星野 裕一(連合本部)
連合が、21世紀の日本が目指すべき社会像として、2001年に提起した「労働を中心とした福祉型社会」は、2010年に提起した「働くことを軸とする安心社会」の原点と言える。
本稿では「労働を中心とした福祉型社会」を必要とした背景(政治情勢の変化や労働運動が直面した課題など)や「労働を中心とした福祉型社会」をめぐる議論経過を検討することにより、なぜ「労働を中心とした福祉型社会」だったのかを明らかにする。
さらに、「労働を中心とした福祉型社会」が、その後どのように扱われてきたのかについて、連合内での議論・理解、連合外からの評価、民主党との対話という3つの観点から検討することで、このような理念を持ちながら、なぜ顧みられることが少なくなってしまったのかを考察する。
その上で、これから連合が「働くことを軸とする安心社会」を掲げて運動を進めていくためにはどうすべきか、とりわけどのように政治と向き合っていくのかについて提言を行う。
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