戸村 彰彦(労済労連)
現在、誰もが働きやすい環境づくりに向けて、各企業がさまざまな施策に取り組んでいる。誰もが働きやすい環境づくりと一概に言ってもさまざまな観点があるが、本稿では誰もがその役割を担う可能性がある「育児」について注目する。育児に関しては、未だに女性がその多くの役割を担っているのが現状であり、育児を理由とした離職も後を絶たない。社会的にも女性活躍推進に向けた各種制度の整備がすすんできてはいるが、制度があっても、職場での昔ながらの男性の働き方や育児に対する考え方を変えなければ、実際にその制度を充分に利用することができない。職場の男性の意識の差によって、女性だけが育児について悩み、仕事との両立が困難になることがあってはならない。そのためにも、職場で日常的に世話役活動を行う労働組合が、男性組合員の意識を変革させる役割を率先して果たすべきだと考える。
本稿では、まず、現状として女性が育児と仕事を両立させるうえでの課題を明らかにする。そのうえで男性の育児参画への意識・実態をデータにもとづき紐解いていく。これらの実態分析を踏まえて、父親支援事業を行うファザーリング・ジャパンの取り組み等に学びながら、労働組合として男性の意識を変えるためにどのような取り組みが可能か考察する。
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