橋本 裕信(連合本部)
第二次安倍内閣が打ち出した経済政策、いわゆる「アベノミクス」により、デフレ脱却への兆しが見え始めたと言われている。一方、わが国の「デフレ」に対する認識は、識者の中でもいまだ諸説あり、金融政策を主軸とする脱却が国民の安心につながるかは疑わしい。
そこで、本稿ではデフレを「供給過剰に起因する名目GDPの低下」と定義し、労働運動を通じたボトムアップによる脱却こそが「真のデフレ脱却」であると考えた。その本質は、人件費(賃金)の引き上げによる物価の上昇および消費の拡大であり、安心して働くことのできる環境づくりに他ならない。したがって、労働や企業活動のあり方、社会のあり方について、労働者の立場から変えていかなければならない。その一例として、第3章では主に企業・業界の変革に向けた労働運動の展開、第4章ではさらなる需要の創出と投資の拡大に向けた戦略的な政策提言の重要性について言及した。
デフレ脱却をはじめとする理想の社会像へ向けた変革は、労働者だけでなく、国民一人ひとりが積極的に参画していかなければ決してなし得ない。労働組合は時に道標となり、時にリードしながら運動を展開していくことが重要である。
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