根岸 朋宏(JAM北関東)
これまでの日本の中小企業で生産された製品は、国内メーカーに供給され、世界の中で確固たる信頼と仕事量を確保してきた。しかし、近年は国と企業の施策によりグローバル展開を図り、多くの企業が海外進出している。それに伴い、完成品を構成する部品の調達先も現地化される例が増加しており、従来その役割を担ってきた国内中小企業の仕事量と、そこに働く労働者の雇用のパイは縮小していると考えられる。
とりわけ金属機械、電気機器業界は国の基幹産業を担ってきており、そこにはものづくり産業の中に残していく価値の高い「技能・技術」が集積している。その部分を強化していかなければ、産業の空洞化や優秀な人材の空洞化が発生し、国内の「ものづくり」の力が衰退してしまう懸念がある。
本稿ではグローバルに展開するものづくり産業の中での中小企業の現状を、個別企業の事例、特定地域の取り組み状況に即して調査分析し、そこに発生している問題点を労働組合の関与の中で発展的に解決する道筋を探る。
具体的には、JAMの「熟練技能継承事業」や個別企業の基礎技術力向上の取り組みをふまえ、産別の横断的な活動により「オープンなものづくり技術」を向上し、それを今後の中小企業の生き残りにつなげていくために必要な提言を行う。
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