Rengoアカデミー 第21回マスターコース概要

目次

  1. 1.マスターコースのアウトライン
  2. 2.授業プログラム(前期・後期)
  3. 3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧
  4. 4.講義科目・講師一覧
  5. 5.ゼミナールの紹介
  6. 6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ

<参考資料>第20回受講生の体験談

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1.マスターコースのアウトライン

2019年11月実施時の授業風景

 教育文化協会は、連合運動の発展に資する労働者教育の全体像を構想し、その第一歩として、連合結成10周年を機に、2001年5月、連合運動の次代を担うリーダーの育成を目的に、「Rengoアカデミー・マスターコース」を開講しました。これまでに462名が受講し、修了生は現在、それぞれの立場から連合運動の一翼を担い、活躍しています。
 第21回目の今回は、マスターコース開講の趣旨と会員組織や受講生からの意見・要望、過去20回取り組んだ経験・反省をふまえ、引き続き、受講生出身組織の送り出しやすさと受講生本人の参加しやすさを基本に、①講義科目の前・後期への効果的な配置、②ゼミ生同士の自主的な議論・研究に資する自主研究枠の確保に努め、合宿日程の効果的編成を心がけました。
 第21回マスターコース・プログラムのアウトラインは以下のとおりです。会員組織、連合構成組織および加盟組合、地方連合会などからのご参加をお待ちしています。

視点

 マスターコースでは、人間・歴史・世界・「場」(※)からのアプローチを重視し、受講生の分析力・構想力の醸成をはかり、問題発見と問題解決の能力向上をめざします。
 自らの「考察を深めたい課題」について、ゼミナールでの担当講師からのアドバイスや他のメンバーとの意見交換等を通じて、問題意識の深耕・多角化をはかるとともに、その課題解決方法を見つけ、修了論文にまとめていきます。(「6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ」を参照)。
 合宿教育をとおして受講生と講師の「人間としての結びつき」を深めます。

※「場」とは、問題を発見しその解決をはかるときの自分のスタンドポイントのこと

年間スケジュール

 マスターコースは、合宿教育期間と自学・自習期間を組み合わせ1年間で修了します。
 集中合宿は、前期、後期の2期制です。

前期:2021年11月14日(日)~11月19日(金)の6日間
後期:2022年 5月15日(日)~ 5月20日(金)の6日間

 前期終了後から後期開講までの間と、後期終了後から修了論文完成までの間が、自学・自習の期間となります。この期間にはそれぞれ、必修ゼミを配置しています。
 必修ゼミでは、ゼミ生は自学・自習期間の成果を発表し、ゼミナール担当講師からアドバイスを受け、後期のゼミへ、さらには修了論文へとつなげていきます。
 修了論文については随時、担当講師からメール等で個別指導を受けることができます。
受講生は、2022年7月1日()までに修了論文を提出し、教務委員長の監修を経て、9月下旬~10月上旬に予定している修了式をむかえ、1年間のプログラムを修了します。

授業と講師陣

 前期、後期の合宿教育では、授業は講義とゼミナールを併用しておこないます。
 講師陣には、それぞれの分野の第一人者の他に、連合会長(Rengoアカデミー校長)や連合事務局長なども加わります。

講義

 講義科目は、特別プログラムも含めて23科目です。
 講義は、原則、講師からの問題提起、グループワーク、発表などを組み入れておこないます。
 講義の進め方は、授業60~70分と休憩10分のサイクルが基本ですが、多少、前後することがあります。

ゼミナール

 受講生は、受講申込の際に、「考察を深めたい課題」を提出するとともに、5つのゼミナールのなかから希望するゼミを選択します。
 ゼミナールは、前期3回、後期3回の計6回おこないます。ゼミナールは、原則1回2時間30分(休憩含む)です。
 ゼミナールごとの必修ゼミは、前期終了後から後期開始までに原則2回、後期終了後に1回おこないます。
 ゼミナールは、5名で編成し、担当講師の指導やゼミ生との議論をとおして各自の課題を修了論文に仕上げます。
 ゼミナール大会(後期3日目)では、受講生が修了論文の骨子を発表し、ほかのゼミ担当講師から講評を受けます。その後のゼミでは、その講評も含めゼミ担当講師から指導を受けます。

