Rengoアカデミー 第24回マスターコース概要

定員に達しましたので募集を締め切りました。[2024.10.16]

目次

  1. 1.マスターコースのアウトライン
  2. 2.授業プログラム(前期・後期)
  3. 3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧
  4. 4.ゼミナールの紹介
  5. 5.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ

<参考資料>第23回受講生の体験談

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1.マスターコースのアウトライン

授業風景

  教育文化協会は、連合運動の発展に資する労働者教育の全体像を構想し、その第一歩として、連合結成10周年を機に、2001年5月、連合運動の次代を担うリーダーの育成を目的に、「Rengoアカデミー・マスターコース」を開講しました。これまでに518名が受講し、修了生は現在、それぞれの立場から連合運動の一翼を担い、活躍しています。
 第24回目の今回は、マスターコース開講の趣旨と会員組織や受講生からの意見・要望、過去23回取り組んだ経験・反省を踏まえ、引き続き、受講生出身組織の送り出しやすさと受講生本人の参加しやすさを基本に、①講義科目の前・後期への効果的な配置、②ゼミ生同士の自主的な議論・研究に資する自主研究枠の確保に努め、合宿日程の効果的編成を心がけました。
 第24回マスターコース・プログラムのアウトラインは以下のとおりです。会員組織、連合構成組織および加盟組合、地方連合会などからのご参加をお待ちしています。

視点

 マスターコースでは、人間・歴史・世界・「場」(※)からのアプローチを重視し、受講生の分析力・構想力の醸成をはかり、問題発見と問題解決の能力向上をめざします。
 自らの「考察を深めたい課題」について、ゼミナールでの担当講師からのアドバイスや他のメンバーとの意見交換などを通じて、問題意識の深耕・多角化をはかるとともに、その課題解決方法を見つけ、修了論文にまとめていきます。(「5.修了論文作成に向けたゼミナールの進行イメージ」を参照)。
 合宿教育を通して受講生と講師の「人間としての結びつき」を深めます。

※「場」とは、問題を発見しその解決をはかるときの自分のスタンドポイントのこと

年間スケジュール

 マスターコースは、合宿教育期間と自学・自習期間を組み合わせ1年間で修了します。
 集中合宿は、前期、後期の2期制です。

前期:2024年11月17日(日)~11月22日(金)の6日間
後期:2025年 5月11日(日)~ 5月16日(金)の6日間

 前期終了後から後期開講までの間と、後期終了後から修了論文完成までの間が、自学・自習の期間となります。この期間にはそれぞれ、必修ゼミを配置しています。
 必修ゼミでは、ゼミ生は自学・自習期間の成果を発表し、ゼミナール担当講師からアドバイスを受け、後期のゼミへ、さらには修了論文へとつなげていきます。
 修了論文については随時、担当講師からメールなどで個別指導を受けることができます。
 受講生は、2025年7月1日(火)までに修了論文を提出し、教務委員長の監修を経て、9月下旬~10月上旬に予定している修了式を迎え、1年間のプログラムを修了します。

授業と講師陣

 前期、後期の合宿教育では、講義とゼミナールを行います。
 講師陣には、それぞれの分野の第一人者の他に、連合会長(Rengoアカデミー校長)や連合事務局長なども加わります。

講義

 講義科目は、特別プログラムも含めて23科目です。
 講義は、原則、講師からの問題提起、グループワーク、発表などを組み入れて行います。講義の進め方は、授業60~70分と休憩10分のサイクルが基本ですが、多少、前後することがあります。

ゼミナール

 受講生は、受講申込の際に、「考察を深めたい課題」を提出するとともに、5つのゼミナールのなかから希望するゼミを選択します。
 ゼミナールは、前期3回、後期3回の計6回行います。ゼミナールは、原則1回最大3時間(休憩含む)です。
 ゼミナールごとの必修ゼミは、前期終了後から後期開始までに原則2回、後期終了後に1回行います。
 ゼミナールは、5名で編成し、担当講師の指導やゼミ生との議論を通して各自の課題を修了論文に仕上げます。
 ゼミナール大会(後期3日目)では、受講生が修了論文の骨子・仮結論を発表し、他のゼミ担当講師から講評を受けます。その後のゼミでは、その講評も含めゼミ担当講師から指導を受けます。

