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寸評東京大学 社会科学研究所 教授 中村 圭介 僕は調査屋である。いずれも見事な応募論文の中から、とにかくどれかを選ばなければならないとなると、どうしても、調査屋というバイアスから逃れられない。欧米の組合の日常を冷静な眼で観察し、軽妙洒脱な文章にまとめた松井論文が、僕としては一番気に入っている。こうした草の根の海外交流こそが必要だ。この知見を仲間に広め、自分の活動にも活かして欲しい。障害者雇用への組合の対応を、障害者側から見た原論文も、僕は好きだ。良質なルポルタージュを読んでいるような感じがした。なんとか、地方に残って、今のスタンスを持ち続けて、さまざまな情報を中央に発信してもらいたいと切に願う。職場の組合が残業問題へ取り組むことが、これほどまでに困難だとは僕は知らなかった。山口論文が教えてくれた。この経験を自覚的に広げる必要があるのではないか。そうしなければ、不払い残業はなくならない。そうも思った。永井論文は、離職を迫られた組合員に、産別が何ができるか、あるいは何をすべきかをつづったものである。この論文から滲み出る、明るさ、希望が僕は好きだ。最近、僕は組合の広報活動が重要だと思うようになっている。その意味では、読んでもらう機関誌(紙)をいかに作ってきたかをまとめた雛=平山論文も興味深く読んだ。僕のお薦めは「長崎消息」(長崎県職)である。是非、一読を。 寸評日本女子大学 人間社会学部 教授 大沢 真知子 いま、日本は曲り角に立っているのだと思う。いままでうまくいっていたことがうまくいかなくなっている。その時代の変化を組合活動という実際の現場でどのように感じているのだろうか。新しい時代のニーズにあうように、組合はどのように変わっていけるのか。具体的な提言がある論文に高い評価をした。 寸評志縁塾 代表 大谷 由里子 個人的には、いろんな視点からのいろんなテーマの論文を楽しく読ませていただいた。障害者雇用、成果主義、青年活用など、様々なテーマがあったけれど、本当にみんなが、いろんなことを思い、いろんなことを伝えたいのが、ひしひしと分かった。そんな論文に優劣をつけるのは、きっと、みんな忍び難かったんじゃないだろうか? |