合宿期間中の運営

 合宿生活は、受講生が実行委員会をつくり運営します。
 合宿期間中には、連合会長、連合事務局長、教育文化協会理事長等との交流、懇談の場を設定しています。

修了

 前期・後期を受講、修了論文を提出し教務委員長による監修を経て修了となります。
 修了生には、修了証を授与します。

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2.授業プログラム(素案・調整中含む) ※プログラム関係は以下同じ

前期<2021年11月14日(日)~19日(金)>

プログラム前期

[備考]
① 午後の講義終了後、実行委員会のミーティング(M)を行う。
② 前期と後期の間に「必修ゼミ」を2回行う(指導講師の判断で1回でも可)。
③ 必修ゼミに加えて、オンラインでの指導の場を複数回設けることも可とする(前期後、後期後それぞれ上限は3回、計6回)。

後期<2022年5月15日(日)~20日(金)> 

プログラム後期

[備考]
① 後期終了後に「必修ゼミ」を1回行う。

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3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧

 講義科目は、政策-組織-基礎の3領域、総合戦略-経済産業政策-社会労働政策-組織強化・拡大-組織運営-人間と組織-経済社会と労働の7分野から編成しています。
 講義は、連合の戦略的方向性・課題を大づかみに理解し、連合の一員としての自分の役割・課題を確認することからスタートし、基礎から応用・運動へと、順次ステップアップできるように科目を配置しています。

領域 分野 科目 (前期、後期) 講義時間
  政  策 総 合 戦 略 「連合の役割・行動I」
「『安心社会』への戦略を考える」
「連合の役割・行動II」
(前)
(前)
(後)
2時間30分
4時間
3時間30分
経済産業政策 「日本の財政と社会政策の課題」
「社会保障のとらえ方」
「グローバル経済と労使関係」
(前)
(後)
(後)
4時間
4時間
4時間
社会労働政策 「人材活用と人事管理の課題」 
「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」 
「労働者自主福祉の課題」
(前)
(後)
(後)
4時間
3時間30分
3時間30分
  組 織   組織強化・拡大 「連合組織強化の課題」
「労働組合と政治」
「男女平等参画と労働組合」
「国際労働運動の課題と対応」
(前)
(後)
(後)
(後)
3時間30分
4時間
4時間
3時間30分
組 織 運 営 「組合リーダーに聞く」 (前) 3時間
  基 礎   人間と組織 「アサーティブ・トレーニング」 (前) 3時間30分
経済社会と労働 「歴史からみた労働組合の役割」
「労働法の基礎」
「ジェンダーと労働」
「仕事と賃金」
「労使関係の課題」
「地域と労働組合」
(前)
(前)
(前)
(前)
(後)
(後)
4時間30分
4時間
3時間30分
4時間
4時間
3時間30分
特別プログラム 「論文のまとめ方」
「ゼミナール大会」
(前)
(後)
1時間
4時間30分
合 計 講義21科目:78時間 特別プログラム2科目:5時間30分 83時間30分
ゼミナール 前期3回+後期3回 =15時間 総時間 98時間30分
<参考:第20回の講義時間>
講義21科目 特別プログラム2科目 ゼミナール(6回) 総時間
78時間 5時間30分 15時間 98時間30分

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4.講義科目・講師一覧(調整中含む)

☆印は特別プログラム
★印はゼミナール
講 義 日 科目 講 師 氏 名
2021年

☆「論文のまとめ方」

「連合の役割・行動Ⅰ」

高木郁朗 Rengoアカデミー副校長

連合会長

中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長


11.14(日)
11.15(月)

「アサーティブ・トレーニング」

「歴史からみた労働組合の役割」

★ ゼミナールⅠ

竹崎かずみ アサーティブジャパン

専属講師

高木郁朗 Rengoアカデミー副校長

ゼミナール担当講師

11.16(火)