合宿期間中の運営

 合宿生活は、受講生が実行委員会をつくり運営します。
 合宿期間中には、連合会長(Rengoアカデミー校長)や連合事務局長、教育文化協会理事長などとの交流、懇談の場を設定しています。

修了

 前期・後期を受講、修了論文を提出し、教務委員長による監修を経て修了となります。
 修了生には、修了証を授与します。

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2.授業プログラム(素案・調整中含む)※プログラム関係は以下同じ

◇前期 <2024年11月17日(日)~22日(金)>

プログラム前期

[備考]
① 午後の講義終了後、実行委員会のミーティング(M)を行う。
② 前期と後期の間に「必修ゼミ」を2回行う(指導講師の判断で1回でも可)。
③ 必修ゼミに加えて、オンラインでの指導の場を複数回設けることも可とする(前期後に1回、後期後に1回を上限とする。正規の必修ゼミと併せて計5回を上限とする)。

◇後期 <2025年5月11日(日)~16日(金)>

プログラム後期

[備考]
① 後期終了後に「必修ゼミ」を1回行う。(前期終了後の2回と併せて計3回)
② 必修ゼミに加えて、オンラインでの指導の場を複数回設けることも可とする(前期後に1回、後期後に1回を上限とする。正規の必修ゼミと併せて計5回を上限とする)。

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3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧

 講義科目は、政策-組織-基礎の3領域、総合戦略-経済産業政策-社会労働政策-組織強化・拡大-組織運営-人間と組織-経済社会と労働の7分野から編成しています。
 講義は、連合の戦略的方向性・課題を大づかみに理解し、連合の一員としての自分の役割・課題を確認することからスタートし、基礎から応用・運動へと、順次ステップアップできるように科目を配置しています。

領域 分野 科目 (前期、後期) 講義時間
  政  策 総 合 戦 略 「連合の役割・行動Ⅰ」
「『安心社会』への戦略を考える」
「連合の役割・行動Ⅱ」
(前)
(前)
(後)
2時間30分
3時間30分
3時間30分
経済産業政策 「日本の財政と社会政策の課題」
「社会保障のとらえ方」
「グローバル化と労使関係」
(後)
(前)
(後)
3時間30分
3時間30分
3時間30分
社会労働政策 「人材活用と人事管理の課題」 
「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」 
「労働者自主福祉の課題」
(後)
(前)
(前)
3時間30分
3時間30分
3時間30分
  組 織   組織強化・拡大 「連合組織強化の課題」
「労働組合と政治」
「ジェンダー平等と労働組合」
「国際労働運動の課題と対応」
(前)
(後)
(後)
(後)
3時間30分
3時間30分
3時間30分
3時間30分
  基 礎   人間と組織 「アサーティブ・トレーニング」 (前) 3時間30分
経済社会と労働 「歴史からみた労働組合の役割」
「労働法の基礎」
「ジェンダーと労働」
「仕事と賃金」
「労使関係の課題」
「地域と労働組合」
(前)
(前)
(後)
(前)
(後)
(後)
3時間30分
3時間30分
3時間30分
3時間30分
3時間30分
3時間30分
特別プログラム 「論文のまとめ方」
「アカデミー中間整理」
「ゼミナール大会」
(前)
(前)
(後)
1時間
3時間00分
4時間30分
合 計 講義20科目:69時間00分 特別プログラム3科目:8時間30分 77時間30分
ゼミナール 前期3回+後期3回 =18時間 総時間 95時間30分

