

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