「ジェンダーと労働」

「仕事と賃金」

★ ゼミナールⅡ

神尾真知子 日本大学特任教授

石田光男 同志社大学名誉教授

ゼミナール担当講師

11.17(水)

「労働法の基礎」

「連合組織強化の課題」

★ ゼミナールⅢ

長谷川聡 専修大学教授

連合総合組織局長

中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長

ゼミナール担当講師

 11.18(木)

「日本の財政と社会政策の課題」

「『安心社会』への戦略を考える」

★ ゼミナールもしくは自主研究

井手英策 慶應義塾大学教授

宮本太郎 中央大学教授

ゼミナール担当講師

 11.19(金)

「人材活用と人事管理の課題」

「組合リーダーに聞く」

橋元秀一 國學院大學教授

講師調整中

高木郁朗 Rengoアカデミー副校長

2022年

「労働組合と政治」

★ ゼミナールⅣ

国会議員

連合政治センター事務局長

高木郁朗 Rengoアカデミー副校長

ゼミナール担当講師


5.15(日)
5.16(月)

「社会保障のとらえ方」

「グローバル経済と労使関係」

★ ゼミナールⅤ

菅沼隆 立教大学教授

首藤若菜 立教大学教授

ゼミナール担当講師

5.17(火)

「国際労働運動の課題と対応」

☆「ゼミナール大会」

★ ゼミナールⅥ

郷野晶子 ILO理事

中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長

ゼミナール担当講師

ゼミナール担当講師

5.18(水)

「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」

「男女平等参画と労働組合」

★ ゼミナールもしくは自主研究

浜村彰 法政大学教授

連合総合政策推進局長

ゼミナール担当講師

5.19(木)

「労働者自主福祉の課題」

「労使関係の課題」

★ ゼミナールもしくは自主研究

高橋均 中央労福協講師団講師

伊丹謙太郎 法政大学大学院連帯社会

インスティテュート教授

高木郁朗 Rengoアカデミー副校長

中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長

ゼミナール担当講師

5.20(金)