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4.ゼミナールの紹介

禹ゼミ テーマ:労働組合の機能と役割をみつめなおす 講師:禹宗杬 法政大学大学院 連帯社会インスティテュート教授
目的
  1. このゼミでは労働組合の機能と役割をみつめなおします。具体的には、次のように進めたいと思います。
    1. 各自有している組合のイメージを持ち出し、議論と思索を重ねながら、組合の望ましい姿を描きます。この作業には、各々の体験を共有するほか、日本の歴史的な経験やほかの国の模索を知ることも役に立ちます。
    2. 各自所属している組合の機能と役割について分析し、うまくいっているところを評価すると同時に、いま抱えている課題をも明らかにします。
    3. 上記の二つのプロセスを往復しながら、組合をよりよくするために、各自めざしたい方向性を定め、それに必要な解決策を構想します。
  2. 労働組合の機能と役割については、次のように考えたいと思います。
    1. 企業別組合の場合は団体交渉と労使協議を通じて、産業別組織と連合の場合は主に政策・制度要求を通じて、働く人の利益を実現すること。
    2. とともに、労働者同士が価値ある存在として自らを承認し、なお、より弱い立場にある人の境遇を改善することで、働く場と社会における公正を実現すること。
課題
(キーワード)
労働組合の機能/労働組合の役割/企業別組合/産業別組織/ナショナルセンター/団体交渉/労使協議/政策・制度要求/労働者としての承認/公正としての正義
講師略歴
現 職 法政大学大学院連帯社会インスティテュート教授
職 歴 埼玉大学経済学部講師・助教授・教授、The Graduate School of Management (Anderson School) at UCLAの訪問研究員、ソウル大学校日本研究所客員研究員などを歴任
著書・論文 『「身分の取引」と日本の雇用慣行―国鉄の事例分析―』(単著、日本経済評論社、2003年)、『韓国の経営と労働』(編著、日本経済評論社、2010年)、『中国民営企業の雇用関係と企業間関係(共著、明石書店、2013年)、『現場力の再構築へ―発言と効率の視点から―』(編著、日本経済評論社、2014年)、「アジアの賃金―『学歴別・熟練度別賃金』―」(『大原社会問題研究所雑誌』721号、2018年、46-60頁)、「『一億総活躍』と身分制雇用システム」(『社会政策』第11巻第3号、2020年、14-28頁)、「『雇用区分廃止』の人事戦略―背景・要因・効果―」(『社会政策』第13巻第2号、2021年、21-33頁)など
その他 連合総研「参加保障・社会連帯型の新しい社会政策・雇用政策の大綱に関する研究委員会」委員、連合総研「企業行動・職場の変化と労使関係に関する研究委員会」主査、連合総研「『日本的』雇用システムと労使関係研究会」委員、国際労働財団「アジアにおける労使関係と労働組合の課題プロジェクト」委員、社会政策学会代表幹事など
梅崎ゼミ テーマ:キャリアと労使関係 講師:梅崎修 法政大学キャリアデザイン学部教授
目的
  1. 産業・社会構造の変動や技術革新によって人々のキャリアデザインが大きく変貌していると言われています。キャリアとは、狭い意味での職業キャリアだけではなく、地域・家族・余暇生活を含んだ人生(ライフ)キャリアを意味します。このライフキャリアの変貌を事実に基づいて正確に把握することが、ゼミの第一の目的です。
  2. キャリア展望の曖昧化、または多様化は、避けられない歴史変化だとしても、現在、人びとに突きつけられている自己選択に対する過度な期待、自己責任は、我々を苦しめています。
  3. <私=個人>の時代に<我々=社会>について考えることは、どのような道筋があるのか。この問いは、具体的に、労働組合運動にはどのような可能性があるのかと言い換えてもよいと思います。労働組合運動については考えることは、<我々=社会>の中に連帯・協力を再設計する挑戦だと思います。この挑戦について議論をしながら労働組合について深く考えることがゼミの第二の目的になります。
