田中 清貴(情報労連・通建連合・日本コムシス労働組合)
本論文は、情報通信分野における市場の成熟に伴って、通信建設業界が避けては通れない問題を取り上げるものである。その目的は、未だ差し迫った課題として必ずしも認識されていない問題を早期に取り上げることで、業界に携わる多くの仲間と共通の問題意識を持つことにある。具体的な施策を実施するために問題提起を行い、持続可能な業界を目指したい。
通信建設各社の業績は、主たる発注者であるNTTグループの設備投資動向の影響を強く受けざるを得ない。NTTグループ中期経営戦略の中で、固定通信事業の設備投資は漸減傾向が明確であり、来期以降も投資抑制に入っている。加えて通信建設業界では、首都圏及び関西圏に事業基盤がある企業が関連工事受注に対して優位にあり、その他の地域との格差の広がりが懸念されている。
本論文では、通建連合加盟組合の幹事会を担っている組織の本部三役員(委員長、副委員長、書記長)を対象にしたアンケート調査を分析する。その分析に基づいて、成熟期を迎えつつある市場の中で地域格差を含めた格差是正に向けて、企業別労働組合の連合体である通建連合が継続的な雇用確保の観点から如何に取り組むべきかについて考察したい。
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