「地域と労働組合」

「連合の役割・行動Ⅱ」

中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長

連合事務局長

教育文化協会理事長

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5.ゼミナールの紹介

禹ゼミ テーマ:グローバル化と日本の労働組合 講師:禹宗杬 埼玉大学人文社会科学研究科教授
目的
  1. グローバル化は通常、労働組合に不利に働く。競争を激化させ、コスト削減の圧力を強めるからである。社会に分断と格差をもたらすことも、社会的統合を志向する組合運動にはマイナスとなる。グローバル化が進むなか、どうすれば雇用と賃金と働く人の利益を守り、組合運動の展望を開けるか、一緒に考えたい。
  2. 展望を開くために重要な作業の一つは、国際比較の視点に立って、労使関係共通の環境と課題を理解するとともに、日本の独自性を把握することである。世界と共有すべき日本の組合の資産は何でその固有の問題は何か、ほかの国々の試みから何を学ぶべきか、一緒に考えたい。
  3. 日本の組合は現場を大切にしてきた。いま、その現場が弱まっている。生産・サービスのグローバル展開のほか、グループ経営、人的資本投資の減少などが影響しているのはむろんである。ただし、主体的な問題もある。運動の転換が求められている現在、どうすれば強い現場を再構築できるか、一緒に考えたい。
  4. 労使関係のアクターの労・使・政のうち、労側の変化への対応と自己革新が立ち遅れている傾向にある。持続可能な社会および持続可能な労使関係の構築に向け、雇用と賃金と時間と生活をどのようにデザインすべきか、一緒に考えたい。
課題(キーワード) グローバリゼーション/グローバル展開/コーポレート・ガバナンス/経営戦略/雇用の多様化/キャリア・処遇の複線化/産業政策/雇用政策/欧米の労使関係/アジアの労使関係/日本の労使関係の特徴/現場の再構築/雇用・賃金・時間・生活のデザイン
講師略歴
現 職 埼玉大学人文社会科学研究科教授
職 歴 埼玉大学経済学部講師、埼玉大学経済学部助教授、The Graduate School of Management (Anderson School) at UCLAの訪問研究員、ソウル大学校日本研究所客員研究員などを歴任
著書・論文 『「身分の取引」と日本の雇用慣行―国鉄の事例分析―』(単著、日本経済評論社、2003年)、『韓国の経営と労働』(編著、日本経済評論社、2010年)、『中国民営企業の雇用関係と企業間関係(共著、明石書店、2013年)、『現場力の再構築へ―発言と効率の視点から―』(編著、日本経済評論社、2014年)、「戦後における資格給の形成―八幡製鉄の事例を中心に―」(『大原社会問題研究所雑誌』688号、2016年、5-28頁)、「アジアの賃金―『学歴別・熟練度別賃金』―」(『大原社会問題研究所雑誌』721号、2018年、46-60頁).「『一億総活躍』と身分制雇用システム」(『社会政策』第11巻第3号、2020年、14-28頁)
その他 埼玉大学連合寄付講座担当教員、国際労働財団「アジアにおける労使関係と労働組合の課題プロジェクト」委員、連合総研「『日本的』雇用システムと労使関係研究会」委員、連合総研「企業行動・職場の変化と労使関係に関する研究委員会」主査、連合総研「参加保障・社会連帯型の新しい社会政策・雇用政策の大綱に関する研究委員会」委員等
木本ゼミ テーマ:少子高齢社会のなかの人間と労働組合 講師:木本喜美子 一橋大学名誉教授
目的
  1. 現代日本において、企業社会体制は変容しつつあり、少子高齢社会としての特徴がきわだってきている。労働市場の変動、地域社会の格差拡大、そして家族の大きな変容を実態として把握することを通じて、労働組合が直面する課題を考える。
  2. 特に検討を要するのは、従来の「サラリーマン」の働き方を相対化し、新しい働き方や暮らし方、生き方が、新たな価値規範と共に模索されてきている事実である。一方では高度成長期以来の旧態依然としたサラリーマン像があり、他方では正社員労働市場への参入が困難な、若者や女性たちの労働-生活者像がある。変動期の現代を把握するために両者の動きを、トータルに検討する。
  3. 本ゼミでは、主体としての人間が、階層、ジェンダー、地域差等によって分断されつつ、一人一人の一回限りの生をまっとうするために、働き方そして生き方をめぐって模索している姿を、まずもって重視したい。その上で、個々のアクターの価値規範がどのように変わろうとしているのかをつかむことによって、労働組合が担う新たな課題と社会的役割を探ることをめざす。
課題(キーワード) 少子高齢化/未婚化・晩婚化/働くことと家族/労働市場の変動/非正規化/ジェンダー変動/若者の就業問題/女性労働問題/労働-生活時間構造/サラリーマン像の揺らぎ/ワークライフバランス
講師略歴
現 職 一橋大学名誉教授
職 歴 広島大学総合科学部助手、立命館大学産業社会学部助教授、一橋大学社会学部助教授、一橋大学大学院社会学研究科教授を歴任
著 書 『家族・ジェンダー・企業社会』(ミネルヴァ書房、1995年)、『女性労働とマネジメント』(勁草書房、2003年)等
編 著 『家族・地域のなかの女性と労働』(明石書店、2018年)、『現代日本の女性労働とジェンダー』(ミネルヴァ書房、2000年)、『社会政策のなかのジェンダー』(明石書店、2010年)
共 著 『地方に生きる若者たち-インタビューからみえてくる仕事・結婚・暮らしの未来』(旬報社、2017年)、『仕事の人類学-労働中心主義の向こうへ』(世界思想社、2016年)、『リスク社会のライフデザイン-変わりゆく家族をみすえて』(放送大学教育振興会、2014年)、『高度成長の時代1-復興と離陸』(大月書店、2010年)、『ジェンダー平等と多文化共生』(東北大学出版会、2010年)
