濵﨑 香(UAゼンセン)
現在、労働者全体に占める非正規労働者の割合は3分の1を超えて過去最高水準となっている。それに伴い不安定雇用や賃金など処遇面での正規労働者との格差といった様々な問題も顕著化してきているが、とりわけ派遣労働については間接雇用による三者関係という特殊な雇用形態もあり、他の非正規雇用とはまた異なった複雑な問題を多数抱えている。私自身も派遣労働者としての就労経験から派遣労働の抱える様々な問題を身を以て実感してきた。
それにも関わらず、安倍政権の下では現在「成長戦略」の名のもとに労働者保護ルールの改悪が次々に進められようとしており、労働者派遣法もさらなる規制緩和に向けて改正を目指しているところである。この改正法が成立すれば、企業は正社員をどんどん派遣社員に置き換え、派遣労働者はずっと派遣として固定化され、派遣労働がますます拡大し多くの労働者が「生涯派遣で低賃金」となるであろうことは想像に難くない。
本稿では、まず現在の労働者派遣制度が抱えている問題を、派遣労働者の現状や意識についての各種調査結果などを基に分析する。そして、労働者派遣法の制定から度重なる改定の経緯についてまとめた上で、今回の改正法案の問題点と、労働者派遣制度のあり方について考察する。
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