第13回マスターコース修了論文集

高齢者雇用の現状と課題
-技術継承が不可欠な職場を中心に-

中原 啓二郎(電力総連)

<論文の概要>

 日本は少子高齢化社会の時代を迎えたことにより、労働力人口の不足が進行している。企業自体が将来にわたり維持・発展していくためには労働力が不可欠であり、人材が確保できないことは企業にとって大きな問題となる。特に技術・技能の継承が不可欠な職場にとって、必要な人材の確保ができなければ、企業自体の組織力低下につながっていくことが考えられる。
 このような中、改正高年齢者雇用安定法が施行され、65歳までの希望者全員を雇用することが企業に義務付けられた。これは、高齢者が今まで職場で培った多くの経験や知識を継続して職場で生かすことができることであり、如何にして高齢者を65歳まで活躍できる労働環境を作れるかが企業にとって大きな課題となってくる。
 本論文では、実際に高齢者雇用を推進している職場の現実を見定めることが必要であると考え、インタビュー調査によって得られたデータを考察し、高齢者が安心して安定的に働き続けるための労働条件や労働環境など、労働組合として取り組むべき課題を明らかにしていく。そのため、A社の職場を調査対象としてとりあげ、技術・技能の継承を含めた人材確保の観点から、企業と労働者が互いに有益となる条件とは何かを確かめる。

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