第16回マスターコース修了論文集

「子どものいない女性」の働き方の現状と課題
―生命保険産業の内勤職員を例に―

篠原 明穂(全国生命保険労働組合連合会)

<概要>

 少子・超高齢社会を迎え、生産年齢人口が減少する中、「女性活躍推進」という言葉を日常的に聞くようになり、国を挙げての一大プロジェクトとなっている。それに伴い、女性を働きやすくするための法律や環境が整えられてきている。しかし、同じ女性でも「子どものいる女性」もいれば「子どものいない女性」もいる。問題は、「子どものいる女性」への支援ばかりが注目され、多くのサポートを受ける中、「子どものいない女性」」が、その活躍のための支援を十分受けられない可能性があることである。ましてや、「子どものいる女性」への支援ばかりにスポットが当てられるあまり、結果として男性や「子どものいない女性」にそのしわ寄せがくる危険さえある。「子どものいない女性」は「男性と同様・同等に働くこと」ができ、「長時間労働をこなして管理職を目指すこと」ができると、思われる傾向にあるからである。しかし、「子育て」という制約がないからといって、彼女たちは長時間勤務や管理職を望んでいるのだろうか。そこで実際に彼女たちが望んでいる働き方とはどのようなものなのか、生命保険会社で働く内勤職員15名の「子どものいない女性」を対象にヒアリング調査を実施した(質的調査)。ヒアリング調査を基に、「子どものいる女性」や男性社員との比較を行い、組合と会社は何ができるのかを考察した。

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