第14回マスターコース修了論文集

これからの高齢者雇用のあり方
-誰もが活き活きと働ける雇用制度の構築に向けて-

押田 卓也(基幹労連)

<論文の概要>

 日本は急速に少子高齢化が進行しており、今後生産年齢人口の大幅な減少が予想される。そのような中で日本の持続的成長のためには、高齢者や女性など今まで十分に活用されていなかった人々を労働力として活用していく必要がある。
 高齢者雇用については、2012年の高年齢者雇用安定法の改正(2013年に施行)により、65歳までの雇用は義務付けられたが、現状、ほとんどの企業の高齢者雇用制度は年金や給付金の受給を前提とした再雇用中心の制度設計となっており、60歳を境に労働者の処遇は大幅に低下し、モチベーションの低下などの問題が発生している。
 すでに厚生年金の基礎年金部分は65歳支給となっているが、2025年にかけて比例報酬部分の支給開始年齢が65歳に引き上げられていく中で、今後の高齢者雇用は、現状の再雇用中心の制度から定年延長等の方向へ議論が進んでいくことが予想される。そのような意味で現状の高齢者雇用制度は過渡的な制度であり、今後労使で議論を重ねながら、労働者も企業も納得できる高齢者雇用の制度を作り上げていかなければならない。
 本稿では、製造業の現場を中心に、現状の高齢者雇用制度の課題とそれに対して今後どのように解決していくのか、そして、そのために労働組合としてどのような取り組みを進めるべきかについて、すでに将来に対して危機感を抱き、高齢者の活用に積極的に取り組んでいる企業労使の事例などを参考にしながら考察していきたい。

総目次に戻る