課題
(キーワード)
産業構造の変動、技術革新、個別的労使関係、キャリアデザイン、生活・地域コミュニティ
講師略歴
現 職 法政大学キャリアデザイン学部教授
職 歴 政策研究大学院大学C.O.E.オーラル・政策研究プロジェクト・研究員、法政大学キャリアデザイン学部、専任講師・准教授を経て15年より同大同学部教授。2013-14年、The London School of Economics and Political Science訪問研究員。2019-2020年、立教大学大学院経済学研究科訪問研究員。2012年-2020年、中央大学企業研究所・客員研究員、2016年-現在、慶応義塾大学産業研究所・共同研究員
著 書 『「仕事映画」に学ぶキャリアデザイン』(有斐閣、2020年)、単著『日本のキャリア形成と労使関係—調査の労働経済学』(慶應義塾大学出版会、2021年) 
編 著 共編著『人事の統計分析―人事マイクロデータを用いた人材マネジメントの検証』(ミネルヴァ書房、2013年)、共編著『教育効果の実証―キャリア形成における有効性』(日本評論社、2013年)、共編集『日産・ルノーアライアンス オーラルヒストリー―グローバル提携時代の雇用・労使関係』(慶應義塾大学出版会、2020年)、ほか多数
その他 日本労務学会副会長、日本キャリアデザイン学会副会長
木本ゼミ テーマ:少子高齢社会のなかの人間と労働組合 講師:木本喜美子 一橋大学名誉教授
目的
  1. 現代日本において、企業社会体制は変容しつつあり、少子高齢社会としての特徴がきわだってきている。労働市場の変動、地域社会の格差拡大、そして家族の大きな変容を実態として把握することを通じて、労働組合が直面する課題を考える。
  2. 特に検討を要するのは、従来の「サラリーマン」の働き方を相対化し、新しい働き方や暮らし方、生き方が、新たな価値規範と共に模索されてきている事実である。一方では高度成長期以来の旧態依然としたサラリーマン像があり、他方では正社員労働市場への参入が困難な、若者や女性たちの労働-生活者像がある。変動期の現代を把握するために両者の動きを、トータルに検討する。
  3. 本ゼミでは、主体としての人間が、階層、ジェンダー、年齢、地域差等によって分断されつつ、一人一人の一回限りの生をまっとうするために、働き方そして生き方をめぐって模索している姿を、まずもって重視したい。その上で、個々のアクターの価値規範がどのように変わろうとしているのかをつかむことによって、労働組合が担う新たな課題と社会的役割を探ることをめざす。
課題
(キーワード)
少子高齢化/未婚化・晩婚化/働くことと家族/労働市場の変動/非正規化/ジェンダー変動/若者の就業問題/女性労働問題/労働-生活時間構造/サラリーマン像の揺らぎ/ワーク・ライフ・バランス
講師略歴
現 職 一橋大学名誉教授
職 歴 広島大学総合科学部助手、立命館大学産業社会学部助教授、一橋大学社会学部助教授、一橋大学大学院社会学研究科教授を歴任
著 書 『家族・ジェンダー・企業社会』(ミネルヴァ書房、1995年)、『女性労働とマネジメント』(勁草書房、2003年)等
編 著 『家族・地域のなかの女性と労働』(明石書店、2018年)、『社会政策のなかのジェンダー』(明石書店、2010年)、『現代日本の女性労働とジェンダー』(ミネルヴァ書房、2000年)
共 著 『地方に生きる若者たち-インタビューからみえてくる仕事・結婚・暮らしの未来』(旬報社、2017年)、『仕事の人類学―労働中心主義の向こうへ』(世界思想社、2016年)、『リスク社会のライフデザイン―変わりゆく家族をみすえて』(放送大学教育振興会、2014年)、『高度成長の時代1-復興と離陸』(大月書店、2010年)
