第14回マスターコース修了論文集

規制緩和(改革)がトラック運輸産業に与えた影響
―政府の規制緩和(改革)は社会を豊かにしたのか―

金山 耕三(運輸労連 ヤマト運輸労働組合)

<概要>

 バブル崩壊で経済が長期低迷しているなか、社会全体が復帰を目指す時代背景もあり、規制緩和(改革)という言葉が1990年代から使われ始めた。トラック運輸産業は1990(平成2)年に物流二法が施行され規制緩和(改革)が始まった。更に2003(平成15)年には、規制緩和(改革)政策をさらに推し進めることを目的とした物流二法の改正がなされた。
 物流二法に関する規制緩和(改革)は経済的規制の緩和と社会的規制の強化が補完し合う構図であったが、経済が長期低迷のなか荷主企業は物流コストを削減することで復帰を図れば、一方のトラック運輸産業は、全産業と比較しての賃金格差が生まれ、賃金格差から長時間労働や無理な労働生産性の考え方が生まれた。その長時間労働や無理な労働生産性からは過労運転や過積載といった法違反や重大交通事故を誘発してしまったのではないだろうか。
 政府による規制緩和(改革)の一つにすぎないが、トラック運輸産業へ与えた影響について考察したい。

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