『連合とそのまわりの刊行物』

※このコーナーでは、連合構成組織・単組、地方連合会および連合の関係組織などによる刊行物を、
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政治と労働の接点Ⅱ

著者:早川行雄
発行:旬報社
定価:1,500円+税
2019年10月

1.人間を幸福にしない資本主義-ポスト「働き方改革」

 私たちはいま、資本主義市場経済が日常生活の隅々にまで行き渡った社会で暮らしている。資本主義の下で私たちは幸福になることができるのか。本書はこの素朴で根源的な疑問を共通の分析視点としてここ数年の間に公表してきた論考の中から主要なものを集めて構成されている。ときあたかも今年のダボス会議では、株主第一の資本主義から、持続可能なステークホルダー資本主義への再定義が論議の中心となったという。
 企業の利潤拡大は、市場原理主義的な賃金抑制による労働分配率の引下げによってのみ可能となる状況(本書第1章)への危機感がその背景にありそうだ。労働規制の緩和こそが、労働から資本への逆再分配を促進する梃子の役割を果たしている(第2章、第6章1項)。いまや資本主義によって市場経済を動かすことが格差や貧困の根因となっている。そこで必要とされるのは、ポスト資本主義に向けたパラダイム転換である(第6章の2項)。
 アベノミクスや日銀の異次元緩和(第3章)、あるいはTPP(第7章)など個別の経済・通商問題については、いずれも論争の初期段階で執筆したものだが、論議過程の検証にはなるだろう。春闘の歴史的総括(第5章)では春闘が資本主義市場経済の迷走に翻弄されてきた側面を分析。現代社会を大雑把に俯瞰した現状分析(第4章)では、経済は定常化、政治については再封建化を鍵概念として論じている。

 本書はJAM副書記長、連合総研主任研究員などを歴任された早川行雄氏が執筆したものです。
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