論 文 「女性労働をめぐる歴史的構造の成立とその揺らぎ―共稼ぎ家族の不可逆的増大へ」(くらしと共同の研究所編『生協労働研究会報告書』2022年)、「ジェンダーと階級研究からのコメント―『家族の命運』に寄せて」(イギリス女性史研究会『女性とジェンダーの歴史』第9号、2022年)、「私の<家族と労働の社会学>を振り返って」(『国際経済労働研究』1115号、2021年)、「ふたつの継続的就労女性像と働く意味」(『家族社会学研究』第33巻第2号、2021年)
その他 博士(社会学)、学術会議連携会員、法政大学大学院フェアレイバー研究所特任研究員、多摩市男女平等審議会副会長など
橋元ゼミ テーマ:企業・職場と労働組合 講師:橋元秀一 國學院大學経済学部教授
目的
  1. 労働組合の原点を確認しつつ、各自の所属する労働組合の特徴を交流することを通じて、改めてそれぞれの労働組合を相対化し客観的に把握する。
  2. それぞれの企業・職場はどのような問題や課題を抱えているのだろうか? 近年、企業や職場に起きている変化を踏まえつつ、率直に出し合い交流し合いながら、今日の労働組合が直面している課題とはどのような問題であるのかを考察する。
  3. 組合員にとって、労働組合が魅力的であるとはどのような役割を組合が果たすことであるのかを検討する。組合役員の立場から離れ、一組合員の視点に立ったとき、日々の労働や職場生活において、さらには職業人生を展望した場合、労働組合は、どのような問題や課題を抱えているのだろうか? 労働組合は、そうした問題や課題をどれだけ受け止め、どのように取り組んでいるのか、検討し議論し合う。ゼミでの集団的議論を通じて、新たな視点やヒントを探りたい。
  4. 以上を踏まえつつ、理論的視点、歴史的視点、組織構造的視点から、労働組合の現状と課題を明らかにすることが、本ゼミの目的である。
課題
(キーワード)
採用/従業員構成/非正規労働者(非典型雇用)/配置/教育訓練/賃金/成果主義/人事考課/労働時間/残業協定/労使協議/経営参加/組合組織構造/組合役員
講師略歴
現 職 國學院大學経済学部教授
職 歴 東京都立労働研究所研究員、日本学術振興会特別研究員、(財)労働科学研究所社会科学研究部研究員、國學院大學経済学部専任講師・助教授を歴任
編 著 『人事労務管理の歴史分析』(ミネルヴァ書房)など
論 文 「第8章 雇われて働くってどういうこと?」「第9章 雇用や働き方はどう変わる?」(『アクティブラーニングで学ぶ日本の経済』、東洋経済新報社、2021年4月) 「組合員の個別賃金決定に労働組合はどう関わっているのか」(国際経済労働研究所『Int'lecowk-国際経済労働研究』第75巻第9号、2020年9月)、『労働組合の職場活動に関する研究委員会報告書―21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ-』(連合総研、2016年9月)、「第1章 労働組合の基礎的組織の現状」(連合総研『労働組合の基礎的な活動実態に関する調査研究報告書』、2016年4月)、「労働組合による労働者供給事業の諸類型と可能性」(『国学院経済学』第60巻第3・4合併号、2012年3月)、「非正規従業員の組織化の動き」(『講座 現代の社会政策 第5巻 新しい公共と市民活動・労働運動』明石書店、2011年9月)、「非正規雇用問題と企業別組合の役割およびその展望」(社会政策学会誌 『社会政策』第2巻第1号、ミネルヴァ書房、2010年5月)、「企業別組合における非正規従業員の組織化事例の示すこと」(『日本労働研究雑誌』No.591、2009年10月)、「「成果主義」の実態は「能力主義管理」の整備・徹底化-真の能力主義を求めて」(『賃金制度と労働組合の取り組みに関する調査研究報告書』連合総研、2006年7月)
その他 國學院大學労供研究会座長、連合総研「21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ『労働組合の職場活動』研究委員会」主査、連合総研「「非正規労働者の組織化」-21世紀の日本の労働組合活動に関する調査研究委員会Ⅰ」副主査など
長谷川ゼミ テーマ:労働法と労働組合 講師:長谷川 聡 専修大学法学部教授
目的