論 文 「カンター『企業のなかの男と女』(『日本労働研究雑誌』No.669、2016年3月)」、「戦後日本における家事労働の位置を探る-企業社会・雇用労働との関連で-」(『日本フェミニスト経済学会誌』第1巻、2016年10月)、「家族の過去と現在、そして近未来-『家族賃金』観念の変容-」(『連合総研レポート』322号、2017年1月)、「ジェンダー平等と社会政策」(社会政策学会誌『社会政策』第5巻第3号(榎一江との共著)、2014年10月)
その他 博士(社会学)、学術会議連携会員、法政大学大学院フェアレイバー研究所特任研究員、多摩市男女平等審議会副会長 等
毛塚ゼミ テーマ:労働法と労働組合 講師: 毛塚勝利 労働法学研究者
目的  直面する労働問題を素材に、労働法のしくみと課題を理解するとともに、労働組合がどのように問題の解決に取り組み、ワーク・ルールを充実させていくかを考える。
  1. 「働き方改革」はなぜ提起されたか。その「改革」は的を射ているか。
  2. 今後の賃金制度・労働時間制度を労働組合はどう設計するのか。
  3. 個人就業者(請負・委託就労者)の拡大に労働組合はどう取り組むか。
  4. 情報通信技術の進展にともなう企業システムの変容・空洞化に労働組合はどう対応すべきか。
  5. 労働問題が多様化・多元化・個別化した現在、労働組合はどのように労使関係システムを整備していくべきか。
課題(キーワード) 非雇用型就労/限定正社員/変更解約告知/解雇の金銭解決/高度プロフェッショナル労働/勤務間インターバル/副業/派遣/クラウドワーク/会社分割/事業再編/フランチャイズ/投資ファンド/社会的差別/合理的配慮/均等均衡処遇/同一労働同一賃金/ハラスメント/メンタルヘルス/労働審判/労働者代表制度/ステークホルダー民主主義
講師略歴
現 職 労働法学研究者
職 歴 静岡大学法経短期大学部教授、専修大学法学部教授、中央大学法学部教授、フランクフルト大学(独)・トレント大学(伊)・法政大学大学院連帯社会インスティテュート客員教授を歴任。
著 作 「非正規労働政策をめぐる法的整備の進展と今後の課題」(労働調査607号2021年)、「労働組合機能と基本権論の課題」(労働法律旬報1951・52号、2020年)、「労基法労働時間法制からの脱却を」(日本労働研究雑誌690号2018年)、「クラウドワークの労働法学上の検討課題」(季刊労働法259号2017年)、「限定正社員の法的問題を考える」(季刊労働法245号2014年)、「非正規労働の均等処遇問題への法理論的接近方法」(日本労働研究雑誌636号2013年)「労働契約法における労働条件変更法理の規範構造」(法学新報119巻5・6号2012年)、「公務労使関係システムの構築に関する議論の現在と問題点」(季刊労働法230号2010年)、「企業統治と労使関係システム」石田虞・大塚直編『労働と環境』(日本評論社2008年)等
編 著 『クラウドワークの進展と社会法の近未来』(共編、労働開発研究会、2021) 『事業再構築における労働組合の役割』(中央経済社、2013年)、『企業組織再編における労働者保護』(中央経済社、2010年)、『個別労働紛争処理システムの国際比較』(日本労働研究機構、2002年)等
その他 日本労働法学会代表理事(2002~2003年)、連合総研「参加発言型社会に向けて研究会」(1995~1996年)、「新労働法制研究会」(1997~1998年)、「企業組織等の再編に伴う労働者保護法制研究会」(1999~2000年)、「労働契約法制研究会」(2004~2005年)、「企業買収・合併等による企業組織の改編と労働組合の課題に関する研究委員会」(2008~2010年)、「教職員の働き方・実態調査研究委員会」(2014-2015)、「今後の労働時間法制のあり方を考える研究委員会」(2018~2020)の各主査等
高木ゼミ テーマ:経済・産業と労働組合 講師:高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
目的
  1. 長期にわたるデフレ、グローバル不況、IT化などの技術革新、企業の海外移転、規制改革などの急激な経済環境の変化と再度にわたる政権交代をともなう政治構造の変化、人口減少社会の到来などのもとで、雇用と生活の両面で人間的な労働(ディーセントワーク)を実現しうる社会システムと経済・産業・社会政策のあり方と労働組合の役割を検討し、積極的な論議を行いたい。
  2. ナショナルセンター、産業別組織、地域組織などの各級の労働組合が経済と政治・社会面で影響力を発揮するための考え方と方法を検討し、個別企業をこえた労働組合の社会的役割を具体的に検討する。
課題(キーワード)  産業構造の変化/社会構造の変化/政治構造の変化/グローバリゼーション/人口減少/市場万能主義/ワークフェア/社会的企業/ディーセントワーク/福祉ミックス/「働くことを軸とする安心社会」/社会的労働運動/
講師略歴
現 職 日本女子大学名誉教授
職 歴 山形大学教授、日本女子大学教授を歴任
著 書 『国際労働運動』(日本経済新聞社、1973年)、『春闘論』(労働旬報社、1976年)、『労働組合の進路』(第一書林、1987年)、『新・社会民主主義の挑戦』(労働経済社、1992年)、『労働経済と労使関係』(教育文化協会、2002年)、『労働者福祉論』(教育文化協会、2005年)、『ものがたり現代労働運動史1989~1993』(明石書店、2018年)等
編 著 『自立と選択の福祉ビジョン』(平原社、1994年)、『市場・公共・人間』(第一書林、1992年)、『総評四十年史(全3巻)』(第一書林、1993年)、『ものがたり戦後労働運動史(全10巻)』(教育文化協会、1997~2000年)、『共助と連帯』(教育文化協会、2010年)等
監 修

