第14回マスターコース修了論文集

女性の貧困の歴史的背景と制度的・構造的要因
-労働組合としてできることを考える-

田村 美都子(全日本自治団体労働組合 中央本部)

<論文の概要>

 本稿では、女性の貧困は、女性が社会の中で置かれてきた状況に関係があるのではないかと考え、高度成長期以降の女性の労働・家族の歴史を振り返り、問題点を探りだし、女性の貧困をなくすために、今後労働組合が取り組むべきことについて考察することを目的としている。
 現在、女性が自立して働くことは、極めて困難である。妊娠したら働き続けることは困難であり、仕事をやめて再就職しようとすれば、再就職先は非正規労働が中心であり低賃金である。さらに職場にはハラスメントの問題が潜む。このように、女性が働き経済的に自立すること自体が、困難な状態となっている。
 この状態は放置され、一人で稼得した賃金で生活し、子どもを育てないといけないシングルマザーを直撃し、厳しい状況に追い込んでいる。しかし、シングルマザーや母子家庭を取り巻く貧困問題や貧困から派生する様々な問題は、「特殊な人たちの問題」として矮小化され、不可視化されている。
 女性の貧困を解消するために、労働組合にできることはなにか。考察してみたい。

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