 労働法は働き方を規律するルール(ワークルール)です。労働法を理解することによって、常識だけでは気づきにくい職場の問題点を発見することができるようになり、裁判官や企業が無視できない説得力のある主張・提言を行うことができるようになります。全ての労働者・使用者が労働法を学んでいるわけではない現状において、労働組合がこの法を理解していることは、労働者のより良い生活の実現、企業のコンプライアンスの向上など、重要な意味を持ちます。このゼミでは、受講生がそれぞれの関心にもとづいて持ち寄った論点について参加者全員で議論することなどを通じて、次のような力を身につけ、マスターコース受講前よりも労働法のリテラシーを向上させることをめざします。

  1. 労働法の基礎知識や基本的な思考方法・活用方法を身につける。
  2. 労働法の目線と自身の問題意識を組み合わせて、職場や現行法、労働法政策などの問題点を発見できるようになる。
  3. 発見した問題点に対する自身の意見・解決策などを、労働法を活用しながら、説得的に主張することができるようになる。
課題
(キーワード)
労働組合法/労働基準法/労働契約法/労働基本権/労働者概念・フリーランス/雇用平等・差別禁止/労働契約の成立と終了/配転・出向/労働条件の不利益変更/労働時間規制/ワーク・ライフ・バランス/非正規労働/不当労働行為/紛争解決制度
講師略歴
現 職 専修大学法学部教授
職 歴 中央学院大学法学部専任講師・同准教授、専修大学法学部准教授を経て現職
著書・論文等 『フリーランスの働き方と法』(共編著、日本法令、2023年)、『労働法』(共著、弘文堂、2020年)、「性自認に基づく職場トイレ使用制限の適法性」(季刊労働法、2024年)、「発達障害者・パーソナリティ障害者の復職と法」(日本労働法学会誌、2023年)、「労働時間規制の手法」野川忍編『労働法制の改革と展望』(日本評論社、2020年)、「パートタイム労働者・有期雇用労働者の均等・均衡待遇原則の理論的基礎」島田陽一・三成美保・米津孝司・菅野淑子編『「尊厳ある社会」に向けた方の貢献』(旬報社、2019年)など
その他 千葉県労働委員会公益委員、東京都紛争調整委員会委員、神奈川県公益認定等審議会委員など

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5.修了論文作成に向けたゼミナールの進行イメージ

進行イメージ

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<参考資料>

23回受講生の体験談

 Rengoアカデミーにおける、前期・後期2週間の講義では、労働組合や組合運動の意義等について、基礎から応用までより深く考えることができ、とても貴重な時間となりました。これまで長年労働組合に携わってきましたが、日頃の組合活動では知ることのできないような内容ばかりで、学生時よりも脳が刺激的に活動する毎日でした。また、日頃接することの少ない、他産別や連合関係の皆さんと接することで、これまで自らの中で「当たり前」と思っていたことが、そうではないという新たな気付きを得ることができ、さらに知見が広がりました。
 論文の執筆にあたっては、以前より自組織内で課題と感じていたことがあり、その解決に向け内容を深めながら、自らがやりたいことをテーマとして考えていきました。ゼミ担当講師の方は、いつも親身になって相談に乗って頂き、行き詰った時にも様々な角度からヒントを提供してくださりました。ゼミメンバー間では、チーム全員で論文を完成させたいという想いから、メンバーのそれぞれの内容に対してお互いの意見をぶつけ合うこともあり、このことも貴重な経験となりました。
 もちろん大変なことも多々ありますが、このような経験は将来に亘っての財産となりますので、ぜひ前向きに楽しみながら取り組んでみてください。

 Rengoアカデミー第23回マスターコースでは、私自身人生で始めて論文を執筆することになり、正直なところ大きな不安を抱えながらの参加でした。
 しかしながら、前期・後期ゼミでは、論文を執筆するだけでなく労働組合役員として身に着けるべき教養を労働界では著名な大学・大学院の教授や有識者から直接教授いただく大変貴重な学びの場を提供いただきました。
 また、必修ゼミでは講師とゼミメンバーから論文の内容について、多角的な視点からアドバイスをいただき、論文を磨き上げることが出来ました。更には、論文執筆だけでなく自身のコミュニティ領域を広げるフィールドワークなど貴重な経験をさせていただきました。
 私が当初抱いた不安は誰しもが感じるものであると思いますが、修了論文を提出した時の自身の成長や達成感は普段の活動や生活では味わえないものでした。
 この感覚は、是非第24回マスターコースの参加者にも味わっていただきたいです。
 最後に第23回マスターコースの全日程において、手を取り合ったゼミメンバー、そしてサポートいただきました講師の方々ならびに事務局のみなさまへ感謝申し上げます。
 また、第23回マスターアカデミーへの参加から論文の執筆にあたり、ご理解いただきました自組織やご多忙の中でインタビューに応じていただいた加盟組合のみなさまにも感謝申し上げます。約1年間本当にありがとうございました。