「日本労働運動史事典」(ILEC、2015年)
「<増補改訂版>共助と連帯」(ILEC、2016年)

訳 書 『OECD図表でみる世界の社会問題Ⅰ~Ⅳ』(明石書店、2006~2017年)等
その他 (社)教育文化協会前理事、Rengoアカデミー・マスターコース前教務委員長(第1回~第10回マスターコースまで)、連合総研「協同組合の新たな展開に関する研究委員会」(2010~2011年)主査等
橋元ゼミ テーマ:企業・職場と労働組合 講師:橋元秀一 國學院大學経済学部教授
目的
  1. 労働組合の原点を確認しつつ、各自の所属する労働組合の特徴を交流することを通じて、改めてそれぞれの労働組合を相対化し客観的に把握する。
  2. それぞれの企業・職場はどのような問題や課題を抱えているのだろうか? 近年、企業や職場に起きている変化をふまえつつ、率直に出し合い交流し合いながら、今日の労働組合が直面している課題とはどのような問題であるのかを考察する。
  3. 組合員にとって、労働組合が魅力的であるとはどのような役割を組合が果たすことであるのかを検討する。組合役員の立場から離れ、一組合員の視点に立ったとき、日々の労働や職場生活において、さらには職業人生を展望した場合、労働組合は、どのような問題や課題を抱えているのだろうか? 労働組合は、そうした問題や課題をどれだけ受け止め、どのように取り組んでいるのか、検討し議論し合う。ゼミでの集団的議論を通じて、新たな視点やヒントを探りたい。
  4. 以上をふまえつつ、理論的視点、歴史的視点、組織構造的視点から、労働組合の現状と課題を明らかにすることが、本ゼミの目的である。
課題(キーワード) 採用/従業員構成/非正規労働者(非典型雇用)/配置/教育訓練/賃金/成果主義/人事考課/労働時間/残業協定/労使協議/経営参加/組合組織構造/組合役員
講師略歴
現 職 國學院大學経済学部教授
職 歴 東京都立労働研究所研究員、日本学術振興会特別研究員、(財)労働科学研究所社会科学研究部研究員、國學院大學経済学部専任講師・助教授を歴任
編 著 『人事労務管理の歴史分析』(ミネルヴァ書房)等
論 文 「第8章 雇われて働くってどういうこと?」「第9章 雇用や働き方はどう変わる?」(『アクティブラーニングで学ぶ日本の経済』、東洋経済新報社、2021年4月) 「組合員の個別賃金決定に労働組合はどう関わっているのか」(国際経済労働研究所『Int'lecowk-国際経済労働研究』第75巻第9号、2020年9月)、『労働組合の職場活動に関する研究委員会報告書―21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ-』(連合総研、2016年9月)、「第1章 労働組合の基礎的組織の現状」(連合総研『労働組合の基礎的な活動実態に関する調査研究報告書』、2016年4月)、「労働組合による労働者供給事業の諸類型と可能性」(『国学院経済学』第60巻第3・4合併号、2012年3月)、「非正規従業員の組織化の動き」(『講座 現代の社会政策 第5巻 新しい公共と市民活動・労働運動』明石書店、2011年9月)、「非正規雇用問題と企業別組合の役割およびその展望」(社会政策学会誌 『社会政策』第2巻第1号、ミネルヴァ書房、2010年5月)、「企業別組合における非正規従業員の組織化事例の示すこと」(『日本労働研究雑誌』No.591、2009年10月)、「「成果主義」の実態は「能力主義管理」の整備・徹底化-真の能力主義を求めて」(『賃金制度と労働組合の取り組みに関する調査研究報告書』連合総研、2006年7月)
その他 國學院大學労供研究会座長、連合総研「21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ『労働組合の職場活動』研究委員会」主査、連合総研「「非正規労働者の組織化」-21世紀の日本の労働組合活動に関する調査研究委員会Ⅰ」副主査等

