坂本 義樹(連合静岡)
本稿では、まず、地域別最低賃金の歴史を概観し、静岡における最低賃金の歴史と背景を捉える。ついで1995年に日経連が提言した「新時代の日本的経営」に端を発した非正規労働者の増加が格差の広がりを生んだ状況を、その後の約20年間の政権・法改正・経済環境と地域別最低賃金引上げ額を照らし合わせて検討する。そのあと、静岡県にスポットをあてリーマンショック以降の県勢低下について触れるとともに、実際に最低賃金を決定している地方最低賃金審議会が、その時々において、どの様な議論を重ね地域別最低賃金額を決定してきたのかを考察する。さらにその地域別最低賃金の引上げが労働者や社会にどの様な影響を与えているのか現場の実態を捉え明らかにしていく。その上で、最低賃金額の決定をする場で労働組合側がどのように主張し審議することで底辺の底上げにつながり、格差是正に向けた労働運動となるのかを提言したい。
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