 Rengoアカデミー・マスターコースと共にあった1年を振り返ってみれば、これほど濃密に労働組合や労働運動に向き合った日々は無かったと思います。素晴らしい講師陣の講義は単に受講するだけではなく、グループディスカッションを通して議論を深めることで、自分の中の考え方が磨かれアップデートされていくのを実感することが出来ました。また、講義後もゼミナールがあり、指導教員やゼミ生の仲間と議論を交わし、自らの課題意識に迫っていく体験は、今まで参加したどの研修でも味わうことが出来ないかった体験でした。それ故に論文作成では相当な苦労をしましたが、粘り強い教員の指導やゼミ生同士の励ましもあり何とか形にすることができました。改めて感謝したいと思います。ありがとうございました。
 これから受講される皆様へメッセージを送ります。前期・後期の合宿だけでなくゼミナールや論文作成など多くの時間が必要となります。業務時間や生活時間の調整など、職場や家族など周りのサポートも必要になります。自らがRengoアカデミー・マスターコースで得た知識・体験を共有することで周りの理解が得られるように、しかりとアピールすることも忘れないでください。大変な1年間になると思いますが、常に苦労を共にする仲間が居ることを忘れずに濃密な時間を駆け抜けてください。

 “Rengoアカデミー・マスターコースは大変だ”と周囲からの噂を聞いていたため、参加するかどうか尋ねられた際に少しためらった部分がありました。私自身、子どもまだ小さいため、1週間の研修を2回もできるのか、実力不足なのではないか、論文1万字なんて書けるのか?など不安がぐるぐると渦を巻いていました。しかし、とりあえずやってみよう!の精神で実際に参加してみたところ、終わってみて思ったことは“楽しかった”の一言に尽きます。普通では出会えないアカデミーの同期やゼミの仲間との楽しい時間であっという間に終わってしまったので、今となっては寂しい気持ちでいっぱいです。特に苦楽を共にしたゼミの仲間との時間は私にとって一番の財産であり、これからも付き合っていきたいと思っていますし、付き合っていく仲間だとも思っています。また、論文についても私自身が課題に感じていたテーマを深く調べ、そこから改めて出てきた課題について向き合うことができました。そして、ありがたいことに難しい内容のインタビューでしたが、協力してもらえる組織が見つかり、それによって論文の内容を更に深めることができ、産別・単組へのインタビューは経験できないことであったため、私自身の視野を広げることが出来ました。マスターコースが無事終えられ、改めて周囲の人への感謝の気持ちを感じることが出来ました。参加できて良かったです!

 私は上司からRengoアカデミーの話を聞いたとき、一度は断りました。仕事をしながら1万字の修了論文を完成させる自信がなかったからです。業界4年目ですが、労働組合の経験も知識も乏しく、文書を書くのも苦手でした。しかし、先輩たちに相談すると「大変だったけど楽しかった。絶対行ったほうがいい」と勧められ、申請書を提出しました。
 実際に参加してみると、講義の時間がとても楽しかったです。専門性が高いテーマばかりでしたが、講師の先生方が分かりやすく説明してくださり、とても勉強になりました。また、グループ討議では出身組織やキャリアが異なるメンバーと活発に意見交換ができ、お互いに刺激し合い、視野が広がりました。
 特に楽しかったのが夜のゼミナール時間です。しかし、最初は問題意識が明確でなかったため、ゼミの前で論文テーマを発表する際に緊張しすぎて頭が真っ白になりました。それでも先生やメンバーからのアドバイスを受けるうちに、徐々に自分の問題意識が明確になりました。「なるほど、修了論文は仲間との共同作業だ」と気づいた瞬間、ゼミナールが楽しい時間に変わりました。準備は大変でしたが、論文が徐々に形になる喜びと楽しさは別格でした。最終論文を提出できたとき、論文書くことに自信がつきました。Rengoアカデミーを受講して本当によかったと思いました。
 以上はあくまで個人の体験ですので、どこまで通用するか分かりませんが、昔の私のように論文を書くことに自信がなくてRengoアカデミーへの受講を躊躇している方々に、一つの参考例を提供できれば幸いです。

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