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6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ

進行イメージ

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<参考資料>

第20回受講生の体験談

 「Rengo アカデミー・マスターコース」への参加を振り返ると、最初と最後では大きく心境の変化がありました。
 今回私は、連合東京女性委員会からRengo アカデミー・マスターコースのお話しを頂き、自組織から参加することが可能となりました。自組織からは「大丈夫?大変だよ?」と念押しされ、それでも「参加したいです」と周囲の心配をよそに参加を決めました。
 前期、後期と講義を受け、そして論文を書くために様々な書物を読み、ゼミの教授や仲間と切磋琢磨していくうちに、当初確固たる自信をもっていたこともグラグラと揺らいでいきました。そして論文執筆前と後で見るものが違って見えたのです。
 それをゼミの教授に話したところ「それは成長したという印だと思います」という言葉を頂き、大変だったけれど参加して良かったと思えました。
 私は第20回アカデミーの参加を通じて、今後の明確なビジョンを見つけることができました。論文を書き上げることは楽ではないですが、受講生にとってプラスになることが沢山ありますので、是非受講してみてください。

 今回、自組織を代表してRengoアカデミーに参加することとなりました。これまでも労働運動に携わってきましたが、単組・産別を基軸に活動を進めており、自らを中心とした狭い範囲で行ってきました。
 Rengoアカデミーは、様々な分野の有識者の方々からの講義や自らが取り組むべき課題をテーマとした論文作成に向けたゼミナールが主な内容となります。幅広い知識や考え方を得られることはもちろんのこと、一緒に参加するメンバーは、産別も多岐にわたることから講義内のグループワークやゼミでの論議などを通じて世界観を広げることができました。一方、修了論文の執筆については、通常業務と並行して進めなければならないため苦労しました。担当教授やゼミメンバーの支えにより何とか書き上げることができたというのが正直なところです。
 前期後期を通じてコロナ禍のため通常とは違う運営となりましたが、Zoomを活用することで、一方通行とはならずに受講できたと感じています。残念な点としては、対面することがほとんどできないため受講生同士の交流が少なかったことです。合宿形式の良さは同じ場所で仲間たちと顔を合わせて、他愛のない話もしながら学べることだと思っています。コロナのワクチン接種も進んでいますので、次回のRengoアカデミーは集合開催できることを期待しています。
 最後に、今後参加を検討される皆さんにおいては、業務の調整など大変な点もありますが間違いなくご自身のためになりますので、ぜひ受講をお勧めします。

