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寸評東京大学社会科学研究所教授 中村 圭介 こういう論文を待っていた。嘘じゃない。「理論」から導かれる提言でも、耳ざわりだけがよい提言でもなく、実体験に基づいた本音の提言を待っていた。なんとか、子育てと仕事を両立させようと苦労している、その当人の言葉は重く、私たちは真しに耳を傾けなければならないと思う。 |
寸評日本女子大学人間社会学部教授 大沢真知子 今回の応募作品は前回に比べて具体的な提言が多く、読み応えがあった。実際に組合活動をしてきたなかで、感じたことや問題が率直に書かれていて、こういう声を大切にしていくことが、組合活動を変え、組合のイメージを変えていくのだとおもった。 今回提言論文を読ませていただいて、提言の内容が初回から比べて大きく変化しているのを感じた。背後には、日本の経済社会が大きく変化していることがあるようにおもう。短期の利益重視の経営に大きくシフトしていくなかで、労働者の雇用も不安定になりつつある。労働者本人が自身の権利を知り、自分の身を守っていくことが必要な時代になっている。それを教育する役割を組合が果たすべきだという提言が比較的多かった。労使間の信頼関係が次第に失われつつあるのではないかと感じた。 女性が仕事を家庭(育児)をどう両立させていくのか。これは一昔前には、女性が個人的に解決すべき問題とおもわれていた。両方を持とうとするのはわがままだとおもわれていた時代もあった。それがいまは、パートナーである男性社員にとっても、会社にとっても両立できる環境を整え得宇ことが重要な課題(チャレンジ)になっている。共働きが標準の社会に変化してきたからだ。それに正面から取り組んだ提言が今回の優秀論文に選ばれているのもこういった時代の変化が背後にある。 いまわたしたちは何を失い、何をえているのだろうか。過去に積み重ねてきたよいものを生かし、新しい時代に適応するためには組合はどうしたらいいのだろうか。そんなことを考えるヒントが今回の投稿論文には数多くあったようにおもわれた。 |
寸評志縁塾 代表 大谷 由里子 今回の論文は前回よりも内容も含め、レベルが高い論文が多かったです。そして、優秀賞の二人がそうであったように、ワークライフバランス関係の論文が多かったのも特徴です。 |