平田 繁成(全国労働金庫協会)
働く者が安心して暮らしていける社会を実現するためには、国家保障では補いきれない部分の問題も解決していく必要がある。民主党政権のもとで「新しい公共」が強調されたのもこうした事情による。こうした条件のもとで、「地域」を中心に活動をするNPOや協同組合などの非営利セクターの働きは日に日に重要度を増している。非営利セクターが地域で積極性を持ち活動を進めて行くためには当然資金が必要であるが、その資金は十分であるとは言えず、また多くの組織がその活動資金を寄付に頼って運営している現状があり、その持続性には不安が残る。そのため、寄付だけでなく「融資」を活用することで持続可能性も高まると考えたろうきんは、非営利セクターの一つであるNPOに対する融資を開始したが、その現状はごく小規模の実施に留まっている。本論文では、今後NPO融資を活性化していくために、いかなる施策が有用かを先駆的な事例を参考にしつつ考察し、新しい融資制度の枠組みを提言する。
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