第16回マスターコース修了論文集

長時間労働に対する今後の労働組合の戦い
―長時間労働の根本的要因とその解決に向けた今後の労働組合の役割―

本多 一哉(労済労連)

<概要>

 長時間労働問題が叫ばれて久しい。日本において、「古くて新しい課題」としてこれほど長年にわたり議論され続け、いまだ抜本的解決に至っていない労働問題は他に無いのではないか。容易に解決するほど日本の長時間労働問題は単純ではなく、筆者が所属する組織でも同様に、自然災害により突発的に増加する長時間労働に加え、恒常的な長時間労働も発生している。一方、本来長時間労働に対し最も前線で戦わなければならない労働組合は、雇用者に占める組合員の推定組織率が約17%にまで下降していることや、個人主義の蔓延と連帯意識の希薄化による労働者の意識変革などを要因とし、その存在意義自体が疑問視される声も少なくない。しかし本来は、労働者の連帯こそ労働組合であり、長時間労働を黙認・助長する働き方を是とする経営者に対し、数の力を武器に最も有効に闘える手段こそが労働運動である。このような情勢の中で、本論文では、様々な要因や背景により引き起こされる長時間労働に対し、その根本にある要因に焦点を当て、解決に向けて乗り越えなければならない課題とその実効性を高めるために今後の労働組合に必要とされる取り組みを提起したい。

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