大辻 成季(連合東京)
現代の日本社会では、外国人労働者なくして経済の歯車が回らないくらい人材不足であることは、経済界も認めている事実である。日本では現在128万人の外国人が働いており、私たちの日常生活の中でも、駅の売店やコンビニ、スーパー、飲食店に至るまで、彼らの働く姿が日常の風景となりつつある。
2018年6月、政府は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案をまとめた。その中には、人手不足の解消に向け、外国の人材受け入れを促進するために新たな在留資格を創設することが盛り込まれている。近年増加している外国人技能実習生の就労期間を5年延長し、最長10年の就労を可能としたのである。
連合は、2014年の第14回中央執行委員会において、「技能実習制度の見直しに関する連合の考え方について」という公式見解を出している。以後、さまざまな取り組みを展開してきたが、十分とは言えない。一方、産別などにおいては、技能実習生を対象とした先駆的な取り組みがなされてきた。しかし、その経験も労働組合の運動に十分生かされてはいないのが現状である。
本稿では、今後増加が見込まれる外国人技能実習生を取り巻く諸課題について考察し、労働組合の立場で、この問題にどう取り組んでいくべきかを提言したい。
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