関 美紗子(日本教職員組合)
2013年9月、最高裁大法廷は婚外子の相続権を婚内子の半分と定めた民法の規定(民法900条4号)を「違憲」とする歴史的判決を下した。日本では様々な社会制度が世帯(家)を基本に構築されている。子の出生は父母の婚姻関係を前提としており、婚外子に対しては社会的位置づけがなく、様々な法的、社会的差別にさらされている。自民党保守系議員らは「婚外子を認めれば法律婚の軽視、家族制度の崩壊につながる」と主張している。
しかしながら、国が個人の生き方を規定し、婚外子本人にペナルティを与えることは、個人の尊重および尊厳、法の下の平等を規定した憲法に違反し、世界的な潮流とも逆行する。連合の「政策・制度・要求と提言」の中でも婚外子差別撤廃にむけての方針が立てられており、「性やライフスタイルに中立な税・社会保障制度の確立」を掲げている。
多様な家族、多様なライフスタイルを認めあっていくことは個人を尊重し、持続可能な社会を可能にするのではないかと考える。そのためには婚姻関係の有無に関わらず、子を生み、育てられることが可能な社会であるべきである。
本論文では、日本における婚外子差別の実態を把握し、多様な家族のあり方、多様なライフスタイルを可能にするための社会制度の課題を明らかにするとともに労働組合としてどうとりくんでいくかを探っていきたい。
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