 「しんどかった。なんとかやり切った」─論文の最終稿を提出したときの率直な感想です。
 仕事をしながら論文を作成するということは、ある程度の大変さを想定していましたが、実際は想像以上でした。
 本来、アカデミーは合宿形式で行い、学習とともに仲間との交流を深められる機会でしたが、今回は対面の機会がほとんどなかったのは、仕方ないこととはいえ残念でした。
 講座がすべてウェブとなったことも、大変に感じた要因だったかもしれません。しかし、状況を見ながら判断し運営された事務局のご努力には、感謝を申し上げたいです。リモートなのでアカデミーに参加できた、という方もいらしたので、ウェブによる良い面もあったのかなと思います。
 論文を書き上げた今、思うこと。もっと努力できたのではないか、日ごろの学びへの意識が足りなかったのではないか、自分の力に見合わぬテーマを選んでしまったのではないか…etc。しかし、この歳で論文を書くということに向き合った経験は貴重です。
 講座でのディスカッションも、よい経験でした。各人の考えを伝えながらグループでまとめて発表するという積み重ねは、こうしたことが苦手な私には、本当にいい経験となったと実感しています。同じゼミナールのメンバーは、戦友のようにさえ感じます。
 これから受講される皆さんにとっても、忘れられないよき経験となることをお祈り申し上げます。

 コロナ禍でのRengoアカデミー。研修参加前は、ちょうど業務が立て込んでいたこともあり、「リモート形式での研修で集中できるのか」「ただでさえ日常業務に追われているのに、論文作成の時間を確保することができるのか」など、正直、ネガティブな気持ちでした。一年間の研修を振り返り、今、率直に思っていることは、「もっと研修期間中に勉強しておけばよかった」の一言に尽きます。その理由は、それぞれの講義は示唆に富む内容であり、ゼミでも先生や参加者との熱いディスカッションを通じて論文テーマの考察を深めることができた一方、自分自身の勉強不足を痛感したからです。
 今回Rengoアカデミーに参加する皆さんに伝えたいことは、将来の労働運動の担い手になる覚悟を持って、一年間の研修を有意義なものにして欲しいと思います。と言っても、日々の業務と並行して、ゼミに向けた準備や論文を作成することは、本当に大変でした(もっと計画的に取り組めばよかったと反省)。しかし、参加者同士の励ましや教育文化協会の皆さんのきめ細かなサポートによって、何とか論文を書き終えることができました。一生(!?)記録に残るオリジナルの論文ですし、日常では得ることができない貴重な経験です。自分を奮い立たせて、前向きにがんばってください!

 第20回Rengoアカデミーの開催は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、すべてオンラインということで、恐らく今までにない状況下での開催であったと思います。そのような中、無事修了することができ、前・後期ともオンラインか実開催かギリギリまで、検討および対応いただいた教育文化協会事務局の皆様には感謝いたします。
 受講して感じたことは、講義は組合運動・活動に役立つ知識ばかりで学べてよかったことと、産別組織を越えた仲間と出会えたことです。ゼミナールでは、論文テーマから深掘りした自身の想いや問題意識などの気付き、先生やメンバーからの客観的な意見、また、論文の核となるインタビュー調査・分析などを通して、論文を進めていくことができました。また、論文を書くことによって、自分の業務課題も見つめ直す事もでき、学びがたくさんありました。
 このような状況の中、ご講演いただきました先生方、熱心に暖かく指導してくださったゼミの先生、同じ条件で論文執筆にあたった第20回の受講生の仲間、研修に参加させていただく機会を与えてくれた組織、連日、夜中までリモート参加を理解してくれた家族、改めて、すべてに感謝を申し上げたいと思います。
 業務と並行した論文執筆はハードでありますが、乗り越えた先に得られるものがたくさんあります。これから参加される皆様も、せっかくのこの機会を大切にしてください。

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