葉葺 龍(JEC連合 組織政策局)
社会経済情勢の変化や企業の国際化に対応するため、実務界からの強い要請を受け、成立した新会社法。法改正から10年経過した今、企業分割は会社の経営施策の一つの選択肢として定着してきた。
私が産別組織で、従業員数90名の中小企業において、会社分割の提案をされたという相談をうけた。上司やオルガナイザー、また顧問弁護士を通し対策・相談を行いながら、当該労働組合の真摯な努力により、現在労使関係は改善の方向に向かっている。
しかしながら相談を受け、対策を検討する中で新会社法の成立によって、企業再編における労働者保護を行う法律の少なさと労働組合として対抗するすべの少なさを痛感した。新会社法の成立に伴い、労働契約承継法の成立も鑑みながら、企業再編時において組合活動の活動基盤を保てるか、また働く仲間が安心して働ける環境になるには、どのような労使関係システムの整備が必要かということについて考察する。
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