八鍬 雅幸(JAM)
これまでの人材育成は基本的に各々の企業がおこなってきた。ただし、国内で、ものづくりをしていくうえでは、ものづくりの基本技術などで、ものづくり産業界で共通的に取組むべき人材教育もある。この共通する人材育成を、資金に余裕のない中小企業従業員を対象として、産業別労働組合のJAMが行うことはできないか、というのが本稿の問題関心である。
JAMで私は業種別部会の電機部会を担当している。構成数は50組合で現在の経済状況でも利益を出し、過去最高益を更新している企業もある。昨年と今年の春闘ではJAM全体平均よりも約1000円以上も高いベアを獲得している。この高収益を支えている要因の一つが人材である。
これに鑑み、本稿では電機部会構成組織を対象にアンケート調査とヒアリング調査を行った。アンケート調査からは、JAM電機部会で利益を上げている企業の場合、既存技術がコアとなり、研究開発・生産技術・営業を一体とした形で運営し、人材育成をOJTでしっかり行っていることが判明した。そして、ヒアリング調査からは、基本作業を覚えることで安全に作業ができること、教育指導者の知識や指導力も向上することがわかった。
ただし、中小企業がすべてこのような人材育成ができるとは限らない。したがって、産業別労働組合としてのJAMに人材育成の一翼を担うことが必要と考え、その対策を提言した。
┃総目次に戻る┃