井上 智史(自動車総連・全国マツダ労働組合連合会)
労働時間短縮の取り組みは、私たちの上部団体である自動車総連においても、1990年代から総労働時間1800時間台を達成することを目標に掲げ運動を推進している。残念ながら現時点においても、大きな改善は見られていないが、粘り強く活動を継続している状況にある。私が所属している全国マツダ労働組合連合会(マツダ労連)においても時短に向けて真摯に取り組んでいる。本稿では、その加盟組合のうち、上部団体の方針に沿って労働時間短縮の活動を行っており、また、比較的情報を得られ易いZ労組の事例を中心に、所定外労働時間の短縮について、考察することとした。
まずは、Z労組における、直近3年間の総労働時間の推移とこれまでの労働時間短縮の取り組み経緯とを調査した。総労働時間の短縮に向けては、有給休暇の取得促進などで、総労働時間拡大に対して、一定の歯止め効果を挙げてきている。しかし、本稿のテーマとしている所定外労働時間の短縮に向けての取り組みは不十分と言わざるを得ない。また、所定外労働時間は開発領域で慢性的に長時間化になる傾向を確認できた。そこで、開発部門に絞って調査を進め、所定外労働時間が長い部門の個人別労働時間を入手して分析を行うとともに、当該の職場を担当する職場役員へ組合員の働き方などについてインタビューを実施した。これらのデータやインタビュー結果をもとに、所定外労働時間を短縮していく手法として労働時間貯蓄制度の導入および職場労使協議の強化を提案した。
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